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キャッチコピーの料金は高いのか?

現在はライターと名乗っているが、本来はコピーライターなのでコンセプト作りからディレクションやって、キャッチコピーも書く。
(※ライターとコピーライターの違いについては、次回書く)

キャッチコピーって短いじゃない。
なのに10万円単位になる。
クライアントからしたら、たった数十文字なのになんで?となる気持ちになるのだろう。

中嶋らもさんだったかな?昔こんな話を書いていた。

キャッチコピーを書いて30万くらいで請求したら、1文字ずつ値引き交渉をされた。

つまりは、1文字削ったらいくら値引きしてくれるのか?と交渉されたというのである。

いやいやいやいや。
キャッチコピーだよ?
短い文章だからこそ、1文字削ったらまったく違う意味になるんだよ?
1文字の重さをわかってない!
1文字削れと言われたら、コピーライターとしては金額上げてほしいくらいだよ。

私も昔、ある地ビールのネーミングをしたことがある。
名前を1つ考えて、そのときは30万円いただいたかな。
これ、効率が良いように思うだろうが、実はそうでもない。
1つのネーミングのために、1週間くらいかけてさまざまな調査をし、
1つのネーミングのために、100個くらいネーミング案を出すんだよ。
これが素人とプロの差だと、私は思っている。

例えば「化粧水」だけのテーマで毎週2本の記事を3年間書き続けられること。
これがプロのライターとしてやっていけるかどうかの資質のひとつだ。

キャッチコピーに関して言えば、1つのコピーに50以上の案を考えていくつかに絞り込む。
さらにあらゆる角度から推敲に推敲を重ね、
「これしかない!」
というものをキャッチコピーとして提案しているのだ。
それを1文字削ってまけてくれとは何事か!と、クライアントを叱り飛ばしたい気分である。

ピカソの逸話も有名ではないか。

ピカソが町を歩いていると、一人の女性が近づいてきてこう言った。
「あなたの大ファンです。この紙に絵を描いていただけませんか?」
ピカソは微笑み、30秒でさらさらと絵を描いた。
そして女性に渡しながら言った。
「この絵は100万ドルです」
女性は驚き、えっ、でもたった30秒で描いた絵ですよ?と返す。
するとピカソは笑いながら
「30年と30秒です」と答えた。

そうなのよ!!!
このキャッチコピー考えるのに、ここまでめっちゃ勉強して訓練して大量の本読んで映画観て音楽聴いて……とにかく今までやってきたことすべてをこの数十文字に込めてるのよ!
だから10万円でも安いぐらいだ!
ここまでどれだけ自己投資したと思ってるんだ!
そう言い切れる自信があるって大事。

ピカソの絵も「え、あんなの私でも描けそう」と思われがちだが、本当にそうだろうか。
ピカソが10代の頃に描いた絵を見たことがあるだろうか?
デッサンや写実的な絵は、10代の子が描いたとは思えないほどの腕前である。
描いて描いて描きまくって、通常ならしなくていい苦悩の末に自分の道を探っていくのだ。
根底に相当の技術があるからこそ、型破りな表現ができる。
ここまで来るのに、一体どれだけの時間とお金、精神力を費やすことか。

だからキャッチコピーはね、短いからって安くはできないのだよ。
ここのところの理解が、特に日本では低いように思う。
文化度の高さってどうやったら育つのかねぇ。


波瀾万丈のシングルマザーですが、好きなことを仕事にしてやってきました。サポートしていただけたら小躍りして喜びます。次なる夢に向かって羽ばたく力になってください!