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CALLING[小説] #創作大賞2024

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食べ物の声を聞くことのできる少年が、ある食堂との出会いをきっかけに人生変えていく話 #創作大賞2024 #お仕事小説部門
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#フード

CALLING [小説] (1/3)

CALLING [小説] (1/3)

プロローグ

 例年よりも一足早い桜の開花に、街中が柔らかくあまやかな空気に満ちている。レジャーシートを敷いた花見客は、ほの白い光に囲まれて弁当を広げ、一様に明るい表情を浮かべていた。

 浅野由貴は、職場の窓から白い渦のように咲きあふれる桜を見下ろした。デスクには今日発売されたばかりの雑誌「Live」が数冊置かれている。表紙の中央には、一際大きな明朝体で「春のぬくもり」と書かれていた。由貴の指が

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CALLING [小説] (2/3)

CALLING [小説] (2/3)

第2章

3.

 今井と店を訪れてから、外食はめんどくさいと思っていたのが嘘のように、3週連続で店に通い続けている。まるで中毒を起こしたみたいに、あたたかいおにぎりと具沢山のみそ汁が欲しくなって、そのあたたかいのを食べると、不思議なくらい自分の体が軽くなるのだ。
 僕がちょうど『3rd kitchen』から帰ってすぐのことだ。普通の勤め人なら帰宅するはずの時間に、これから出勤だという母さんに呼び

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CALLING [小説] (3/3)

CALLING [小説] (3/3)

第3章

5.

 母さんの作った食べ物が、『料理の記憶』を持っていたのかもしれないということに気づいたからといって僕の暮らしが大きく変わるようなことはない。ただほんのちょっと、弁当の時間が嫌いではなくなった。それだけだ。僕が母さんの弁当を喜んで食べようと食べまいと、毎日は変わらずやってくる。つまり、中間考査が目前だった。

 テストが明日に迫り、放課後の教室はにわかに活気づく。僕はなぜこうなった

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