見出し画像

脱炭素化の未来を拓く:シュナイダーエレクトリックの使命と日本市場への挑戦②

前回記事はこちら


自己紹介

田中二郎 - サステナビリティ事業部 Japan Country Manager
2022年にシュナイダーエレクトリックに入社、2023年より現職。大学卒業後、総合商社のエネルギー部門において石油・ガスの物流・開発に携わる。中国駐在中、同国におけるモバイルアプリ市場の興隆を1ユーザーとして経験したことをきっかけに、その後モバイルアプリ開発会社に参画。その後再生可能エネルギーを扱う中国最大手企業の日本法人においてセールスマネージャーとして、再生可能エネルギーの普及に尽力、現在に至る。


シュナイダーが提供するサービスの優位性


―シュナイダーのサステナビリティ事業について、その独自性について教えてください。

私たちシュナイダーは3ステップのアプローチでクライアント企業の支援をしています。最初のステップが、脱炭素化に向けた企業のサステナビリティ戦略の立案・策定。このステップでは事業活動のベースラインを測定した上で、脱炭素ロードマップの策定、並びにガバナンス推進体制を構築し、外部へのコミットメントに向けた開示対応を支援します。
第二ステップとしては、デジタル化に向けた現状分析と打ち手の検討です。各種ESGデータを一元管理し、見える化・評価・ESGレポートを作成できるデジタルプラットフォームをグローバルに展開しています。アセットやビル・工場の稼働状況を可視化し、まずは現状把握するところから始まります。その後、CO2削減に向けたアクションプランを策定し、進捗管理を支援します。
最後が脱炭素化に向けた具体的な施策の導入支援です。クライアント企業の事業活動において、エネルギー消費量を削減するとともに、エネルギー源の転換の提案・実行支援、さらにはクライアント企業のサプライチェーンにおける脱炭素化に向けた包括的な支援を実行します。

施策の導入支援フェーズにおいては、例えば、再エネ電源を導入することになった場合、このように導入すればCO2排出量を削減できますよ、だけではなく、PPAアドバイザーとしてどのようにして契約を組成すればいいか、といったところまで寄り添います。
加えて、私たちは工場を直接訪問してのオーディット対応も可能なため、監査と合わせて工場の省エネ改善まで踏み込むことも可能です。

―「脱炭素化」は現代社会において重要なテーマであることから、多くの企業が本領域に参画しサービスを展開しています。他社との差別化要因について、もう少し詳しく教えてください。

例えば、CO2の見える化ツールを提供する企業は、数多くあります。また、脱炭素化に向けた戦略やロードマップの策定が得意な戦略コンサルティング会社もいます。ただ、クライアントの目線で見たときに、現状を把握し、改善に向けた戦略やロードマップ策定、そして実行といった一連の流れについて発注先が分断してしまいます。
私たちの場合、1社単体でクライアントクライアント企業様のペインポイントを請け負うことができ、一連のプロセスにおいて一気通貫でサービス提供できるというのが、私たちの価値と言えると思います。

サステナビリティ事業部の日本市場に対する打ち手と戦略実現に向けたロードマップ


―シュナイダーエレクトリックはいわゆる外資系企業ですが、日本市場におけるビジネス展開と戦略について教えてください。

主に2つあります。
一つ目はIndirect Dealと呼ばれる、シュナイダーグローバルとしての契約について、クライアント企業の日本法人に対しての関わりです。グローバル契約の中で定義されたデリバリーあるいは成果物提供を契約履行に向け日本側からサポートします。
二つ目がDirect Dealと呼ばれる、シュナイダージャパンのサステナビリティ事業部として、日本企業や外資系日本法人と直接契約し支援するアプローチです。


―――日本市場においてシュナイダーがサステナビリティに関するビジネスを展開する意義について教えてください。

シュナイダーのサステナビリティ事業部は日本の製造業を主軸に据えつつ、データセンターや小売業も含む、特にプライム上場企業を主な顧客層とし、彼らのバリューチェーンにおける脱炭素化を最大化するために価値提供をしています。
日本に目を向けると、日本のマーケットの成熟化、人口減少の加速化といったメガトレンドを背景に、日本の製造業において製造拠点の海外移管は枚挙にいとまがありません。一方、環境への配慮を求める投資家からのプレッシャーも年々増えています。2030年、あるいは2050年まで、長期を見据えていかにCO2排出量を削減していくか、具体的な目標を掲げ、打ち手を講じ、取り組みの結果を開示するという社会的な要請が年々高まる一方です。
そういった環境下にある日本の製造業と、私たちシュナイダージャパンのサステナビリティ事業部が連携を深めることの意義、それは、海外子会社・現地法人含めたグループ経営の観点で、脱炭素化への取り組みを強力に推進しなければならない日本の製造業に対し、グローバルにサポート体制を敷くシュナイダーとして包括的な支援が可能になることにあります。

―具体的には、どのようなニーズが想定されますか?

日本国内の工場であれば再生可能エネルギーの調達手段や、脱炭素化に向けた取り組みなど、各パートナー企業が国内に多く存在することから選択肢は多くあります。ただ、そういった日本の大手製造業は、日本のみならず海外、例えば東南アジアや東欧、南米などに製造拠点を持つケースも数多く存在します。その場合、現地における再生可能エネルギー調達の手段や、グローバルサプライチェーンにおける包括的な脱炭素化の取り組みなど、一気にハードルが上がることは容易に想像がつくと思います。
このようにグローバルに事業展開している日本の製造業に対し、海外拠点含めた企業体としてのKPIを設定し、事業全体のエネルギー効率化に向けたロードマップの提案・実行支援に寄り添うことが可能です。

先述のIndirect Dealの逆パターンですね。

はい、その通りです。これまでは、シュナイダーグローバルとしての契約について、クライアント企業の日本法人にグローバル契約の中で定義されたサービス、例えば製造拠点における電力調達サポートなど、日本側で提供してきました。
シュナイダーのグローバル全体としての顧客セグメントの一つが製造業ですが、これまでグローバルとして日本の製造業に対するアプローチはあまり出来ていませんでした。今後私たちサステナビリティ事業部が日本において事業基盤を強固なものにすることで、シュナイダー全体のシナジーを最大化してきたいと考えています。

―今後の日本市場における事業拡大に向けたロードマップと将来的な展望について教えてください。

サステナビリティ事業自体はシュナイダーのグローバルとしては大きな存在感を示していますが、日本法人については私が入社した時とほぼ同じくして立ち上がりました。立ち上げ期を経て現在第三フェーズまでのロードマップを掲げています。
第一フェーズとしては、先述のIndirect Dealを確実に実行し、組織として知見を蓄積すること。第二フェーズとしては、Direct Deal案件を増やすことで、日本市場におけるプレゼンスを高めること。第三フェーズは、金融機関等とパートナーシップ契約を締結し、サステナビリティ先進国であるヨーロッパの知見・経験を日本に落とし込むための枠組みを構築していきたいと考えています。

―日本において事業拡大していく上での課題と打ち手は何でしょう?

やはり、日本の製造業においてシュナイダーの知名度がまだ浸透していないことが挙げられます。先ほど第三フェーズとしては、金融機関等とパートナーシップ契約を締結し、サステナビリティ先進国であるヨーロッパの知見・経験を日本に落とし込むための枠組みを構築していきたいと述べました。個別の企業に特化した支援はもちろんですが、シュナイダーの取り組みを日本全体に広くあまねく浸透させていくには、やはり経済活動の上流から網を張り巡らせるといった仕掛けにより、国としての脱炭素化の機運をさらに高めていきたいと考えています。

―なぜパートナーシップ先が金融機関なのでしょう?
投資家や政府の間では、気候変動の影響を受けない持続可能な未来への移行において、彼ら自身が果たす役割は非常に多くかつ重要であるとの認識が高まっています。金融機関や機関投資家としても、CO2削減に資する投融資を実行することで、社会経済全体の脱炭素化への移行を支えていくという動きは日本においても今後ますます加速する見込みです。そういった金融機関の取り組みに対し、我々が関与することによりグリーンボンド・グリーン債・グリーンローンといった案件が組成されるよう、協働していくというイメージを持っています。

―シュナイダーは金融機関との連携に関するノウハウはあるのでしょうか?

はい、私たちサステナビリティ事業部のエリア統括はシンガポール・香港に所在していますが、地域・都市の性格上彼らは金融機関との連携に焦点を当てています。シュナイダーがグローバルとして培ってきたノウハウを日本でも展開し、日本全体としての脱炭素化に向けインパクトを出していきたいと考えています。特に日本はモノ造りを得意とする製造大国ということもあり、我々サステナビリティ事業部が得意とするサービスとの相性が非常に良いのが特徴です。今後、機関投資家や金融機関と各企業間においてGXに向けた対話が進展することが予測されます。双方への働きかけ・協働を着実なものとし、日本経済界へのインパクト、ひいては日本の脱炭素化に向け貢献していきたいです。

カントリーマネージャーとしての展望と目標


―カントリーマネージャーとして、田中さん自身が果たすべき役割について、ご自身としてどう捉えていますか?

やはり何と言っても、日本の市場において、シュナイダーエレクトリックのプレゼンスを高める主体であること、またプレゼンスを高める過程において、メンバーにとって活躍・成長の場になるよう機会を提供していくことだと思っています。私は本事業部の立ち上げメンバーとして入社しましたが、事業を軌道に乗せるべくメンバーとともに手探りの中必死に駆け抜けてきました。紆余曲折もありましたが、今や多様なバックグラウンドを持つメンバーを数多く迎えチーム一丸となってクライアント企業の支援を行っています。私は組織をリードする立場として、組織としてのビジョンを解像度高く上げると同時に目標・方向性を示す役割を担っています。メンバー個々人が持つ彼らの目標とベクトルを合わせると同時に、各人が強みを最大限発揮し成果が出せるような職場環境を創出するとともに、キャリアを支援したいと強く思います。

―最後に、田中さんが今後シュナイダージャパン サステナビリティ事業部のカントリーマネージャーとして果たしたい目標を教えてください。
サステナビリティにおける外部機関からの高評価に驕ることなく、私達が築き上げてきた知見や経験をいかに社会の脱炭素化の取り組みに還元していくかが重要な使命と考えます。私達は会社全体においても、社員個人においても、IMPACTという言葉にバリューを置いています。産声をあげたばかりのサステナビリティ事業部ですが、顧客へひいては日本社会全体にサステナビリティというIMPACTをもたらし、現代における社会課題を皆さんと一緒に解決していきたいと強く思っています。次代に誇れるビジネスを実現すべく、邁進していきます。

じろうさん、ありがとうございました!