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セリフは少なくても雄弁。映画『ソワレ』にみる会話とセリフの違い

8月の終わりに、映画『ソワレ』を観に行きました。季節感も、この時期にぴったり。なので、いま、観ておくことをお勧めします。

主演は、類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある村上虹郎と、独特の存在感で鮮やかな印象を残す新星、芋生悠。監督は、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭、外山文治。そして、プロデューサーは、この若き才能とともに日本映画の未来を見つめ、手探りで映画初プロデュースに果敢に挑んだ豊原功補と小泉今日子。
映画『ソワレ』公式サイトより

そんな映画『ソワレ』を観た後でしたツイートについて、もうちょっと詳しく書いてみます。

『ソワレ』のシナリオが、『シナリオ』なんかに掲載されたら面白いと思うのですが、主人公二人のセリフは、削りに削っているのではないかと思います。

その分、一つ一つのセリフが活きてくる。

その分、映像が目に飛び込んでくる。

そんな感じがしました。

会話とセリフの違いを、新井一は『シナリオの技術』の中で、ろ過器に例えます。

会話の中には、ドラマに関係のないものが多く含まれているので、これを整理する必要があります。
新井一『シナリオの技術』

シナリオを書いていると、「どんどんセリフが湧いてくる~」 というのは、一見ステキな気もしますが、実は会話を書いているだけかもしれません。

会話とセリフの違いをまとめると……

①ろ過する
②相手に話すばかりでなく観客にもわかってもらう
③ドラマの制限時間も考える

ぼくらの日常は、誰でも会話はできるけれど、セリフを話していないわけです。そもそも観客がいないわけだし。『セリフ』って奥が深いですねぇ~

「自分は、セリフを書けているかな?もしかして、会話を書いているかな?」と不安になったら、是非、映画『ソワレ』を観て感覚を養ってみてください。


で、そんなセリフという観点から映画『ソワレ』を観て思うこと。この映画を、プロデュースしているのが俳優の豊原功補さんと小泉今日子さんなわけです。

きっと、映像で魅せる映画らしい映画を作りたいし、ご自身たちも演じたいんだろうなぁ~、と。こういう映画を、俳優さん側にプロデュースさせちゃっていいのかな、と。

創る側も観る側も、お互いを信じて製作できれば、もっとステキな作品は生まれるはず!と、映画『ソワレ』は思わせてくれます。


そんな感想をもったぼくの編著『改訂版 いきなり効果が上がるPR動画の作り方』もどうぞごひいきに。


シナリオ・センターは『日本中の人にシナリオをかいてもらいたい』と1970年にシナリオ講座を開始。子ども向けキッズシナリオも展開中。アシスト、お願いします!! https://www.scenario.co.jp/project/kids_assist/index.html