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私のような「映画マトリックス世代」が今流行の『アメイジングデジタルサーカス』を見たらどーしても考えてしまうこと


この記事を書いているのは2023年11月、

『アメイジングデジタルサーカス』がYouTubeで大人気ですが、まだパイロット版しかリリースされていない段階につき、

パイロット版のみを視聴した感想であることはお断りしておきます

さて、

このアニメを、既に中年である私も、初見から

「なんだこれ!衝撃的に面白い!」

と思い、すでにパイロット版だけでも何度も繰り返し見てしまっています。

目下、ほぼ全世界、全世代に流行が広がっています(※ただしこのアニメを面白いと思うのはそもそもネット文化好きな人に限られるかもしれませんが)。

しかし、この作品のどこに惹かれたかは、世代によって大きく変わるのではないでしょうか?

私の場合は、当然と言うべきか、映画「マトリックス」の世代なので、同じ「電脳世界に閉じ込められた人々の物語」として見てしまい、かつ、マトリックスとの大きな違いに驚きました(※パイロット版の段階では、別にこのデジタルサーカスが「電脳世界の中である」と明言はされていませんが、ほぼほぼ、その推測を呼び込む形になっているので、いったん私も「電脳世界の中の話」として解釈します)。

決定的な違いは、

支配してくる電脳空間のプログラムの側が、『マトリックス』とは違って、『デジタルサーカス』では「お前たちを徹底的に支配し管理していますよ」という態度を別に隠さないことですね。いやむしろ、すごく堂々と管理してくる

そうなんです、ケインにしても、「ここは閉鎖された世界で、脱出はできない」ということを、明言はしないけど、言葉の端々で言い聞かせてくる。

「ここまでが境界ね?この中なら、好きなように遊び暮らしてもいいよ?あ、この境界の外は虚無が広がってるだけだからね?外に出ても意味はないからね?まさか出るつもりはないだろーけど、この境界の外に出ると何が起こるか、私も責任が持てないから、オススメしないなあー」という感じで。

しかも面白いのは、ポムニのことに限らず、カフモの部屋にあったラクガキが暗示している通り、

どうやら、この世界から脱出しようとしても「おやおや、いけないなー、外へ出ようとするなんて。さー帰りましょうね」と、特に怒られず、明るく親切に連れ戻されるだけなんですね(この辺り、カフモの部屋に書いてあるラクガキは、彼が過去に逃亡を企てたら何が起きたかを証言してくれていて興味深い)。

マトリックスだったら殺しにくるのにw、この世界は逃亡者にすら明るく前向きに対応してくれるのです。なんと堂々としている支配ぶり!

ただし、「怒らない」というのは、態度が明るく親切なだけで、結果としてそうやってキャラクターたちを飼い殺しにして、使い捨ててる以上、やってることはぜんぜん優しくないです、むしろ残酷非道。。。

パイロット版では、この「デジタルサーカス」が何の目的で作られた世界なのかはまだわかりませんが(というか、シリーズが進んだところでこの謎に解答が用意されているかどうかすらまだわかりませんが)、

もはや支配する意図を隠さない電脳空間のプログラムというものが、実に、腹立たしいほど明るくて前向きなのがなんとも風刺として嫌味が効いているし、

しかしその上で私が驚いたのは、登場人物たちも、その支配に積極的に戦おうとはしておらず(いや、厳密にいえば、積極的に戦おうとした人は生き残っていないだけかもしれんが)、何か強烈な諦めを持って生きている。しかし様子を見ると、ジャックスにせよキンガーにせよ、「とっとと諦めて、ダメ人間となって、くだらない言い合いや喧嘩にあけくれているだけのこの人たちのみが、ここで生き残ることができた、ある意味で心の強い人たちw」と解釈できるのです。

そうなんです。強くもない、美しくもない、カッコよくもない、正義でもない、ジャックスやラガタたちは、、、見方を変えると、すごくシタタカでしぶとくて、自己中で、しかし他人の自己中な行動に(口で喧嘩はするけど)寛容な、魅力的なキャラクターなんです。

それにしても、「閉じ込められた世界で、諦めちゃってダラダラと、しかし意外に自己中でやりたい放題やってるダメな人たちが、どうも誰よりも生き残っているらしい」というのは、なんという皮肉と嫌味に満ちた世界観でしょうか!?w

そしてそんな彼らがキャラクターとして一人一人、とても立っていて、なるほど、グッズを買いたくなってくるほど、それぞれキャラクターデザインも魅力に溢れている。。。いやはや、これは恐ろしい作品ですよw。

繰り返しになりますが、まだパイロット版が出ただけで、よしんばシリーズ化されたとしても、これからどんな方向のアニメになるのかは未知数です(個人的には、謎がたくさん残ったままの、このパイロット版だけで終わっても、いちおう、これはこれで完成されたコンテンツになると思ってる)。

しかし、この、「シリーズ化されたところでどういう路線になるのかも見当つかない」ほど自由闊達な作品、私としては、やはりシリーズ化してもらい、続きを見たいものです。


子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!