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実践者ゼミ生に聞いてみた! #2

こんにちは、SCA研修プログラムの永田です。

「実践者ゼミ生に聞いてみた!」シリーズでは、研修プログラム2022の実践者ゼミに参加している受講生(実践者ゼミ生)による、プログラムで得た学びや気づきなどの生の声をご紹介します。

実践者ゼミってどんな人が参加しているの?
具体的に何を学んでいるの?
来年参加してみたいけど、本当のところ参加してみてどうなの…?
という疑問をお持ちの方にも参考になるかと思います。
※実践者ゼミの詳細は、【研修プログラム2022開催概要】をご覧ください。

SCA研修プログラム実践者ゼミ参加者のみなさんの中で、有志で学びを記事にしてもらっています。今回はめぐみさんです。めぐみさんから、本研修に参加したきっかけを教えてもらいつつ、11月に開催された2回目の研修の紹介をしていただく記事になっています。

①参加のきっかけ


現在障害児通所施設で保育士をしているめぐみです。実はSCAのプログラムに去年(2021年)も参加予定でしたが、会社の体制で研修を十分に受けられない可能性があり、辞退しました。

その後会社で出会ったお子様と保護者様の出会いと別れを通して、「お子様が『居心地がよい』と思える居場所があまりなくて、家庭の中で苦しんでいるお子様とその保護者様の支援がしたい」と改めて感じました。

簡単に伝えると、虐待やマルトリートメントを受けていた方が大人になり、子どもを育てる状況になり、子ども自身がもつ特性や性格により保護者様自身が疲弊し、結局両親がお子様を虐待してしまうというケースに出会いました。私は被虐待児とその保護者様の支援を行い、保護者様自身に対して、相談援助を行い、社会資源につなげたことを通して、虐待してしまうことが減ったというケースでした。それでも事業所都合で十分な支援がしきれず終結したケースです。

彼ら家族とは、彼らが卒業してしまったからこそ、もう会うことはできない。

それでも、社会が辛さを抱えた方にとってより寛容になるのならば、彼ら家族がもしかしたらもっと幸せになれるのかもしれない。だからこそ、離れて会えなくなってしまっても何かできる自分になりたいと感じました。その一方で、自分一人で、独学で何かアクションを起こす時、そのアクションが自分は誰かを守る為に行ったことでも、誰かを傷つけてしまう可能性もあるとも感じ、客観的に自分を見つめ学べる場所があるといいと思い、今回SCAのプログラムに参加しました。

②午前中の研修|社会的排除と貧困

最初は社会的排除と貧困の授業を受けました。

「貧困」の定義を考えていくことで、「貧困対策」に必要な支援を考えることにつながるのではと考え、貧困や格差の定義について改めて考えていくところからスタートしました。
加えて、貧困にも種類があり、イギリスのヨーク市でラウントリーが調査を行ったように、貧困にも程度があると考えられ、現状の日本でも同じようなことになっているといわれています。

①人が生きられないような「絶対的な貧困」で、例えば、疾病や老齢による労働不能や失業により、貧困状態になる可能性があります。
②当たり前の生活を送れないようなお金の不足による「相対的な貧困」が考えられます。
③また市民として、お金がないゆえに社会参加できないような権利が侵害されている「社会的排除」も考えられます。

その上で、どのような支援が必要なのか考えていくことになるかもしれません。

例えば、絶対的な貧困状態にある人に対して、まずは満足にカロリーを補給できるような安全な食物を当事者に負担のない形で提供する、相対的な貧困状態にある人には「当たり前の生活」をイメージしながら必要な支援を考えていく必要があります。
その際、その人の置かれた状況を想像し、「当たり前の生活」が何なのか考えていく必要があります。

講演者の方がおっしゃる言葉でとても響いた言葉もありました。
「貧困の反対は幸福(well-being)だと私は考えている」ことという言葉です。
その人の当たり前の生活が、他者から見たら、明らかに「これは辛いのではないかな?」と思う状況でも、その人やその家族にとって、必要なものが満たされ、社会と繋がれて、幸せであることもあるかもしれません。所得的には貧困状態かもしれないけれど、その家族は幸せに生きている場合もあるかもしれません。その一方で、その人の「当たり前」のサインを支援者側が拾い切れず、ニーズを満たさないため、単なる財政支援を行っても貧困状態から抜け出せない可能性があります。

私は保育士として貧困状態におかれたお子様やその保護者様の支援を行う可能性があります。その際に、その人一人一人の「当たり前」を想像しながら、家族の葛藤がないように一人一人の声を聴きながら支援が出来たらと改めて感じました。

②午後の授業|質問の仕方のグループワークソーシャルワークリフレクションとチーム学習


午後には質問の仕方について学ぶグループワークやソーシャルワークリフレクション、チーム学習について学びました。

今回はチーム学習について書かせていただきます。

チーム学習では、miroと呼ばれるツールを使い、その人が現在社会課題と考えている課題を要素に分けてどのような構造になっているか図式化していきます。

その中でチーム学習をするチーム内で課題を共有し、3人ないしは4人の抱える課題の共有項を見つけ、各チームの課題を考えていきます。

私のチームでは、私を含め3人のチームメンバーで構成されていました。
チームメンバーの働く領域も年齢も違いますが、その中でもお互いの発言を聞き、その発言してくれた思いの背景はどこから来るのか想像しながら、共通課題を絞り込んでいきます。

私たちの班では、クライエント自身や「生きづらさ」や「苦しさを抱えた方」が助けを求めた時に、その助けを受け止める場所がないことで、さらにクライエントが孤独感や苦しさを感じてしまうのではないかと、それは児童分野、障害や高齢者分野どこの分野でもありうるのではないかと考えました。

そして生きづらさを抱えた方が言葉を発してくれたことを受け止め、その中で自分の所属する組織以外の方にその方の尊厳を守りながらつなげていくことを通して、その方を気にかけてくれる方が増えるので、その方の応援団を増やしながら支援でき、その方の孤独感が薄まるのではないかとも考えました。

分野を超えた中で共通項が見つかること自体に驚いたとともに、私自身お二人のチームメンバーの方が穏やかに、発表者の思考に合わせた言葉かけがされたからこそ、一緒に考えをすり合わせていくこともできたのかな?と感じました。

③まとめ

いかがでしたか?SCAの研修の一部をご紹介しました。
1回の講義の中で様々な知見を学ばせていただいています。
これからどんなことが学べるのか日々楽しみです。

事務局からのお知らせ

めぐみさん、ありがとうございました。
次回の研修プログラムは、こちら
日時:2023/1/28(土)10:00-12:00
講師:トロント大学院 カルガリー大学 浦和大学講師 市川ヴィヴェカ氏
テーマ:反抑圧的実践

講義のみ一般コースは、こちらで各回の前日20時まで申し込みを受け付けています。

実践者ゼミに関する質問等は、事務局までお気軽にお寄せください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに!