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Indifférence

「アンディフェランス/インディファレンス Indifférence」は、1942年にミュゼットのアコーディオン奏者のトニー・ミュレナ Tony Murena とジョゼフ・コロンボ Joseph Colombo によって書かれたミュゼット・ワルツ(フレンチ・ワルツ)。この曲はトニー・ミュレナの代表曲にもなっている。また”indifference”は英語でもフランス語でも「無関心」という意味。「つれなさ」とも呼ばれる場合がある。ミュゼットはもちろんのこと、マヌーシュ・ジャズやフレンチ・ジャズのスタンダードとなっている。

トニー・ミュレナはバル・ミュゼットの大家。ほかのフランスのミュージシャンと同様に、やはりジャズから影響を受けており、この曲もスイング・ワルツになっている。こうしたフランスのミュゼットとジャズの両方の功績から「スイング・ジャズ・ミュゼット・パリジャン」と呼ばれる。

録音

Tony Murena et son Ensamble Swing (Paris May 30 1942)
Antonio "Tony" Muréna (Accordion); Pierre "Baro" (Guitar); Etienne "Sarane" Ferret (Guitar); Jacques Petitsigne (Bass)
原点。トニー・ミュレナの最初の録音。やはりマヌーシュ・ジャズやジャンゴ・スタイルに影響を受けているのでしょうか。アコーディオン・ヒーローの演奏は雄弁。

Daniel Colin avec Mathilde Febrer (Paris December 2015)
Daniel Colin (Accordion); Mathilde Febrer (Violin); Dominique Cravic (Guitar); Jean-Philippe Viret (Bass)
これを聴いてアンディフェランスがを知り好きになった。マティルド・フェブレールはピエール・ブランシャールの教え子で、さらにピエール・ブランシャールはグラッペリの教え子。フランス・ジャズ・バイオリンの系譜が見えるようですね。ダニエル・コランは現在のミュゼットを代表するアコーディオン奏者。どの音域もしっかり芯を食っていて聞き応えがあるのにさわやか。とくにバイオリンとの掛け合いが美しい。フランスを代表するギタリストのドミニック・クラヴィクのギターの音色も演奏もバンドを支えていて、ジャン=フィリップ・ヴァレのベースも的確にスイングさせている。曲が終わるとすぐにもう一度聴きたくなる演奏。

Les doigts de l'homme (Paris 2010)
Olivier Kikteff (guitar); Benoît Convert (guitar); Yannick Alcocer (guitar); Tanguy Blum (basse)
バンドだとレ・ドゥワ・ドゥ・オムの録音も素晴らしい。ギターでどこまでアコーディオンの世界を表現するのかを3人のギターとベースが挑戦している。アンサンブル・ハーモニーという点で刺さる。

Didier Lockwood & Marcel Azzola (Paris 2006)
Marcel Azzola (Accordion); Contrabass (Jean-Philippe Viret); Guitar (Martin Taylor); Didier Lockwood (Violin)
ディディエ・ロックウッドはマルセル・アゾーラと録音している。またこの録音に参加しているマーティン・テイラーとジャン=フィリップ・ヴァレはグラッペリのバンドにいたメンバー。もしグラッペリがミュゼットをしたらこんな風になるのか、という妄想が生まれる。


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