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「お金の防災」を考える②~地震保険って必要?

毎年のように地震や豪雨による自然災害が、日本各地で発生しています。家具の転倒防止や非常食の備蓄など、モノの対策をしている方は多いかもしれません。けれど、被災して命が助かったあと、必要になるものは「お金」です!

前回は、被災した時にこんな人が経済的なリスクが高い!という紹介をしました。今回は、そんなリスクに備える損害保険について考えます。

災害に備える保険とは?

「保険」というと、生命保険や医療保険を思い浮かべる人が多いかもしれません。自分の身に万が一のことが起こったら……と考えると、これらの保険への関心が高いのもうなずけます。

しかし! 生命保険が補償する「ヒト」に対するリスクは、社会保障でカバーすることが基本となっています。

社会保障の中には、公的医療保険や年金、失業保険などが含まれます。日本ではすべての人が公的医療保険に加入することになっていて、会社員などは協会けんぽや健康保険組合の健康保険、自営業者は国民健康保険に加入します。病気やけがで通院・入院が必要になったら、この公的医療保険制度で医療費の一部を公的機関などが負担してくれます。また、生計維持者(家計の収入を主に担っている人)が亡くなった場合には、国民年金または厚生年金保険で遺族年金が支給されます。

これらの制度で、自分に支払われる額を把握しておくことが大切です。健康保険の加入先で給付内容は異なるので、具体的に内容を確認してみてください。そして、これらの制度で支払われる額では足りない場合に、民間の生命保険等への加入を検討すればいいのです。貯蓄でカバーが可能なら、保険の優先順位は低くなります。

ただし「住まい」のリスクに対しては公的な支援が十分とはいえません。

自然災害で一定以上の被害規模となった市町村等には「被災者生活再建支援制度」が適用されます。住宅が全壊等で住めなくなり、家を新たに建設または購入する場合、最大300万円が支払われる制度です。でも、住まいが失われたのに300万円だけ!?と思いませんか?

どんな災害でもお金とくらしを守る-62

そこで必要になるのが火災保険と地震保険です!

火災保険は火災だけではなく、水災・風災・落雷などによる損害もカバーできます。火災保険にはどの世帯も加入する必要がありますが、契約により補償の範囲や内容が異なります。火災保険で自然災害もカバーできる、と安心してはいけません。地震や噴火、津波が原因で受けた損害は、火災保険では補償されないからです!

地震保険、入っていますか?

大きな地震が発生すると、住宅が損壊して、生活の基盤が崩れるような甚大な被害が生じることもあります。貯蓄だけでは被害をカバーできない人がほとんどでしょう。そのような損害をカバーするために必要なのが「地震保険」です。

地震保険への加入は任意であるため、全世帯の加入率は32.2%(2018年:損害保険料算出機構)にとどまっています。しかし、震災を経験した宮城県では52.1%(震災前の2010年は33.6%)、熊本県では40.3%(震災前の2015年は29.8%)と、加入率が上がっています。地震保険の必要性を実感した結果ではないでしょうか?

火災保険や地震保険は住宅だけではなく家財も入ることができます。地震保険は、賃貸契約時にすすめられる保険にセットになっていないことが多いので、契約を確認してみてください。引っ越しや家財の買い直し費用の補填ができるため、賃貸世帯も地震保険への加入をおすすめします。家具や家電、衣類などをざっと集計して、その金額で火災保険をかけるといいでしょう。地震保険は火災保険金額の50%まで加入できます。


次回は「地震保険料」について解説します。

「お金の防災」について、もっと知りたい!という方は、小学館クリエイティブ発行の『どんな災害でもお金とくらしを守る』をチェックしてみてください! テレビでも活躍中のファイナンシャルプランナー・清水 香先生が、地震保険や被災後にもらえるお金のことなど、わかりやすく解説しています!

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編集担当:市村 珠里

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