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「お金の防災」を考える③〜地震保険料はいくら?

毎年のように地震や豪雨による自然災害が、日本各地で発生しています。家具の転倒防止や非常食の備蓄など、モノの対策をしている方は多いかもしれません。けれど、被災して命が助かったあと、必要になるものは「お金」です!

火災保険と地震保険のちがいは?

前回の「地震保険って必要?」では、水災・風災・落雷などの自然災害による損害は火災保険、地震が原因の損害については地震保険で補償されることを紹介しました。

火災保険は損害保険会社が取り扱う営利商品で、補償内容や保険料(保険会社に支払うお金)は保険会社によって異なります。一方で地震保険は、どの損保会社で加入しても、条件が同じであれば、補償内容や保険料は一律です。なぜでしょう? 

一般に、保険料は発生確率から決められています。でも、地震はいつ、どこで、どの程度の規模で発生するかわからないので、リスクを予測することが難しく、本来であれば保険制度が成立しません。その一方で、地震による被害は甚大で、個人で生活を再建するには限界があり、何らかの手助けが必要です。そこで、国が損保会社をバックアップするしくみの地震保険制度がつくられました。地震保険は法律に基づく国の制度なので、保険料はどの保険会社でも一律になっています。

地震保険は単独で加入することができず、火災保険とセットで契約するのがルールです。現在加入している火災保険に、今から地震保険を追加することができるので、ぜひ検討してみてください。

保険金の支払いで保険会社がつぶれることはある?

これまでに経験したことがないような大地震が起きたら、保険金(保険会社から受け取るお金)の支払いは確実にされるのでしょうか? せっかく地震保険に加入しても支払われない可能性があったら困りますよね?

地震保険金は、保険会社と国の両方に支払い責任があり、それぞれが保険金の支払いのためにお金をためていて、決まった額の責任を負います。保険会社がその額以上の金額を支払う義務はないため、地震保険金の支払いが原因で保険会社がつぶれることはありません。

1回の地震で支払われる地震保険金の総額は、11兆7000億円が上限と決められています。その上限までは、保険会社と国が支払うことが約束されているのです。その上限を超えるほどの被害が起きたらどうするの!?と思う人もいるかもしれません。でも、被害の大きかった東日本大震災では、地震保険金の支払総額は1兆2749億円でした。上限の11兆7000億円は、かなりのレベルに耐えられると考えて大丈夫です。

地震保険料は地域によって変わる!

地震保険は建物と家財が対象で、火災保険金額の30〜50%の範囲で加入できます。火災保険金額が2000万円だとしたら、地震保険は1000万円までかけられるということです。

では、地震保険料はいくらかかるのでしょうか?それは、住んでいる都道府県と住宅の構造で決まります。

どんな災害でもお金とくらしを守る-70

地震の危険度に応じて、都道府県を3つの等地に区分して基準料が設定されています。さらに、住宅の壊れにくさ(鉄骨造やコンクリート造か、木造か)によって保険料が算出されます。保険金額1000万円あたりの年間保険料は、財務省のHPから確認することができます。HPの表を確認すると、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県の保険料が高いことがわかります。地震保険料が高いということは、被災するリスクが高いといえます。

一定の基準を満たした耐震性能を備えた建物で、10%から最大50%の割引が適用されるなど、割引制度もいくつかあるので、保険料がネックで加入をためらっている人もチェックしてみてください。「建築年割引」では、1981年6月以降に新築された建物、またはその建物に収容された家財は10%の割引となっています。


次回は「被災後に受け取れるお金」について解説します。

「お金の防災」について、もっと知りたい!という方は、小学館クリエイティブ発行の『どんな災害でもお金とくらしを守る』をチェックしてみてください! テレビでも活躍中のファイナンシャルプランナー・清水 香先生が、地震保険や被災後にもらえるお金のことなど、わかりやすく解説しています! おかげ様で2020年2月に重版となりました!

編集担当:市村 珠里

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