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シンガーソングライターでは食べていけませんでした。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。今回は全文公開します。最後まで読めます。

昨日、槇原敬之の新譜がリリースされました。僕の音楽人生はマッキーと歩んできたみたいな感じで、ずっと憧れです。1990年にマッキーはデビューするわけですが、大学一年だった僕もこの年に音楽を始めます。デビューアルバムの一曲目「ANSWER」を聞いて凄すぎてぶっとんだ記憶があります。高校時代に小室哲哉にハマり打ち込みを知り憧れシンセを買ったのですが、作曲をはじめるとシンガーソングライターになりたいって思うようになりました。作詞・作曲・編曲・ボーカルを全部自分でというのが理想でした。大学生活を送りながら毎日新曲作るのは楽しかったです。1992年リリースの槇原敬之「君は僕の宝物」1993年リリースの「SELF PORTRAIT」は、CDが擦り切れるほど繰り返し聴きました。CDが擦り切れるのかは不明ですが。こんな風な音楽が作りたいって強く思ってました。


シンガーソングライターになりたいと思ってた僕は、その夢を叶えられず、「やりたい仕事ランキング」に全く入ってなかった、テレビドラマの音楽を今作ってます。全く想定外です。シンガーソングライターの才能がなかったのです。正確にいうと、シンガーソングライターを職業にする才能がなかったのです。というか、そもそもどうやってプロになるかって考える前に諦めたのです。EPICソニーのオーディションを一度受けたくらいです。

1994年、大学4年生の時に「ゲーム音楽やろう」って方向転換したのは、そこでしか音楽で食べていけるイメージがなかったから。どうやったらプロになれるんだろう?って考える前に、ご縁あってゲーム業界に入りました。ちなみに3年生の時はテレビCMの企画やりたいと思ってました。

今思うと、やっぱりシンガーソングライターを職業にしようとしなくてよかったなぁと思います。「とりあえず音楽が仕事になればいいか」くらいにハードルを下げたおかげで、今こうして作曲を仕事にしてます。歌唱力もたいしたことないし、歌詞もろくなの書けないし。粘りある性格じゃなくて、すぐに諦める性格でよかったなーと思います。「絶対にこれで食ってやる!」って思ってたら、ずっと食えずに他の仕事してたと思います。地道に努力するのが苦手な僕が、流れ流されたどり着いたのが今の場所です。流れに身をまかせてたらヒョンなことからCMとか映画やドラマの劇伴とか、バラエティ番組の音楽やらせてもらえることになりました。その中で自分に向いてること見つけたり、苦手なものを知ったり、人から求めてもらえるもの、褒めてもらえるものが増えてきたりして、やっと「ここかも」って思う場所を見つけた感じです。20年以上かかってたどり着いた場所で、もしかしたらここも少し立ち寄ったくらいの場所かもしれません。

劇伴は元々やりたいと思った仕事ではないけども、やっていくうちに興味持てたし真剣にもなれました。というか、真剣にやらないと通用しない世界です...。なりたかったものの候補に入ってなかったことを、いま仕事でやってる。それはそれで人生、面白い。

成功してる人のインタビュー読んだり、話を聞いてると、ほとんどの人が自分が描いてたモノにはなれてなくて、挫折したのちに、自分にできること・得意なこと・人とは違うことを見つける人が多いんですよね。ダウンタウンの松ちゃんに憧れてたアンタッチャブル・山崎さんは、昔めちゃくちゃすかしてて全然しゃべらなかったみたいな話ありますよね。今の芸風と全然違います。オリラジ中田さんもお笑いやってたのに、今はYouTube大学とかやってます。みんな自分にむいてる場所に落ち着くんです。

なかなか夢が実現できなくて踠いてる人も多いと思います。もしかしたら、もっと自分に向いてるものがあるのかもしれません。劇伴を目指してる人はゲーム業界だったり、J-POPのコンペやってる人ももっと別の場所を知ってみると自分の可能性も広がるかもしれませんよ。ボーカルものしかやらない・やれないって思ってる人も、インスト曲の方が向いてる可能性もあります。得意なことでうまくいってから別業種にいくことも可能ですし。ゲーム業界に企画で入社してサウンドに異動した人もいますし、音楽を仕事にしてから本来やりたかった企画職に移る人もいます。CM音楽から劇伴にいく人もいます。僕みたいにゲーム業界からテレビの仕事に幅を広げる人もいます。ゲームの仕事でいろいろとスキルをあげた上で、テレビの仕事やったので通用してるんだと思います。いきなりテレビの仕事だったらすぐにダメになってた可能性もあります。なので、自分で可能性を狭めるのはもったいないなーと思います。

シンガーソングライターの話に戻ります。

いつもお世話になってる「シングルベッド」「愛は勝つ」などを手がけたプロデューサー(ディレクター)の西嶋貴丸さんに、「シンガーソングライターってずっとできるんですよ、やめない限り」って言われたのを思い出します。たしかに職業作曲家は依頼がないと続けられないけど、曲を作り歌い続ける限りシンガーソングライターは続けられるんですよね。ファンがいなくても、お金にならなくても続けられるのがシンガーソングライター。ということは、僕はいつでもシンガーソングライターでいられるってことです。音楽をはじめてから30年近く経った今、世界にむけて自分の楽曲を配信できるようになったおかげで年齢問わず可能性が生まれました。めちゃくちゃありがたいことです。趣味で作った曲を業界の誰かが聞いてくれて「楽曲提供してくれません?」とかあるかもしれません、、、ちょっとやる気出てきました。

数日前に投稿した市原ぞうの国のツイートが、100万再生いきそうな勢いですが、それに便乗してロングバージョンを作ったのですが、シンガーソングライターとして趣味で作った曲「はなぢ」をその映像にくっつけておきました。たまたま聞いてくれて頭に残ってくれてたらいいなーと思います。

ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました。てか、槇原敬之の新譜、やっぱり天才でした。


スキャット後藤
www.cutecool.jp


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