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Cherry

「チェリー Cherry」は1928年にドン・レッドマン Don Redmanによって作曲され、レッドマン本人とレイ・ギルバートRay Gilbertによって作詞されたジャズ・ナンバー。作曲者のドン・レッドマンは、フレッチャー・ヘンダーソン楽団で活躍したサックス奏者で、スムースな歌声が特徴のシンガーでもあった。

好きな人や恋人を食べ物に見立てる歌詞はわりとよくある (たとえば All that Meat and No Potatoes )。この曲では、歌詞は好きな人を「チェリー」、つまり「さくらんぼ」と呼びかけている。英米の文学において「さくらんぼ」は「赤い唇」や「ヴァージン」の比喩として用いられてきた。後者にかんしては日本語でも「チェリーボーイ」という表現で、とくに男性に向けて使用される。歌詞においては「チェリーよ!僕は君を絶対手に入れてみせる。そうすれば君は愛ってもんがわかる!チェリーよ!君を絶対手に入れるんだ!」という感じ。ここまで来れば歌詞がなにを意味しているのかがわかる。つまり相手を愛しており、尚且つ相手の初めての人になりたい。ちょっとヤバめな歌詞だけど、メロディと相まってロマンチックに聴こえる。

録音

Louis Armstrong And The Mills Brothers (NYC April 11 1940)
Louis Armstrong (Trumpet, Vocals); Norman Brown (Guitar); Donald Mills, Herbert Mills (Tenor Vocals); John Mills Sr (Bass Vocals); Harry Mills (Baritone Vocals)
ルイ・アームストロングとミルズ・ブラザーズの共演のひとつ。とてもスウィートでほれぼれする録音。

Rex Stewart's Big Seven (NYC July 23 1940)
Rex Stewart (Cornet); Barney Bigard (Clarinet); Lawrence Brown (Trombone); Billy Kyle (Piano); Brick Fleagle (Guitar); Wellman Braud (Bass); Dave Tough (Drums);
随筆家としても著名なレックス・スチュワートの録音。こういったスウィートなニューヨーク・スタイルの演奏はいつ聴いてもいい。アンサンブルとソロの両立っぷりが素敵。

Kenny Davern and the Rhythm Men (NYC June 15, 1995)
Kenny Davern (Clarinet); John Bunch (Piano); Bucky Pizzarelli (Guitar); Bob Haggart (Bass); Tony DeNicola (Drums);
シカゴ・スタイルの最高峰の名人たちが集まった録音。セッション的、つまりソロの比重を置いた録音で、わたしとしてはピザレリのギターに萌える。

Allan Vaché Big Four (Orlando, Florida 1998)
Allan Vaché (Clarinet); David Jones (Cornet); Bob Leary (Guitar); Phil Flanigan (Bass);
アラン・ヴァシェのカルテット。ドラムレスなところを活かす録音。少しジャンゴ・スタイルを意識したシカゴ・スタイルの録音。素敵。

Alex Belhaj's Crescent City Quintet (Toledo, Ohio May 20, 2015)
Ray Heitger (clarinet, vocals); Dave Kosmyna (cornet); Jordan Schug (string bass); Pete Siers (drums); Alex Belhaj (guitar)
ニューオーリンズでも活動したアレックス・ベルハージの録音。現在はミシガンで活動中。ニューオーリンズ・ジャズとして展開している。


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