見出し画像

天津外国語大学で中国語を学ぶ #3_武術訓練は突然に…

 大家好! みなさんこんにちは、マントウです。
 私が通う天津外国語大学では、11月初旬に中間テストがありました。その翌日から突然、中級~上級の中国語クラスの授業が約1週間休講になり、代わりに「中国武術訓練キャンプ」なるものが始まりました。

「武術訓練キャンプ」とは?

 どうやら、日本で言う「スポーツ庁」と「中国武術協会」の共催で、中国各地の大学を回って、留学生を対象に中国武術の普及活動をする…、という企画のようです。「6日間休まず出席して実技試験に合格すると、中国武術のコーチを自国に招聘できる資格証がもらえるのよ!」と留学生オフィスの先生に熱弁されましたが、果たして私の人生で、中国武術のコーチを日本に招聘する日はくるのでしょうか…。

日に日に減っていく同級生たち

 この訓練、何と土日も休みなしで(!)、朝9時から夕方5時半まで、6日間連続で行われました。留学生向けのふんわりした「文化体験」的なものかと思いきや、気温2℃ぐらいの寒い体育館で一日中びっちり練習させられ、思った以上のキツさ…。初日が終わるころには、すでにもう全身バッキバキの筋肉痛です。先生からは「全員参加」と言われたけれど、あまりのキツさに2日目には同級生は6割ぐらいに激減。その後も午前、午後と出席を取るたびに仲良しの同級生が少しずつ脱落していき、その都度2人ペアで練習する相手を新たに探しながら訓練続行…。5日目昼に、それまで一緒に練習していた、アニメ『あの花』好きのインドネシア人男子に「ごめんね、僕本当に疲れたから今日の午後は休むよ。君、ペアを組む相手がいなくなるかもしれないけど、がんばってね。」と言われた時は「おぉぉ、ついに君までいなくなるのか…」と心細さに泣けてきました。


中国武術の「兵道」

スポーツチャンバラみたいな「兵道」

 「中国武術」と聞いて太極拳やカンフーをイメージしていましたが、日程前半のメインはスポーツチャンバラみたいな「兵道」というもの。防具を着けて、スポンジを巻いて柔らかくした剣で戦います。
 この「兵道」では、①審判のやり方 と、②剣を持ってやる演舞のようなもの、を繰り返し練習させられました。もともと運動全般が苦手な私は剣を振り回す練習で疲れ果て、「ちょっと待って。中国語を勉強するために学費を払ったのに、なぜこんなことをしているのか…。」と周りの全てのものを呪いたくなりました。

昭和生まれの「理不尽耐性」

 なかなか体力的に堪えたので、ずっと「いつ損切りするか?」「これをやって何のメリットがあるのか?」を考えながらの訓練でした。学外の駐在奥様仲間に「いま大学で毎日中国武術訓練やってるんだけど辛すぎて…」とグチったところ「何それ?みんな辞めてくのに何で続けてるの?えらくない?」と大爆笑。何でだろ…と考えてみたところ、昭和生まれな上に新卒でかなりのブラック業界にいたので、「理不尽なこと」に対する耐性が無駄に高いのではという結論に至りました。
 
 日程中盤からは剣を使わない「長拳」「南拳」「迷走芸拳」という、空手の演舞?に近いものがメインになり、体力的にはほんの少し楽に。この演舞はほどよく短い上に、道具要らずでどこでもできるので、「日本に帰ってから宴会芸で使えそうだな…。」という考えが頭をよぎり(というかそれ以外に活用法が思いつかない)、一層しみじみと自分の昭和生まれを実感するなどしました。

 必修と言われた割にはどんどん出席者が減っていき、「これ途中でやめても問題ないのでは?」と気づいた時には、すでに日程も終盤。ここまできたらと最終日の実技試験まで参加して、「資格証」をもらうことにしました。

訪れた平穏

 嵐のような武術訓練が過ぎ去り、ようやく通常の中国語の授業が再開。日常が戻ってきて、ほっとしています。「中国の大学全般」なのか「天津外大に限る」なのか定かではありませんが、こんな風に全てのことが突然通知され、突然変更されます。中国語を学ぶために入学したつもりが、うっかり武術の剣を振り回すことになる…、そんな可能性を秘めながら、今日も中国大学生活は続くのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?