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Bloodshot Eyes

「ブラッドショット・アイズ Bloodshot Eyes」は1950年にルース・ホールRuth Hallとハンク・ペニーHank Pennyによって書かれたカントリー/ウェスタン・スイング・ナンバー。

カントリーで大ヒットしたほかに、ワイノニー・ハリスによる1951年の録音もヒットした。さらにはカリプソのミュージシャンにもよく演奏される。カントリー・スタンダードであるのと同時にジャンプブルース&ジャイヴ・スタンダード。

歌詞

歌詞は一番から三番まであるんだけど、それぞれ結構ひどい。

一番は、(元)恋人に身体的にも精神的にも酷い目にあわされた人物を励ますような内容。だからここで言われている「ブラッドショット・アイズ」とは「泣き腫らした目」であるのと同時に「殴られて赤くなった目」。そういった「血走った目」を指す。

二番では、場面が変わる。歌い手が恋人に別れを告げる際に、歌い手がまだその恋人と付き合っていたときの様相が描写される。

三番もさらに場面が変わる。相手について「君はサーカスに入るべきだ」「君の目は(泣いているから血管が見えて)まるでロードマップみたいだ」と描写し、最後は「血を流して死にたくなかったら夜は窓をちゃんと閉めるんだな!」と脅しのような文句が歌われる。

いわゆるサビにあたるBメロでは「そんな赤い目でおれを見ないでくれ。散々な目に遭ってきたんだね。君が嘘をついている。ただ泣いていたと言うなら、そんな赤い目を僕に向けないでくれ」と歌われるのだが、必ずしも歌い手は救いの手を差し伸べない。

録音

Hank Penny (Hollywood 9 March 1949)
Hank Penny (Vocal, Guitar); Dick Morgan (Guitar); Speedy West (Steel Guitar); John Morgan (Bass); Jack Peltier (Drums); Slim Duncan (Clarinet); Joe Bardelli (Piano); Bill Liebert (Accordion)
記念すべき最初の録音。ウェスタン・スイングなんだけど、ジャズとの違いを探そうとすると色々出てくると思うんだけど、スティール・ギターを使ってるくらいしかないんじゃないかと思う。そういった意味でジャンルの政治性について考えさせられる録音。

Wynonie Harris and his All Stars (New York, NY February 27, 1951)
Wynonie Harris (vocal); Frank Galbreath (trumpet); Alfred Cobbs (trombone); Alonzo Lucas (alto saxophone); John Greer (tenor saxophone); Bill Graham (baritone saxophone, alto saxophone); Herbert Parham (piano); Carl Pruitt (bass); Solomon Hall (drums);
ジャンプ・ブルースの決定的な録音。改めて聴くとそのパワフルさに圧倒される。

Sidney Bean (Bermuda[?] 1955[?])
バミューダのシンガー/ギタリストの録音。ギターの弾き語りなんだけどフットストンプがかっこいい。かなりシンプルな構成なんだけど飽きないし、ずっと聴ける録音。素晴らしい。

Talbot Brothers (Bermuda[?] 1956[?])
Archie Talbot (Vocal, Acoustic Guitar); Austin Talbot (Acoustic Guitar); Bryan Talbot (Tipple); Ross Talbot (Electric Guitar); Roy Talbot (Bass); Cromwell Manders (Accordion)
バミューダで活動していたカリプソ・バンドのタルボット・ブラザーズの録音。おそらくキャッツ・アンド・フィルドルあたりをお手本にしたのかもしれない。ジャイヴ感が強くて最高!

Tom Ball & Kenny Sultan (Ventura 1986)
Tom Ball (Vocals, Harmonica); Byron Berline (Fiddle); Kenny Sultan (Guitar)
シンプルな構成。ギターとハーモニカとボーカルが主体。フィドルがかっこいい。とても好きな録音!

The Perky Pollyvocs (Dresden July-August 2019)
Thommy aka Mr. Doo (lead vocal, snare, kazoo); Flip Rascal (2nd vocal, guitars); Gonzo Long (3rd vocal, bass)
ドイツのジャイヴ・バンドのパーキー・ポリーヴォックス。非常にかっこいい。

The California Honeydrops (Oakland 2021)
Lech Wierzynski (Vocal, Guitar, Trumpet); Ben Malament (Drums); Yanos "Johnny Bones" Lustig (Tenor Saxophone); Lorenzo Loera (Piano); Beaumont Beaullieu (Bass)
超売れっ子アメリカーナ・バンドのカリフォルニア・ハニードロップスの録音。めちゃくちゃかっこいい。ワイノニー・ハリスが下敷き。


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