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インクルージョンと当事者参加〜ローソンPBの見直しから学ぶ〜

[キーワード解説] #インクルージョン #参加 #ダイバーシティ #ユニバーサルデザイン #インクルーシブデザイン

ローソンPB新パッケージ変更の背景

先日、コンビニ大手ローソンのプライベートブランド(PB)のパッケージを一部変更するというニュースが報じられました。2020年春以降、約680品目のパッケージを一新し、シンプルで色も控えめなナチュラルなイメージがSNSでは好評だったようです。

一方で、フォントや表記が小さくなったことから、商品名が分かりづらいという声も上がっていました。このような声を受けて、ローソン竹増社長は、「意見を真摯に正面から受けて、そうした意見とともにPBを作り上げていきたい」と表明しています。

ユーザーからの声を直ちに反映しようとする行動は、大いに歓迎されるべきです。

しかし、ではなぜ店頭に出るまでに、このような問題点が指摘されなかったのでしょうか?

その原因を考えると、多くの「炎上CM」とも共通する「当事者の意見反映の機会を十分に担保していない」という課題が浮かび上がってきます。

コンビニの商品であれば、ユーザーの属性は、年齢、性別、国籍からさまざまです。そういった購買者のニーズを広くとらえることが重要ですが、特に「マイノリティ」の人たちの意見が十分に聞かれていることを意識的に確保することはとても重要です。

今回の例で言えば、デザイン選定過程で、「高齢者」あるいは「障害者」の声が十分に聞かれていれば、事前の見直しにつながったかもしれません。

ユニバーサルデザインとインクルーシブデザイン

このように、できるだけ取り残される人がいないことを目指すデザイン設計手法として、「ユニバーサルデザイン」と「インクルーシブデザイン」があります。

前者は「できるだけ多くの人が利用できるようにデザインすること」(パーソナルモビリティ生産・販売を行う株式会社WHILL・HPより)、後者は「高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法」(インクルーシブ・デザイン・ソリューションズHPより)を言います。

ユニバーサルデザインの例として、幅の広い改札・スロープ・ノンステップバスなどが挙げられています。

このほか、郡山市のHPでは自動ドアや音響・時間表示信号機を紹介しています。

インクルーシブデザインの例としては、聴覚障害者のためのオンライン手話ヨガ・自閉症の方のためにスーパー内の刺激を少なくする時間の設定・様々な肌の色に合わせてバンドエイドなどがあります。

見過ごされがちな声を反映する仕組み作りを

ダイバーシティ&インクルージョンは多くの企業が積極的に取り組んでいるテーマの一つでしょう。しかし、「マイノリティ」の声が反映されるためには、意識的にその仕組みを作ることが必要です。

ビジネスと人権に関する指導原則は、人権の主体であるライツホルダーの声が十分に聞かれるように、ステークホルダーエンゲージメントの機会の重要性を強調しています。

インクルージョンを目指すその話し合いの場から、マイノリティとされ見過ごされがちな人々が自分の声を届けることができるように、参加の機会が十分に確保されていることがとても大切です。

Social Connection for Human Rights/佐藤暁子

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