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本を読むことは”自分の考えていることや思っていることを自分の文章で書く”ことの”おいかぜ“になるというおはなし

“本にはこの世の全てが書かれていて、この世の全てが書かれていない。”
“本なんて読まなくたって生きていける。”

だれが言ったかわかりませんが、本当にそのとおりです。

本つまり書籍というフォーマットで文字を読まなくたって生きていけます。”情報を摂取するためのツールとして、紙に印刷された本が最適なのか?“という問いに対してボクははっきりとした答えを持っていません。

実際ボクはiPhoneやiPadやMacBookを使ってSNSやウェブサイトから情報を得ることの方が圧倒的に多いし、情報の鮮度だけで言うとインターネット上の情報の方が優れているとも思っています。

でもボクは本が好きです。

ボクたち株式会社おいかぜはデジタル領域でインターネットを介したりデジタル技術を使ったコンテンツ発信、情報パッケージをつくるお手伝いをしています。もちろんグラフィックデザインの技術で、紙の冊子や印刷物もつくるけれど、デジタル領域の仕事が多くて得意です。

ボクは単なる郷愁だけで何かを語ることは好きではありません。古き良きという言葉に縛られたとき、物事の本質を見失い、選択を誤ることだってあるだろうなと思っています。情報を伝えるそのときどきで最適な方法を選ぶ、ときにはウェブサイトであり、ときには冊子のような紙であり、はたまた直接的に声で伝えることだってあります。ボクはお客さんの課題を掘り起こすとき、どんな方法で情報を伝えるかを最初に決めることはないようにしています。それくらいフラットでリベラルな目線で、自分たちの仕事に関わっているつもりです。

ボクたちおいかぜで働く人たちは、ものづくりが好きな人たちばかりです。みんなそれぞれ、ものづくりに対して想いを持ってくれています。ウェブサイトが大好きだったり、印刷物に愛情を持っていたり、とにかく新しい技術を追いかけていたり、みんなの個性で様々な視点で想いを持っています。ボクはおいかぜで働く人は、お客さんの課題に向き合うとき、一度そういう想い横に置いておいて、フラットでリベラルな視点でいてほしいと思っています。それは来年4月に入ってくる新入社員の人たちも同じ。

ボクは先日、来年4月に入社してくる3人の学生さんたちに、入社までの期間の事前学習として、課題図書を読んでボクやスタッフのみんなとディスカッションをする場を設けることを決めました。大袈裟に言うならば概念学習の期間。年明けからはOJTで実際的な業務に関わる研修を始めるので、年内までの3ヶ月程度の期間の話です。その3ヶ月で3冊の本を読んでディスカションをする。彼らとのコミュニケーションのはじまりでもあり、彼らにとってのボクたちおいかぜでの最初の課題たち。いろいろ考えて、この3冊にしました。

どの本もおもしろいんですよねぇ。ボクが大好きな本ばかりです。

最初の2冊はインターネットやデジタル技術をフラットに捉えるきっかけを作ってくれる本だと思います。ウェブサイトやECサイトやSNSや印刷物やアプリやイベントがあくまでも課題を解決するための道具であり、課題によって最適な選択があるということを教えてくれる本です。D2Cに関してはボクらの業界に留まらずトレンドワードなので時流を抑えるという意味でも良い本です。

最後の本はインターネットやデジタル技術が行き着く未来みたいなことを楽しめる、そういう想像力を持って情報倫理とかリスクを学ぶきっかけになればいいなって思っている本です。

でも改めてなぜ書籍なのか?というところですよね。

先ほど書いたようにボクが教材に書籍という形式を選んだ理由は単なる個人的な郷愁ではなく、シンプルに何かを学ぶときに書籍というパッケージがまだまだ優れている、そして他の媒体より書籍のほうが情報を得る上での身体性が高いからです。(電子書籍という選択肢もありますが、まだまだ紙の本の方が優位性があると思っています。)この2つの理由に賛同してくれる人は多いんじゃないかなぁと思っています。

選んだ細かな理由やボクの個人的な思い入れなんかは、彼らとのディスカッションの内容と一緒に、このnoteで記事にしていければと思っています。

そして、ボクが本を読むこと、文字を読むことを彼らの最初の課題にした理由がもう一つ。

“自分の文章を読めないと、自分で自分の文章を書くことができません。”

この記事にも少し書いたのですが、いわゆる言語化の手段として、文章を書くという場面は、働いていると本当によくあります。情緒的だったり叙情的に文章を書くようになりましょうって言いたいのではなくて”自分の考えていることや思っていることを自分の文章で書く”ということの話です。ボクのこの駄文でさえ、もしボクが文章をまったく読むことができなければもっともっと駄文なわけで、自分の文章を読むスキルというのはとても大事です。

ボクはインターネットの自由で牧歌的な世界に魅了されてこの世界に入りました。ボクがこの世界に入った20年前くらいはまだ、みんなが思い思いに文章を書き、写真を撮り、プログラムを書き、インターネットの自由を謳歌していたような気がします。昔に戻りたいなんて言うつもりはさらさらないんですが、みんなもっと自由に自分の言葉を発信していいんじゃないかと思っています。そしてその発信たちを受け止めることのできるおおらかさも、こんなに長くインターネットに関わってきたボクらにはあってもいいんじゃないかと思っています。その発信、つまり”自分の考えていることや思っていることを自分の文章で書く”ことに本を読むこと、文字を読むことで培ったことが役に立つのではないでしょうか。

ボクはおいかぜのスタッフやこれからおいかぜに入ってきてくれる人たちに、そういうインターネットの魅力を感じてもらえたらって思っています。この3冊の本は出版時期が違うということもあって、インターネットやデジタル社会がいろいろな側面で描かれていると思います。デジタルネイティブ世代である新卒の3人がインターネットやデジタル社会の片鱗を捉えるには良い教材だし、そして何より本や文字を読むことが”自分の考えていることや思っていることを自分の文章で書く”ことの”おいかぜ”になればいいなって思っています。

最後に。

個人的にはここに攻殻機動隊のSTAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)とS.A.C. 2nd GIGのDVDシリーズを研修教材として入れたいくらいだけれど、それはスタッフのみんなでビールでも呑みながら上映会でもして楽しむことにします。

いまから、来年の新人のみんなの考えることを聞いたり、彼らと話すことが楽しみです!

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