北欧ドライブ紀行 '22夏 ②6/24 夏至祭@ストックホルム
その①のつづき。
北欧諸国では、夏至の週の週末はクリスマスと並ぶ1年の中でも大きな祝日であり、国全体で夏の到来を祝い、閉まっているお店も多い(これは北欧諸国においては、多かれ少なかれ夏を通してそうであるが)。2022年6月24日は金曜日であり、さながら前夜祭という感じである。
多くの国民が帰省し、家族とともに実家で夏至祭を祝う中、観光客もその雰囲気を楽しめるように観光資源化した夏至祭も中には存在する。ストックホルム近郊に宿泊型の本格的な滞在施設もいくつかみられるが、お金のない我々は、最も手軽に楽しめるものとして、市内のスカンセン(skansen,屋外博物館)で行われている夏至祭に参加した。
2日目は夏至祭への訪問が主となり、タイトルにもあるドライブはまだ出てこない散々な記事であるが、3日目はドライブするのでしばしお付き合い願いたい。
前日2時に家を出発し夜23時にホテルに帰着した私は疲労困憊であったため、ホステルにチェックアウト時間である朝11時ぎりぎりまで滞在し、体力を回復した。ドライブに睡眠不足は厳禁である。
スカンセンまでの道中、ストックホルム市庁舎に立ち寄る。市庁舎とはいえどもいわゆる市役所的なものではなく、ノーベル賞受賞者の晩餐会や舞踏会などが行われる、市の象徴的な建築物とでもいうべきもののようである。そのため、普段は予約をすれば一般市民や観光客も観光可能であるが、今回は散歩しているだけなので外から眺めるに留めた。一応現地で予約サイトのタイムスロットを眺めた記憶はある。
昼食がてら、ガムラスタン(Gamla stan)に立ち寄る。所謂旧市街であり、ガムラスタン自体がスウェーデン語でその意である。スターズホルメン島(Stadsholmen)全域がガムラスタンであるため、非常にわかりやすい*。
自分は後日じっくりストックホルム観光をする予定であったが、友人はこの機会のみであるとのことだったので、軽くガムラスタンを散策する。
昼食といっても、ガムラスタンのお店に入る財力は到底持ち合わせていないのでもちろんお馴染みのCOOPである。ガムラスタンではコーヒーを飲むだけで1000円が飛んでいく。COOP(に限らずスーパーマーケット自体)がガムラスタン最南端にしかなかったため、島を往復させられた。
COOPで適当なパンなどの昼食を買って食べるとともに、抹茶のようなお菓子を見つけたので興味本位で購入した。地味に20krもしていた。不思議に思い購入したが、全く抹茶の味がしないどころか、ひどく口に合わなかった記憶が鮮明に残っている。結局何の味だったかは忘れてしまった。
かなり歩いたのち、スカンセン広場に到着。スウェーデンの伝統的な暮らしぶりを展示する屋外博物館と、そこで暮らす生き物を展示する動物園の複合施設である。規模が大きくそれなりの入場料がするが、それに見合う展示量はある。見返すと学割で200krであった。こんなに高かったっけ。せいぜい100-150krくらいだと記憶していた。恐ろしいね。
夏至祭の会場へと辿り着く。広場に大きなポールを立てて、音楽に合わせて陽気に踊り、のんびりと楽しく踊り、沈まぬ太陽とともに幸せな夏の到来を皆で祝う。
midsommarsång,midsommarsångと思われる特徴的なフレーズとともに踊る。夏至祭はスウェーデン語でmidsommarと呼ばれる。映画ミッドサマーにより一躍有名となった単語である。是非動画で雰囲気を味わっていただきたい。
夏至祭では、スウェーデンの民族衣装を身に纏いながら踊る。衣装には地域差があるようで、私の地域の衣装は~、わたしのところは~、などと、数人の踊り子さんたちが集まった際に、それぞれの衣装の特徴や自慢みたいなものを少し教えてもらった。すべて忘れてしまって、今執筆しながら後悔している。
また、衣装とともに、少女(に限らず女性)は花冠もかぶる。少女になりたい人生だった。ここスカンセンでも、午前中に花冠制作会のようなイベントがあったようだが、午後に到着したためもちろん花冠は持ち合わせておらず、悲しい思いをしながら踊っていた。しかしそのうちに、イギリスからのご婦人方に、「もう私たちは帰るから、よかったらどうぞ」と、彼女らの花冠を譲っていただいた。ありがたく受け取っていると、別れ際に「あの子達日本人のくせに英語上手だわね」みたいなことを言っているのが聞こえた。日本人を一体何だと思っているんだとも思ったが、これも現実である。
そうこうして夏至祭を楽しんでいるうちに、その辺にいたストックホルムの大学に在籍している中国人留学生となぜか仲良くなり、30分以上喋った。クラスメイトと森や川へ出かけ、豊かな自然と触れ合っている楽しそうな日々を少し共有してくれた。ストックホルムでの留学が少し羨ましく思えた。インスタを交換した。今も元気に生きていてほしい。
ついでに動物園区画も軽く見学した。動物には詳しくないが、草地で暮らす生物、森の中で暮らす生物、水辺で暮らす生物、空を飛ぶ生物までさまざまいた。
明日の予定も早いため、伝統的な暮らしの展示のエリアを軽く眺めたあと、足早にスカンセンを去る。
いっぱい歩いて市街地に舞い戻る。我らが日本の無印がストックホルムの一等地を大きく占領しておりよい。ベルギーにも作ってほしい。
明日の早朝のフライトだったため、前日夜に予め空港近くに移動し、空港近くで宿泊することにした。昨日の空港->市内はFlygbussarnaという、空港輸送に特化した最も便数の多いバス会社で往復券189kr(=片道94,5kr)だったが、今回は時間のいいFlixbus(欧州全土に展開するバス会社)があったためそちらを利用した。2人で16,18€、1人8,09€である。ほんの少しの節約。ちなみに値は張るが普通に電車でも行ける。アーランダエクスプレス(Arlanda Express)とかいう空港までを20分で結ぶバカ速い無停車直通特急もある。
このバスはコペンハーゲンから走ってきており、乗客の殆どをストックホルム中央で下ろしてからおまけで空港まで行くバスであり、実質的な回送部分のみを乗車する変な客になった。目の前でたくさんの乗客が降りすっからかんになった2階建てバスの上階に乗り込む。なぜか案内がドイツ語だった。
夕食はまさかのマクドナルドである。ストックホルム中央駅の地下にはマクドナルドとバーガーキングがあり、どちらにするか迷った。店内飲食する時間の余裕がなくバスにハンバーガーを持ち込んでしまったが、バスがすっからかんで助かった。決して安くはないが、バスでCOOPの冷凍食品は食べられないので仕方ない。ポテトはどこの国でもおいしかったが、ベルギーよりおいしいポテトはこの世には存在しない。チーズバーガー+ポテトS+ファンタMセットで65kr。執筆中に道中のレシートを発掘したので解像度が高い。
空港から送迎バスで投宿。明日は早いが外はこんなにも明るい。おとなしくカーテンを閉めて就寝する。
真夜中に少し目が覚めて外の写真を記録してみる。ストックホルムは北極圏ではないが、夕日は沈めど完全に暗くはならずにそのまま朝を迎える。
その③へつづく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?