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お若いですね

年齢を言うと「意外とお若いのですね」と言われることが何度かあります。

でも,自分が童顔だというわけではないのです。

ありがたいことに比較的若いころから名前を知っていただいている先生がいらっしゃいまして,そういう方は私をもっと年長の先生だと思われているということのようです。まあ,次第にイメージ相応の年齢になってきていますが。

あとは,文章とか何かから得られるイメージが「そんなに若々しくない」ということもあるのでしょうか……。

童顔の研究

心理学では「童顔の研究」というのもあります。アメリカのマサチューセッツ州にあるブランダイス大学の社会心理学者,Zebrowitz(ゼブロウィッツ)が童顔の研究を行っています。

童顔の程度が,男性の場合は30代くらいまで,女性の場合は青年期くらいまで持続するとか,童顔の程度も魅力度も30代以降は下がっていくとか,こういう研究もできるんだな,と読んだときに思った記憶があります。

また,過去の写真を持ってきてもらえば,時間をさかのぼって研究するっこともできるな,とも思いましたので,そのうちやってみようかとも思いました(あるいは学生の誰かをやってみようと誘おうか)。過去の人に調査をすることはできませんので,過去の痕跡をだどるというのはひとつの良い研究の方法です。

顔を読む

また,この論文の著者であるゼブロウィッツは,本を出版しています。訳本も出版されています。印刷されたものは絶版のようですが……古書は手に入りそうです。

この本の中にはいくつも「へぇ」と思うような小ネタが満載されています。

観相学

最初の方では,ヨハン・カスパー・ラヴァーターという人物が出てきます。この人物は,近代観相学の祖と呼ばれる人物です。観相学は,顔の形で気質・性格・知能を推定しようとする学問のことです。

チャールズ・ダーウィンはビーグル号に乗って世界各地を訪れ,進化論をまとめるのですが,このビーグル号の船長が観相学に凝っていたそうです。そして,ダーウィンの鼻の形が気に入らなかったので,あやうく乗船拒否されそうになったというエピソードが残されています。

もしかしたら,鼻のせいでダーウィンの進化論が世に出なかった,という平行世界があったのかもしれません。

意見が一致する

複数の人がある顔を見て印象を評価すると,意外と一致する傾向にあることも本の中に書かれています。特に,顔の写真を見せて「この人はどういう性格の人だと思いますか」と性格の推定をさせると,予想以上に一致するのだとか。

ただし,その見た目から感じる性格が,本人性格とどれくらい一致するかというと,これまでの研究をいくつか見た様子だと,ちょっと心許ないな,という印象はあります。

ハゲと心臓病?

『顔を読む』のp.54-55に,次のようなことも書かれています。

 最近わかった例では,男性の斑紋状のはげと心臓病とは関係があり,これはマスコミで広く紹介された。またある顔の手がかりは,冠動脈疾患の傾向のある人を見つけるのに役立つことがある。こういう人はタイプAとよばれ,ひじょうにエネルギッシュで,敵対的で,競争心が強い。彼らは交通渋滞にまきこまれるといらいらして警笛を鳴らし,仕事をまちがえた部下をどなりつける人である。反対にタイプBの人は「流れに逆らわない」傾向が強い。この2つのタイプの人々は特徴的な表情によって区別することができる。タイプAの人はタイプBの人にくらべて,眉を下げ,上まぶたを上げ,下まぶたをひきつらせて,インタビューする人をにらみつけることが多い。また顔に嫌悪の表情をうかべていることが多い。

もとの論文をチェックしていないのですが,ハゲと心臓病とか,タイプAパーソナリティと表情の研究も面白そうです。そのうち論文を探してみようと思います。

タイプAパーソナリティは,フリードマンとローゼンマンによって提唱されたパーソナリティのタイプで,攻撃的,活動的,責任感が強いといった特徴をもちます。バリバリと働く人というイメージです。そしてこういう人は,心臓疾患にかかりやすいと言われていました。

ちなみにそのような特徴を持たない人を,タイプBと呼んでいます。これもパーソナリティの類型論のひとつですね。

外向性の表れ

ビッグ・ファイブ・パーソナリティのひとつである外向性については,p.70に次のように書かれています。

 外向性の確実な手がかりには魅力,メーキャップの使用,流行の髪型のほか,頻繁に頭を動かすこと,自信のある人なつこい表情,そして微笑む時間が長いことが含まれる。これらの特性は,ある人がどれほど外向的だと自己評価しているか,他人にどの程度外向的だと思われているかの両方に関係している。

外向性と微笑みの大きさについては,他の本でも示されていたことがあります。日本でどれくらい再現できるかはわかりませんが。

おおよそ,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのうち開放性以外は,顔の特徴に多少の関連があることが示されています。

ぜひ研究を

顔の研究,特にヨーロッパでは盛んに行われている印象があって,それは今の時代にあって相貌学や骨相学の流れから来ているのかもしれません。

日本でも顔の研究はよく行われていますよね。特に赤ちゃんの顔認識の研究はよく知られています。パーソナリティと顔の研究については,ちゃんとフォローしていないのでよくわからないのですが。探してみようと思います。

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