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いいセリフを書くには?脚本家鼎談から探ってみた

シナリオ・センター50周年を記念して、唯一それっぽい感じで行った11月23日のイベント『それはセリフのせいだ。~脚本家鼎談&新井一賞授賞式』の脚本家鼎談の部分を、少しだけ公開。

当日の様子は、こちらのブログをご覧くださいまし。

シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が創立。
ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど600名以上の脚本家、小説家を輩出するの学校です。2020年で50周年!
URL:https://www.scenario.co.jp/

脚本家鼎談にお越しいただいた脚本家の先生方

柏原寛司さん(脚本家・監督)
「傷だらけの天使」「俺たちの勲章」シリーズ、「太陽にほえろ!」「西部警察」「あぶない刑事」「ルパン三世」「名探偵コナン」「ゴジラ」「さらばあぶない刑事」など多数

清水有生さん(脚本家)
朝ドラ「あぐり」「すずらん」、「3年B組金八先生」シリーズ、「明日の光をつかめ」シリーズ、「さくらの親子丼」シリーズなど多数

岡田惠和さん(脚本家)
朝ドラ「ひよっこ」「おひさま」「ちゅらさん」、「姉ちゃんの恋人」、「ビーチボーイズ」、「最後から二番目の恋」シリーズなど多数。向田邦子賞、橋田壽賀子賞など多くの脚本賞を受賞、「芸術選奨文部科学大臣賞」受賞

そして、当日に飛び入り参加してくださった前川淳さん。

前川 淳さん
脚本作「ドラゴンボールZ」「美少女戦士セーラームーンセーラースターズ」「名探偵コナン」他、シリーズ構成「デジモンアドベンチャー02」「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」「テニスの王子様」他。

自慢じゃないですが、豪華な先輩脚本家のみなさんに、この時期にお集まり頂きました。いい話が聞けるにきまっています!

とくに今回は、『セリフ』に焦点を当ててお話しをしていただきました。

説明セリフにならないようにするためには?

「アクションとか、刑事ものとかの場合は、説明セリフは必要になるんだよな。説明しなきゃいけないときは、主人公になるべく説明させないように、展開で見せていく

「ドラマの種類にもよりますが、説明が必要なときには、説明してしまう

「登場人物が何かを説明しようとするんだけど、うまく説明できない。話がそれたりしながら、何とか説明するとか、うまく説明できないのを誰かがフォローするとか、そうやってキャラクターを出していく

子ども向けだと、説明が長いと飽きちゃう。だからなるべく、動きのある中で説明する。深夜のアニメとかだと、お風呂に入っているシーンで説明させろとか言われたこともある(笑)」

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いいセリフとは何か?

作者が、自分の言いたいことを登場人物の口を借りて言っているようなセリフは、コンクールの審査とかでも違和感を感じる。そういうセリフは、かっこいいセリフかもしれないけれど、いいセリフではないと思う」

「つねに、自分が書いたセリフに対して、疑う。このセリフは、本当にこのキャラクターが言うのって常に疑っている

ドラマの感想は読むのか?

「ツイッターとかで、ドラマの放送中の感想は、見ていて面白い。それは、反射神経的なことばだから。
いいシーンだと、ツイートが止まる。それも面白い

「物書きの根っこは、否定されるのがいやなのだと思う。でも、人がどう思うのかを楽しんだり、伝わってないとしたらどう描いたら伝わるだろうかと考えるのも大切

「人の意見を聞くのは大切。視聴者のことはあまり考えないといったけれど、人の意見を聞かないということではない。プロになると直しがある。
その時にも、自分が何を書きたいかが大切

セリフはセンスなのか?

「セリフのうまい、下手は生まれつきような気がする。だから、セリフについてはあまり考えないようにしていて、キャラクターや構成を意識している

「正しい文法で書いたものを、あえてぐちゃぐちゃにしたりする。人は、そんなに文法通りにしゃべらないから」

自分の思っていることは、いらない。(登場人物のなかに)自分がどこにもいなくていいと考えるようになってから、楽になった」

自分が面白くないと、面白いものは書けない

創作に答えはない

『それはセリフのせいだ。脚本家鼎談&新井一賞授賞式』での鼎談では、大御所の脚本家のみなさん、それぞれのご意見や考え方がとてもよく分かって、面白かったです。

なによりも、現役の最前線で活躍する皆さんが、まだまだ試行錯誤していることが興味深かったです。「自分はこう考えている」というものを持ちながら、常に「でも違う考えもあるかもしれない」という柔軟性を感じます。

きっとそれは、創作という『答えのない世界』でずっと生きていらっしゃるからなのだと思います。

創作の世界は、すばらしいなぁと改めて思いました!

プロディーサーの視点も書いてます。よければどうぞ。


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