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“はたらくをデザインする”ワークフローと役割をやわらかくして健やかな働き方を目指す

2020年5月11日(月)現在、おいかぜでは2021年新卒採用の真っ最中です。

3月と4月、oikazeCUBEを使って開催する予定だった会社説明会。新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から延期の対応、そして最終的にはYouTube Liveで配信という形をとりました。全8回開催予定だった会社説明会を、300人以上の学生さんに対して一度の配信で終わらせることができました。キャンセル待ちの方々にもご覧いただくことが可能となり、そして会社としてはYouTube Liveでの配信の技術や知見を得ることもでき、ポジティブな要素が多い説明会となりました。ご視聴いただいた方々ありがとうございました。

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さて。少し時間を巻き戻します。その説明会に先立って、2020年の年明けから、2021年の新卒採用のための”冬の1DAYインターンシップ”を開催していました。1回に3名から5名程度の少人数制で、合計50名くらいの学生さんにご来社いただきました。数時間程度とはいえ1日仕事で時間を割いてくれる学生のみなさんに「今日はおいかぜのインターンシップに行ってよかったなぁ」と思ってもらえるように、ボクの43年の知見を振り絞って本当にいろいろなお話をしてきました。おいかぜや業界の説明はもちろんなんですが、ボクの就活のときのお話とか、生きていくうえで暮らしていくうえで役立ちそうなお話とか、ほんとにいろいろと。

そして何より、就活する学生さんにとっては、もしおいかぜに入ったとしたら、どんな働き方になるのか、そのためにわざわざインターンシップに来てくれているわけです。そのためにボクはおいかぜで働くイメージをお伝えしながら、会社づくり組織づくりで大事にしていることをお話していました今日はその中の一つ“ワークフローと役割をやわらかくして会社をドライブさせるある方法”というお話を紹介したいと思います。

1、ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定をすること

おいかぜはワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定をとても大事にしています。その理由として、この2つはスタッフの作業範囲と作業ボリュームを決める上で重要な枠組みになるからです。

もしこの2つが無かったとしたら、お仕事をいただく毎に誰がどこからどこまで、どれくらいの作業を担当するか決める必要があります。都度作業工程と役割を決めることは、ある程度のスピードと高いクオリティを維持するためには無理があると思っています。そして、社員の働く時間を健全に維持するためにも不可欠です。つまりはブラック化しにくい状況を作れます。

そして。ある程度作業工程を汎用化できる業界でなければ難しいかもしれませんが、幸いなことにおいかぜが関わる「ウェブデザイン」「グラフィックデザイン」「システム開発」「ITインフラ構築・運用・管理」の業務に関して、ワークフロー(作業工程)と職種(役割)を汎用化することが可能でした。

ワークフロー(作業工程)を前提に職種(役割)に割り振っていく、そんなイメージです。ワークフロー(作業工程)とは案件が上流から下流に流れる仕事の工程で、職種(役割)は働く人のステータスです。

仮においかぜの「ウェブデザイン」業務であるウェブサイトを制作する場合(小規模から中規模程度)、ワークフロー(作業工程)はざっくり以下のような流れになります。

初回打ち合わせ

企画提案 / 見積もり

サイトの設計/スケジュール設定/デザイナー・エンジニアのアサイン

サイトワイヤーフレームの作成

取材・撮影・ライティングなどコンテンツ素材作成

デザインラフ作成

デザインカンプ作成

フロントエンドコーディング

サーバ環境設定/バックエンドプログラミング

動作検証

そして、このワークフロー(作業工程)のそれぞれを営業・ディレクター・デザイナー・ライター・HTMLコーダー・エンジニアといった職種(役割)のスタッフが担当します。撮影は外部パートナーのカメラマンさんにお願いしています。先ほどのワークフローに職種(役割)を当てはめると以下のようになります。

初回打ち合わせ:営業

企画提案 / 見積もり:営業 / ディレクター

サイトの設計/スケジュール設定/デザイナー・エンジニアのアサイン:ディレクター

サイトワイヤーフレームの作成:ディレクター

取材・撮影・ライティングなどコンテンツ素材作成:ディレクター / ライター / カメラマン

デザインラフ作成:デザイナー

デザインカンプ作成:デザイナー

フロントエンドコーディング:HTMLコーダー

サーバ環境設定/バックエンドプログラミング:エンジニア

動作検証:エンジニア / ディレクター / サポートスタッフ(アルバイト)

案件によって違いはありますし、デザイン会社さんとタッグを組んでお仕事をすることもあるのですが、おいかぜではだいたいこのような流れで仕事が進みます。

このワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定は業界が成熟されていく過程、会社の規模が大きくなった段階で設定、固定化されていくと考えていて、ウェブデザイン業界は、そしておいかぜはすでにその段階にあります。

少し話は逸れますが、会社のブラック化について、ボクの考えを。

働く全ての人にとって、いわゆるブラック企業で働くことは避けたい、そして経営する全ての人にとって、自分の会社がブラック企業化することは避けたい、それは当然のことだと思います。そもそもブラック企業とはなんなのか?定義を調べてみました。

ブラック企業(ブラックきぎょう)(和製英語で造語。英語ではSweatshopと表記)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、企業舎弟を指す。最近になって意味が変わり、「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」を指す。「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」との指摘もある。対義語はホワイト企業。

ブラック企業の要因というのはいくつかあります。それぞれの要因が複雑に絡み合っていて、もし会社がブラック化していた場合、解決するには一筋縄ではいかないということがわかります。

「違法労働」や「パワハラ」は組織の構造的な問題というよりは、倫理観や法遵守のリテラシーといった企業の精神性に依ることが多く、そいう精神性は企業によって解決方法が多岐に渡るため、個別の案件として扱うべきです。この中でボクが注目したいのは「過重労働」について。これは倫理観や法遵守のリテラシーがある企業でも「過重労働」が発生しやすい、わかりやすく言うと精神性はホワイト企業でも状況がブラック化している場合があるのです。

ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定は、会社がブラック化しないための、「過重労働」が発生しにくくするための具体的な方法のうちの一つです。

2、ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の境界をやわらかくすること

ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定が進むと、一方で組織の硬直化が進みます。スタッフは自身の作業範囲と作業ボリュームを守ろうとする傾向が強くなります。必ず起きるわけではありませんが、そういった事態が起こりやすくなります。「これは、ここからは私の仕事ではないので。」というような主張が出てくると想定しておいた方が良いと思っています。

そんなとき、往々にして経営者は頭を抱えます。

「みんなのことを思って設定したワークフロー(作業工程)と職種(役割)なのに…」

そして経営者は自身が起業した頃、数人で案件を回していた頃を思い返します。みんな一丸となって職種や領域の垣根なく仕事をしていた、あの頃は良かった、と。ボクは実際起業した頃を思い返して、あの頃は良かったと思うことはありませんが、冷静に考えるとみんな寝食を忘れて働いていました。いわゆるブラック化(過重労働)している状態です。

そういう時期、ワークフロー(作業工程)は並列化し、1人が職種(役割)を横断し、全ての人が案件を俯瞰で捉えて仕事をしています。例えるなら学園祭前夜。あの熱狂と興奮で立ち向かうわけですから、ブラック化(過重労働)して当然です。ただこの状態が悪いことばかりを産むわけではありません。

ブラック化(過重労働)ということを抜けば、2つ大事なポイント、良いことがあります。

・「職種(役割)を飛び越える」こと
・「案件を俯瞰で捉える」こと

この2つはどんな仕事をするうえでも大事なポイントです。経営者は人材に往々にしてこの2つの才能を求めます。ボクもその1人です。

「職種(役割)を飛び越える」「案件を俯瞰で捉える」この2つのことは深く関連していて、「職種(役割)を飛び越える」から「案件を俯瞰で捉える」ことができ、「案件を俯瞰で捉える」から「職種(役割)を飛び越える」ことができます。この2つのことがなぜ仕事をするうえで大事かというと、関わっている案件の他のメンバーの「おいかぜ」になれるから、つまり助け合うことができます。職種(役割)が違って実際的にできることがない場合だったとしても、少なくとも精神的な支えになることができます。もう一つ。「案件を俯瞰で捉える」「職種(役割)を飛び越える」ことは案件のゴールやトータルとしてのクオリティ、全体像をイメージしながら自分の作業に集中することが可能となり「なぜこの作業をやらなければならないのか」「なぜ今自分はこの作業をやっているのか」といったことが明確になって、モチベーションを維持できる良さがあります。

3、やわらかい仕組みと風土で会社をドライブさせること

会社をブラック化(過重労働)したくはないけれど、スタッフには先ほど挙げた2つのポイントを大事にしてほしい。そんな欲張りなことが成り立つのか、そんな都合の良いことがうまくいくのでしょうか。

それは「ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定」をしながら、「職種(役割)を横断する」「案件を俯瞰で捉える」仕組みと風土をつくる、と言うことです。

ワークフロー(作業工程)と職種(役割)の設定は決め事です。「職種(役割)を横断する」「案件を俯瞰で捉える」ことは会社の仕組みと風土の話です。この2つを両立させる必要があります。

まずおいかぜではこのワークフロー(作業工程)を細かく決めています。その工程で何をやるべきか、レギュラーは何でイレギュラーは何かを認識すること、この工程はどの職種(役割)が担当なのかといったことです。そしてスタッフ1人1人に職種(役割)を設定しています。

またおいかぜでは4段階の等級と3本のキャリアパスを設定しています。この等級のこの職種(役割)の場合、どんな能力が必要か、どれくらいのことができるのが妥当かなどを決めています。そしてそれぞれの職種が辿る未来、以下の3本のキャリアパスを設定しています。

A : 管理職・マネージャーライン:管理職・マネージャーとして成長
A / B:ハイブリッドライン:マルチな管理職・エンジニアとして成長
B:専門職・技術職ライン:デザイナー・エンジニアとして成長

以下はスタッフにおいかぜのキャリアパスの説明をするための資料です。

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「A : 管理職・マネージャーライン」は駆け出しのころは技術者として経験を積み、管理職・マネージャーとして成長してくれるライン。「B:専門職・技術職ライン」は駆け出しのころからベテランになるまで職人的にデザイナー・エンジニアとして成長してくれるライン。そしてAとBの中間、「A / B:ハイブリッドライン」です。これがやわらかい仕組みの一つで、マルチな管理職あるいはマルチな職人(デザイナー・エンジニア)として成長してくれるラインです。職種(役割)は決まっているけれど、他の職種(役割)を担うことのできる仕組みとして「職種(役割)を横断する」ために設定しています。

最後に「職種(役割)を横断する」「案件を俯瞰で捉える」ため、風土として根付かせていくために、デザイナーにはできる限りディレクターとの打ち合わせに同行してもらう、HTMLコーダーやエンジニアにデザインフェーズでのアイデア出しに参加してもらうなど、当たり前のことだけれども敢えて意識しないとできなくなってしまうことを大事にしています。職種(役割)をきちんと設定しているからこそ、他の領域に首を突っ込むことを良しとする会社の意思をコミュニケーションで伝えるようにしています。

ボクが組織をつくっていくうえで大事にしている考え方、

“中庸とは、両極を経験する、あるいは本当の意味で両極を理解したものにしかたどり着けない新しいバランスである。“

このお話もまさにこの一言に尽きると思っています。

ワークフロー(作業工程)と職種(役割)のきちんと設定すること、ワークフロー(作業工程)を並列化して職種(役割)をリキッドにさせていくこと。この2つの両極、ボクがつくりたいのはそれらのいいとこ取り、中庸を探す旅です。まだ道半ば、試行錯誤の日々は続いています。

いつの日かその中庸が見つかったとき、おいかぜのみんなの働き方は健やかになり、そしてより面白い会社になっている、そして今まで以上に「だれかのおいかぜ」になれるんじゃないか、そう信じています。

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