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ナルシシストという毒から身を守るには 

息苦しさは、自己理解だけでは解決できない

退職の理由は「人間関係」、離婚の理由は「性格の不一致」
こんな漠然とした理由で物事を捉えていては、いつまでたっても一人ひとりの苦痛を取り除くことはできないでしょう。

「人間関係の悩みや性格の不一致の原因が、自分にもあるのでは?」 
と、辛さと向き合って自己反省する人がいます。

自分のことを知ることはいろいろな意味で有意義なことですが、他人との付き合いの中で「他人は変えられないから、自分が変わらないと」は解釈の仕方によってはあまりにも残酷。
「他人のことを正しく認知して、それに対処する術を身につけるべし」
が本当の実効性のある改善策ではないでしょうか。

ナルシシストがあなたを苦しめているのかもしれません

対人関係の中で、ナルシシスト(自己愛性パーソナリティ障害・NPD)の存在が自分を苦しめているのかもしれません。

クライエントの中には、ナルシシストの存在が原因で苦しんでいるにもかかわらず、それに気付いていない人がいます。

それは、ナルシシズムという病気についてまだ社会的に正しく理解されていないからではないでしょうか。

ナルシシズムを正しく理解し対処することは、日常生活において大切なことですし、自分自身の心の苦しみを軽減してくれるはずです。

ナルシシストを正しく理解する

誰もが知っているナルシシストの症状は、長時間鏡を見て「自分にうっとり」といったところですが、その特徴はもっと深刻で、周りの人に及ぼす悪影響はとても大きいと思います。

その特徴は
・他人への共感の欠如
・自己顕示欲
・批判や拒絶に対する脆弱性
・他人を利用したり操作したりする能力
・罪悪感や後悔の欠如
・反省の欠如
・社会的スキルの欠如
・感情的な成熟度の欠如
・自己愛と優越感

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では実際に職場を含めた生活の中で、具体的にどんな人物なのでしょうか。
私が感じ取った「ナルシシストはこんな人」を列記してみます。

・自分のことばかり話すが、人の話は聞かない。
自分の感情や考えをよく話すが、心底満足はしていない。自分のことで精いっぱいで人のことを心配するゆとりはない。

・人から軽く批判されたり、冷笑されるとひどく傷つく。
周りから褒めてもらうこと、優越感を味わうことを強く求めているため、それが叶わないときには傷つきやすい。

・人の幸運を見て不愉快になる。
人の幸運や成功の話題になると、不愉快になり怒りがわいてくる。

・人に称賛されないと落ち着かない。
他人からの評価を気にするが、かといって称賛されるほどの努力はしないで自己満足に浸っている。自己評価が高すぎるためその評価に満足できない。
自己評価が実際よりも高いことは、能力が低い人の特徴でもある。(ダニング・クルーガー効果)

小さな努力結果を褒めてもらわないと機嫌を損ねるが、その原因を褒めなてくれない人に向かっての怒りと小馬鹿にすることで、自分が傷つかないようにしている。

・「傷つきやすい」やすいため「傷つかない」手段を身につけている。
自分の失敗を認めたくないため、反省よりも言い訳を優先して探す。
極端な場合、勝手な妄想を描いて悪人を設定してまで自分の心を守ろうとする。また怒ることで(逆切れ)ごまかすことがある。

・「褒められたい」を最優先して、やるべきことをやらない。
何かに取り組む際にも、「他人にバカにされたくない」や「自己顕示欲のために努力する」ので、決して本来の目標達成努力とは動機が違っている。
ある程度の努力ですぐに「褒められたい」が優先するため、努力の継続はない。つまりは褒められたが努力はしない。
もちろん、人のために、みんなのためにと頑張る喜びがどんなに大きいかを知る由もない。

・意見の中身ではなく、意見を言った人の好き(褒めてくれる人)嫌い(褒めてくれない人)で判断する。
自分に都合の良い人にだけ、仮想の信頼感を持っている。
そのため他者の意見の内容の良し悪しは関係ない。
自分で都合よく作り上げた強い先入観で物事を判断している。

・被害者意識を持った悲観主義者である。(脆弱なナルシシスト)
「悲観主義は巧妙に偽装された攻撃性である」アドラー
褒められたいが褒められない現実があると、物事はうまくいかないという悲観主義になる。
自分の失敗について言い訳を優先するが、その内容は身勝手な自己弁護で自分の心を守ろうとする。しかしその後反省、後悔とは異なった強い落ち込みがある。

・自分自身を非常に重要で偉大な人物であると信じており、他人を軽視する。(グランジオーズナルシシスト)
常に自分が正しいと思っていて、他人の批判やニーズを受け入れない。
他人をコントロールする一方で、依存心は強い。

・感謝することを知らない
他人が自分にしてくれたことは過小評価してすぐに忘れるが、自分が他人にしてあげたことは過大評価していつまでも忘れない。また、その他人にしてあげたことが相手にとって良いことだと決めつけている。

・その他にも
意外と目立ちたがり屋、他人の目を異常に気にする、ちょっと知り合っただけで友達として馴れしく振る舞う、人にものを教えるような話し方をする、自分の基準で人を判断して疑わない、優越感を得るがために他人の一部分の弱点を見つけて喜ぶなども、ナルシシストと言えるかもしれません。


私の生活相談等のカウンセリングや職場、家庭、地域での生活体験の中で、息苦しさの原因がナルシシストによるものではないか、あるいはご本人がナルシシストではないかと疑うようなことが時々あります。

実際にそう感じた事例を、相談者ご本人には気づかれない範囲で記述してみたいと思います。ここまで読んでくださった方には申し訳ございませんが、カウンセリング内容が入りますので、ここからは「有料記事」とさせていただきます。

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