ねずみの王国で会得したこと

大阪人だからか、性根がそうなのか。
生まれてこの方、並ぶということに慣れない人生を送ってきた。いや、むしろ慣れないと言うより端的に嫌いだ。

まず列があった時点でその場所に行く気が失せる。
そこまでの必要性は免許の更新か空港のチェックインぐらいにしか思っていない。

それは今でもあまり変わらないが、気持ちは「まぁ、並んでもええか」とは思えるようにはなった。

つい先日も神社へのお参りをしたとき参拝までには長い列があった。
昔の僕なら「また今度来よう」と思い踵を返すところ、「まぁ、並んでもええか」と並んだ。
長年の習性が少し修正された訳であるが、ふとどうして並べるようになったのか気になった。

思い当たる節は、千葉に有りながら東京の看板を背負っているねずみの王国であることに行き着いた。
子供が出来、生まれて初めて訪れた王国は、仕事を休んで平日を狙ったにもかかわらず、やはり人が多く、そのほとんどのアトラクションは並ぶ事を強いられた。

昔の自分ならばと思えど、妻も子供も居る。逃げ場もない。僕は仕方なく並ぶ羽目になる。
並び、そしてアトラクションを楽しむを繰り返し気付いたことは、思ったほどの苦痛ではなかったことだった。それは、僕が忍耐強くなったわけではない。ねずみの王国は待つことも楽しませてくれる場所だったのだ。

王国で並ぶ、待つことに慣れた僕は、日常でも多少の待ちなら耐えれるようになった。
大人になるまで敬遠し、何が面白いんだと思っていたねずみの王国は、僕に待つということを楽しみながら会得させてくれたのだ。

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