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妖精になった日

僕はケアマネージャーをしている。

先日、妖精さんになりました。

みなさんも油断なさらぬよう。
僕みたいなおひとりさま中年は
特に気をつけて。そんな思いを込めて。



その日、
いつものように出勤準備。
スーツに着替えて
あとは電車の時間に
間に合うようにのんびりコーヒーを…

「ん?…ん〝ん〝…」

ふと、喉に違和感。
…まさかね。

土台が昭和の人間、
ちょっと喉がいがらっぽい。
その程度で休むとか言いたくない。
「サボりたいだけ」
そんなふうに思われるのも癪だし。

しかもほんと、些細な違和感。
僕はタバコも吸うし、
ちょっといがらっぽいだけ。
体温も平熱だったし。

月末の処理もあったので、
別室にこもって書類仕事だけやろう。
そう思い、出勤して上司に報告した。

上司は
「今日は休んで受診してください。何もなければ明日頑張ってくれればいい。」
との判断。

自分から言い出してなんだけども、
ちょっと過敏すぎないか?
月末処理もあるのに…そう思っていた。

…休んでてよかった。


帰り支度をして電車に乗る。
受診先を探してる途中から
喉がどんどん痛くなってくる。
…まさかね。

熱っぽいような気がしてくる。
でも測ると平熱。
…ほらね。

でもどんどんビビってくる。

受診先を見つけたけど
検査できるのは夜診。

まぁせっかくだしゆっくりしよう。
そう思って横になった。

着信音で目が覚める。
外は暗い。飛び起きる。
頭と喉に激痛が走り、うめき声が漏れる。
「これは…ゲツマツショリの呪いか?」
#はよ電話でろ

電話は病院からで、
受診時間になっても僕が現れないので
かけてくれた。
今すぐ向かうことを告げ電話を切る。

…完全に熱がある。
39.0℃。
#あっ

電車で向かうつもりだったけど、
万が一に備え原チャで向かう。
寒い。ミスった。
もっと厚着してくればよかった。

病院に着く。
別室で待機。

しばらくして画面上で医師の診察
「うん、十中八九かかってるね」
検査結果を見ずして医師は言った。
そんな身もふたもない…

その日は検査だけして帰宅。


何も食べれない、動けない。

朝の出勤準備したスーツのまま
ベットに倒れ込んだ。


翌朝、また病院からの電話で目覚める。
「はい、あなたは妖精さんです。昨日渡した書類に妖精さんの登録方法が書いてるのでよろー。」
ブチッ。ツーツー。

うん、だよねー。

上司に報告。
「昨日休んでもらってよかった。こっちはなるべく問題ないようにしとくけど、戻ってきた時覚悟しといてー。よろー。」
ブチッ。ツーツー。

うん、だよねー。


そこから二日間はきつかった。

買い出しに行っちゃいけない。
てかそもそもふらついて動けない。
Uber頼もうとしたら
ちょっとためらうくらい高い。
うどん800円…死ぬよりマシか…。

結局自分で作った。
#根が貧乏
素うどんがむちゃくちゃうまかった。


もう今は軽快している。
お子らとの面会が待機期間直後で、
大事をとって今回は見送った。
(僕は離婚していて子どもと会えるのは面会の時だけ)
ちくしょう!567め!
それが一番悲しかった。


  



中年なおひとりさまよ。
心して聞くんだ。

567は日常をいとも簡単に崩してくる。

このご時世だ。
ちょっとした違和感でも、
それは違和感だ。
大事をとって受診するんだ。

仕事があるから?
仕事のために生きてるのか?
生きるために仕事してんだろ?
このタイミングで休めない会社は
それこそブラックだ。

冷凍うどんは常備しておけ。
マジで動けない。
でも食べなかったら死ぬ。
そして当然買い出しにも行けない。
素うどんは最強だ。

普段から人には優しくしておけ。
弱った時にこそ
人の優しさが身にしみる。
会社伝いにいろんな人から
励ましのメールが来た。
買い出しに行ってくれる人もいた。
「誰と濃厚接触したんですかぁ?」
とニヤニヤ冷やかしてくる奴もいた。
飲みに行った先から
楽しそうな写真を送ってくる奴もいた。
ウザいが、その全てが宝物だ。




ねずみより愛を込めて。





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