変化すると損失が生じると感じてしまう!?『現状維持バイアス』
■『現状維持バイアス』とは?
『現状維持バイアス』(status quo bias)とは、何かを変化させることで、現状がより良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して、現状を保持しようとする心理事象を指します。
仮に有益であったとしても、知らないことや経験したことがないことは「安定した状態がなくなってしまう」とマイナス思考になり受け入れたくない、失敗を恐れて現状に留まりたいという心理傾向とも言えます。
◆現状維持バイアスの由来
現状維持バイアスの心理事象は、1988年に経済学者のリチャード・ゼックハウザー氏と、ウィリアム・サミュエルソン氏によって提唱されました。
■現状維持バイアスが発生する要因
現状維持バイアスが発生するのは、主に3つの心理的な作用が影響しています。
◆①損失を回避したい
損失を回避したい=『損失回避性』については、「コイントスゲーム」の例が知られています。
表と裏が出る確率がそれぞれ50%のコイン。コインを投げて表が出れば1,500円をもらえるが、裏が出た場合は1,000円を支払わなければならないというルールのゲームへ人々は参加するかどうか。
確率で見ると、表が出るのも裏が出るのも確率は同じであるため、もらえる金額の方が多いので参加すべきと言えますが、実際には多くの人が難色を示すとされています。
人間は何かを失うことを極端に嫌う傾向があるため、利得と損失を比較すると、損失の方を重大に感じやすく、損失を回避しようと意思決定や行動をする心理傾向があります。これを『損失回避バイアス(損失回避の法則)』と呼びます。
利得と損失の間にどの程度の開きがあれば釣り合うのか、という『損失回避倍率』について多くの実験が行われた結果、(個人差はあるものの)損失の1.5~2.5倍の利得がある時に、損得が釣り合うと感じることが明らかになっています。
この損失回避の倍率を下回る場合、損失が生じる可能性があるため、人は行動を起こす必要性を感じずに現状のままでいようするわけです。
◆②慣れ親しんだモノが良い
『保有効果』が働くことで「慣れ親しんだモノを選ぼう」とする心理が働くようになります。
『保有効果』とは、一度手に入れたモノに対して、自分の手元になかった時よりも価値が高いと感じ、手放すことに抵抗を感じる事象を指します。
◆③最初の状態のままでいたい
『デフォルト効果』によって「現状を損失することを恐れて、最初の状態・設定から変更したくない」という心理が働くことも、現状維持バイアスが発生する要因の一つです。
■現状維持バイアスの発生例
◆飲食店でいつも同じメニューを頼む
飲食店でいつも同じメニューを頼むのも、現状維持バイアスの一つ。
同じ店に行き、同じ席に座り、いつもと同じメニューを注文するのは「慣れ親しんだモノが良い」心理や、「(変えることによる)損失を回避したい」という心理が働いています。
◆転職せずに在籍し続ける
世に言う「ブラック企業」のような劣悪な待遇の企業であっても、「転職しても、もっと悪い環境の職場なのでは?」という不安から「(転職することによる)損失を回避したい」という心理が働いています。
※『転職』に関しては、こちらのページをご覧ください。
◆配信拒否せずにメルマガを受け取り続ける
マーケティング活動の一つであるメールマガジンの配信(リードナーチャリング)も、現状維持バイアスが発生する例と言えます。
受信側からすると「(メリットのあるメールマガジンを)配信拒否することによる損失を回避したい」と考えるため、迷惑メールフォルダに移動させたり配信拒否することなく、受信するメールを閲覧することをきっかけに継続的なコミュニケーションが可能になります(有益な情報をメールマガジンで配信していることが前提になりますが)。
※『リードナーチャリング』に関しては、こちらのページをご覧ください。
◆旧来にこだわって切り替えない・取り入れない
企業組織においては、新しいシステムやツール、制度の方が優れているにも関わらず、旧来のものにこだわって切り替えない・取り入れないという現象も、現状維持バイアスの一つ。
変えないことによるメリットももちろんありますが、優れている方に切り替えないことで、業務改善・効率化や組織の改革が進まないというデメリットが生じるリスクが。
■現状維持バイアスに陥らない・克服するためにはどうすれば?
この続きは、こちらのページをご覧ください!
株式会社SBSマーケティングでは、中小規模企業様、個人事業主・フリーランス様向けに集客や販売促進、マーケティングに関連したコンサルティングサービスをご提供しております。
■中堅・小規模企業様向けサービスはこちら
■個人事業主&フリーランス様サービスはこちら
ご興味ありましたら、まずはお問い合わせください。
BtoBマーケターより。