Happy Feet

「ハッピーフィート Happy Feet」 は1930年にミルトン・エイジャー Milton Ager が作曲し、ジャック・イェレン Jack Yellen が作詞したポピュラーソング。トラッドジャズのスタンダード。

踊りによる救い

映画『キング・オブ・ジャズ KIng of Jazz』で紹介された楽曲で、ここではポール・ホワイトマン楽団の録音が使用された。ビング・クロスビーがリズムボーイズとして参加しており、これがスクリーンデビュー。

「ハッピーな足取り」が歌われるこの曲では、「ロウ・ダウン low down」という表現が使われている。ジミー・マクヒューの「ドゥーイン・ザ・ニュー・ロウ・ダウン Doin’ the New Low Down」でも述べたが、「ロウ・ダウン」とはハーレムで流行していたダンスを指し示している。身体を下げるように踊られる。

興味深いのは「ドゥーイン・ザ・ニュー・ロウ・ダウン」ではジャズのリズムとダンスによって倫理観がおかしくなり「魂は救われない」と歌われるが、「ハッピーフィート」では、「音楽が聴こえたら、踊らざるを得ない！魂を救うために！」と歌われること。まったく逆のことが歌われている。どちらの歌が存在してもまったく変ではない。が、少なくとも、「ハッピーフィート」では日々の「憂鬱」は「自分の靴が拒絶」するから「ずっとハッピー」だからにほかならない。そうした意味で音楽は歌い手の救済となっているわけである。

録音

Art Tatum (Los Angeles, April 22, 1954)
Art Tatum (Piano)
アーテ・テイタムのソロ・ピアノ。ものすごい速さの録音。超絶技巧。

The Orphan Newsboys (NYC, May 20, 1993 - January 16, 1996)
Peter Ecklund (Cornet); Dan Bloch (Clarinet, Alto Saxophone); Jack Stuckey (Clarinet, Alto and Baritone Saxophone); Pierre Calligaris (Piano); Murray Wall (Bass); Hal Smith (Drums); Marty Grosz (Guitar)
シカゴ・スタイルのスーパーバンド、オーファン・ニューズボーイズの録音。インスト。強力なアンサンブルの上でソロをとるピーター・エクランドのコルネットが特にセクシー。アレンジもかっこよい！

Gypsy Swing Revue (Denver, Colorado 2016)
Elliot Reed (lead guitar); Kristi Stice (vocals); Stephen Hill (rhythm guitar); Anthony Salvo (violin); Jean-Luc Davis (upright bass)
コロラドはデンヴァーで活動しているマヌーシュジャズ・バンドのジプシー・スウィング・レヴューの録音。歌ものとマヌーシュ・ジャズのよさが追求されている。

Lino Patruno & The Red Pellini Gang (Rome, November 8, 1999)
Carlo Capobianchi (Cornet, Trumpet); Andrea Pedroni (Tenor Saxophone); Fabiano“Red” Pellini (Baritone Saxophone, Arrangement); Giancarlo Colangelo (Bass Saxophone); Giorgio Cuscito(Piano); Lino Patruno (Guitar); Bruno Lagattolla (Drumes); Clive Riche (Vocal)
イタリアのスウィング界の雄、リノ・パトルーノの録音。ここではビックス・バイダーベックのトリビュートとして録音/演奏されている。

Firecracker Jazz Band (Raleigh, North Carolina, April 24 and 25, 2007)
Jerome Widenhouse (Cornet, Trumpet); Jeremy Saunders (Soprano Saxophone); Earl Sachais (Trombone); Henry Westmoreland (Tuba); Reese Gray (Piano); Jason Krekel (Banjo); Mike Gray (Drums);
ノース・カロライナで活動中のファイヤークラッカーの録音。とても勢いのある録音でまさにホットなジャズを展開している。インスト。