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閉鎖病棟24時|保護室 No.0

インターネット検索欄に『精神病棟』などと打った時、次いで出てくるのは『怖い』『扱いひどい』。おそらくこの記事にたどり着いた人々も、期待してる。『怖い話』。

が、しかし、なるたけ愉快なのをお送りすると決めている。

ようこそ、閉鎖病棟24時。

このコラムは、今日も現場で働き続けている精神科医(病棟医)と精神科ナースへ敬意を込めて発信する。

保護室とは

精神科病棟の中でも、閉鎖病棟がある。

病棟の出入り口が常時施錠され、病院職員に解錠を依頼しない限り、入院患者や面会者が自由に出入りできないという構造を有する病棟である。(Wikipedia)

閉鎖病棟の中でも保護室がある。

分厚い壁とトイレしかない部屋。

●他の患者さんの刺激になる
●自殺しようと自傷する
●物壊すとか他の人傷つけるとか
●ムッチャ動くから看護師見守りきれない
●検査とか拘束して点滴とか必要
●「措置入院」や「医療保護入院」などで強制的に入院させられる場合。

上記の場合、入れられる部屋。

45人看る病棟で、6部屋あった。『あの人保護室行ったらしいよ』とか『あの人保護室から出てきたばかりやから危ない』とか他の患者にも噂される場所。

色々ある保護室タイプ

:かなり分厚い。どんどんと叩いても、自分の手に痣ができるだけのレベルで頑丈。持ち込める武器的なものは、食事の時の割り箸やスプーンのみなのに、なぜか壁に『ドラえもんたすけて』と書いてて、それを彫った人の気持ちがしんしんと心に沁みた。

トイレ:看護師さんに流してもらうまで、置いておくもの。匂いはもうしょうがない。健康観察のためにだし、汚物でないものを流してしまう人もいるため、自分では流せない仕組み。ただ、大をしたのに、汚物の申告のタイミングを逃してしまい、流されずに、その日のメニューがカレーだった日のことは一生忘れない。

病院の構造:完全個室と、横の患者さんの顔は見えないが声は聞こえる(鉄格子の奥が看護師の通る廊下)、2つのタイプがある。私は圧倒的に後者タイプの方が好きだ。寂しさが紛れる。メンバーに恵まれると、カラオケ大会などが始まり、愉快である。が、大きなデメリットがある。自分が正常になってきた時、隣の人が一番悪い状態だったりするとその独語で眠れない。

この世の天国も地獄も自分の心が決めるのだ。そして地獄に行くも天国に行くも、選んだのは自分だ。

ただ、病気という地獄に向き合った時、その人に寄り添う医療がある。その医療のおかげでその場が天国に感じたりする。そんな感動的な看護をたくさん受けてきた。医師や看護師にとっては、患者と話す言葉が通じなかったり、認知症の方が悪気もなく廊下に落とした汚物を片付けたり、厳しい現場だ。なのに機能し続けている。社会から受けた恩、健康になって社会に還元したいものだといつも思う。

つづく

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