“ルールや制度とは願い!“漫画 キングダムが教えてくれたルールや規則づくりの大事な心構えとある循環
今年は外出自粛期間があったせいか、春があったような無かったような。なんだか不思議な感覚です。
気が付けば、うちの家の前の紫陽花たちもすっかり色づいて、梅雨が目の前まできています。というかもう梅雨?そして梅雨が終われば夏。あぁ。ついこの前まで冬も終わりですね、なんて言っていたのにびっくりです。
夏を目の前にして、再度の外出自粛があるかも?なんていう不安は引き続きあるけれど、いつもの顔を取り戻しつつある京都の街。ボクたちおいかぜ事務所も平穏な日常が続いています。
この有事の2ヶ月と少しの間、ボクは自らで積み上げてきたルールや制度に助けられてきました。それは、ルールや制度があることで自分や会社がどう行動すべきかということの基準になる、もちろん不測の事態やイレギュラーなこともあるのですが、基準があるからイレギュラーがわかるということ。何かの対応毎に話し合いや考えをすり合わせていたら、年度末から続くこの繁忙を乗り越えることはできなかったと思います。
ボクはサラリーマン時代、ルールや制度が苦手でした。いまとは全然立場が違うということは当然あるとしても、社員が500人を超える大きな会社でかなりしっかりとルールや規則が決まっていて、窮屈だなぁと感じていました。
とはいえボクは会社、ルールや制度や仕組みに縛られることが嫌でサラリーマンを辞めたわけではありません。
こちらのエントリーでも書いたのですが、会社の中のレイヤーで上を目指すより、会社の枠を飛び出して、社会のレイヤーで上を目指す方がメリットが大きいと思って独立しました。冷静に自己分析をすると、ボクは組織の中にいても、わりと上手にやっていけるタイプだったと思っています。それでもルールや制度に窮屈さを感じていたわけなのですが、それはサラリーマン時代の会社のルールや制度が良くなかったのか、それともルールや制度自体がそういうものなのか。
ボクはその窮屈さに結論を出せないまま独立することになりました。結論を出せなかったから独立したともいえるのですが。独立当初から法人化したものの、フリーランスと変わらない動きをしていたボクはしばらくは自由を謳歌、そしてその後自由は不自由とばかりに、なにかリズムや決まりを決めないと死ぬぞ!となり、今のルールや制度に地続きとなっていく、自分のルーティーンや決まりをつくっていくことになります。
そのルーティーンや決まりはとても心地良く、暮らしや仕事のリズムをつくり出し、いまもボクを支えているし、おいかぜという会社を支えています。
今日は「ボクそしておいかぜが大切にしているルールや制度づくりの心構え」についてお話できればと思っています。
1、ルールや制度とは何なのかという問いとある答え
ルールや制度とはいったいなんのために必要なのか?という問いの前に、ルールと制度というのは何なのでしょうか?
みんながバラバラに行動しないため?
とんでもないことをしでかす人が出てきたら罰を与えるため?
守るべきものがあれば効率的で合理的だから?
どれも合っているようだけれど、本質的には違っていると思います。
ルールや制度が何のために必要なのか、これを教えてくれるぴったりの漫画のあるシーンがあります。中国の歴史上、初めて中華統一を成し遂げる若き日の秦の始皇帝、下僕出身で天下の大将軍を夢みる信とその仲間たちの成長と闘いを描く「キングダム」。
時は春秋戦国時代、武力で中華統一を目指す後の秦の始皇帝である嬴政が、ある日隣国の斉王に「どのようにして中華統一を成し遂げ、人民を治めるのか」と問われ、「法で治める」と答えます。その2人のやりとりを聞いていた嬴政の側近である昌文君が、内乱の罪に問われ投獄中の”法の番人“こと李斯に助言を乞いに行く、そんな場面です。
単行本46巻の昌文君と李斯とのやりとり。ここに核心があります。
李斯が尋ねます。
そもそも”法”とは何だ?言ってみろ昌文君
昌文君は答えます。
⁉︎……法とは 人を律し 治めるものだ……
それに対し李斯は、
馬鹿な!刑罰とは手段であって法の正体ではない!
と切り返された昌文君が、
……
で では…法とは何なのだ 李斯
見事に切り返す李斯!
“法”とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!
はい。名言ですね。
ここでは国家と国民のための法についての話ですが、会社と働く人たちのためのルールや制度と置き換えることができると思っています。
ルールや制度とは願い!会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!
2、個人の事情の集まり
ボクはルールや制度について考えるとき、スタッフみんなに「個人の事情」をなるべく聞くようにしています。もっと言うと、スタッフみんなの働き方や暮らしについての考え、どう生きていきたいのかということを聞く、話すようにしています。
すでにあるルールや制度で「個人の事情」を汲み取ることはもちろんですが、もし汲み取れないとしても「なるほどこんな事情もあるのか」となればルールや制度に組み込んでいきます。ボクや経営陣だけの想像力では限界があるのは当然で「個人の事情」がルールや制度を「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」としていく力は計り知れないと思っています。
例えば、いま見直しているリモートワーク制度で「出産時リモートワーク取得制度」を導入する予定しています。この制度はある男性スタッフの初めてのお子さんの出産の際に「奥さんの出産育児には寄り添いたいけれど、育休を取るほどでもないからリモートワークをしたい」という「個人の事情」を汲み取って、彼に出産のサポートをしながらリモートワークをしてもらったことがきっかけでした。ボクが彼から話を聞いたとき「なるほどそうだよな。男女関係なく、もし他のスタッフで同じ状況になったとき、出産前後やその周辺の育児の際にリモートワークできるならして欲しいな。」と思いました。まさに「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」です。
3、ルールや制度は性善説でつくる
「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」をつくるため、ルールや制度をつくるために、ボクがおいかぜが大事にしていることは「働く人たちの本性は基本的に善である」とし、性善説でつくるようにしています。
なぜ性善説なのか。それは「悪用する人もいる前提、罰則や制限することを前提でルールや制度をつくらないため」です。国家という単位や大きな会社では難しいこともあるかもしれませんが、30人規模の会社であれば、性善説でルールや制度をつくることができると思っています。
「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」を「本性が基本的に善である働く人たち」が使うという前提、これはおいかぜのルールや制度を考えるときの大事な心構えなのです。
4、性善説にするためのキーワード、それは採用
「とはいってもルールや制度を自分勝手に捉えて悪用する人っていませんか?」
と質問されることがあります。もちろん答えはイエス。その可能性はあると思います。でもその可能性を限りなく低くする唯一の方法があります。それは採用です。
おいかぜのビジョンやミッションに共感しているかどうか、スキルと人柄を見極め、どの役割で活躍してもらうか。おいかぜで働きたいと思ってくれる人のキャリアビジョンとおいかぜでのキャリアパスを照らし合わせて、ボクやおいかぜのみんなが描く未来に、新しいカラーや形つまりボクたちが賛同できる「個人の事情」を加えてくれる人を探す旅。ボクが考える理想の採用が実現すれば究極の好循環を生むと信じています。それはつまり、
①『会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの(ルール)』を『本性が基本的に善である働く人たち(スタッフ)』が使う
↓
②『本性が基本的に善である働く人たち(スタッフ)』が『個人の事情』を共有する
↓
③『個人の事情』を汲み取り『会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの(ルール)』をアップデートする
↓
①に戻る
ということです。
この好循環に支えられた会社とスタッフでつくるルールはとても心地良く、暮らしや仕事のリズムをつくり出し、会社の今をそして未来を支えるものとなるはずです。
5、すべては李斯の言葉が起点となる
ではボクがサラリーマン時代に感じていたルールや制度の窮屈さとはいったいなんだったんでしょうか?その答えはボクのその頃の気持ちの中にあると思っています。
それはルールや制度をさきほどの昌文君よろしく「人を律し、治めるものだ」と捉えていただからだと思います。ボクがルールや制度を「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」という心構えを起点としていれば、窮屈なものとは思わなかったはずです。そして会社が「個人の事情」を「会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」に組み込みアップデートする好循環が組み合わさっていれば、最高の形になっていたでしょう。
ルールや制度とは願い!会社がその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!
この言葉を起点として生み出される「ルール」を、理想の採用で得た「スタッフ」が使い、「スタッフ」の「個人の事情」を「ルール」にアップデートさせていく好循環。これこそが最高の形だと思います。
ここに書き連ねたことは、理想的な話ではありますが、不可能なことではないと思っています。少なくともおいかぜでは実現に一歩一歩近づいています。
おいかぜのルールや制度づくりは道半ばです。そのときの組織の人数や状態に合わせて、そして「個人の事情」を汲み取りながら、ルールや制度アップデートを繰り返して、これからも「おいかぜがその働く人たちに望む人間の在り方の理想を形にしたもの」を追求していきたいと思っています。
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