マガジンのカバー画像

映画とかのはなし

32
観た映画やドラマのはなしを書いたnoteが入ってます。シナリオ創作に役立つ技術よりのはなしを書いているつもりです。
運営しているクリエイター

#映画感想

中3にオススメしてもらった映画『幸せなひとりぼっち』が、とてもよかった話

シナリオ・センターのあらいです。 こないだ中学3年生の男の子に、最近観たオススメ映画を教えてもらいました。それが、『幸せなひとりぼっち』という2016年に公開されたスウェーデンの映画でした。 で、めちゃくちゃよかったので、思わずnoteにしたためております。 教えてもらった経緯シナリオ・センターでは、『キッズシナリオ 考える部屋』という小・中学生向けのシナリオ教室をやっています。(6月に新クラス開講しま〜す!) 先週の『考える部屋』の際に、開始時間での集まりが良くなかっ

目に見えない関係性を映し出す。映像表現の技術

マンガ『子供はわかってあげない』が好きすぎて、映画版を観に行く勇気がなかったけれど、 映画を観てよかった 沖田監督と脚本のふじきみつ彦さんは、裏切らないですね。 そう思う理由は、山のようにあるのだけれど、ひとつあげると、 『魔法左官少女バッファローKOTEKO』です! えっそこ? と思うかもしれません。名前を書くシーンとか、色々いいシーンはあるしね。 でも、『魔法左官少女バッファローKOTEKO』が、サクと、サクに繋がる男たちの関係をものの見事に描いているんですも

生きづらさの正体を『花束みたいな恋をした』『すばらしき世界』に観る

「学生たちはね、ある限られた箱の中で、個性をだせって言われているようなものなんですよ」 表参道の昼下がり。オープンカフェで、まだ肌寒い青空のもと、大学のキャリアセンターで特任教授をされている方と、コーヒーを飲みながらそんな話をしていました。 ふっと『花束みたいな恋をした』と『すばらしき世界』のことを思い出しました。 生きずらさの原因はなんだろう「『ゴールデンカムイ』を読んでも、ぜんぜん頭にはいってこないんだよ!」 と、なげく『花束みたいな恋をした』の麦くん。 「はははぁ

ドラマの深度が変わる視点の置きかた。『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』

視点をどこに置くか。 シナリオを書くうえで大切だと、新井一も『シナリオ作法論集』の中で言っています。 人生いろいろな見方があるものです。 よく言うのですが、忠臣蔵を書こうとするとき、大石蔵助の方からのゆき方もありますし、視点を全く変えて、吉良上野介の方から見た「裏返し」もあります。『シナリオ作法論集』p25より 2018年4月公開のチャン・フン監督、ソン・ガンホ主演『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』をいまさらながらAmazonプライムで観ていて、「視点ひとつで、観客を

ハッピーエンドの新・教科書。映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』の秀逸な構成

「ハッピーエンドを書きたい!」と思ったら、ハッピーなエンドまでどう持っていくかが重要。 しかも、ハッピーエンドにしようと思うと、ただのいいお話になってしまいがち。そうならないための教科書的な映画が『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』ではないでしょうか。 『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』の3行ストーリー 劇作家として鳴かず飛ばずのエドモン。自分に自信が持てず、大スランプの中、ひょんなことから、大物俳優コクランの舞台の作品を書くことに。 しかも舞台までの期限はわ

映画『アウェイデイズ』にがっかりした理由は、登場人物の描きわけにあった

映画『アウェイデイズ』は観ましたか? ぼくは、イギリスカルチャーをこよなく愛しております。とくに、イギリスのユースカルチャーは大好物であります。 「パンクとはアテチュードである!」と高らかに謳ったジョー・ストラマー。よりも、ぼくは「モッズとはアテチュードである!」とシャウトするポールウェラーが大好きなのだけれど、モッズはやっぱり60年代。まさにユースカルチャー黎明期は、激アツなわけです。 T・レックスなんて、ブギー奏でる前はボニーバレットっていう有名なおしゃれモッズやって

アメリカの絶望と希望が見える『mid90s ミッドナインティーズ』『行き止まりの世界に生まれて』

基本的にアメリカのスケートボードカルチャーには、接点もないのですが、映画『mid90s ミッドナインティーズ』を10月13日に観に行って、「こりゃ、『行き止まりの世界に生まれて』も観なくちゃな」ということで、17日に観てきました。 『mid90s ミッドナインティーズ』は、「『21ジャンプストリート』などの出演でも人気の実力派俳優ジョナ・ヒルが監督としての才能を開花させたデビュー作。ジョナ・ヒル自身の半自伝的な10代の想い出をもとにした珠玉の青春映画」 公式サイトより 「

暑くなる日々に要注意。スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライト・シング』

暑い、とイライラする。けど、暑い夏こそKeep writing! でも、これから暑い暑い8月を迎えるぼくらは、要注意。 なんせ、暑くてイライラしてくると、いままで蓋をされていた潜在的な問題があらわになるから。 そうスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』は教えてくれます。 『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、1989年に公開。この映画の根底には、アフリカ系アメリカ人の黒人に対する人種差別問題があるのだそう。 Amazonの作品レビューより ブルックリンの黒人街ス

映画『LEON』の出だし10分の魅力を、800字でまとめてみた

言わずと知れたリュック・ベッソン監督の名作『LEON』。特にすごいのが、出だしの10分。ここだけで「もうこの映画、絶対おもしろいだろう」と観客に思わせちゃいますもんね。 ポイントは、主要人物の登場のさせ方にあり!ですね。 ①最初の2,3分で、天地人の紹介完了!まずは冒頭の2,3分。天(時代)、地(舞台となる場所)、人(登場人物)をさらっと、でもかっこよく紹介。 海辺?の空撮からはじまり、大都市の全景が映り、カメラは街中へ。そしてリトル・イタリーと書かれた通りに入り、とあ