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ビジネスを進める中で、名刺やホームページなどに「電話番号」を記載・公開するかどうか、悩むことはないでしょうか?
さまざまな社会情勢が変化する中で「電話番号」を公開することによるデメリットも顕著になってきています。
ビジネスで電話番号の運用に悩むタイミングや、現在の「電話」に関するさまざまな傾向、「電話番号」を公開していることで起こったトラブル例や、公開する方がメリットのあるビジネスなどについて解説しています。
■これまで「電話番号を公開する」ことは至極当たり前でしたが・・・
ビジネスを進める中で、名刺やホームページなどに「電話番号」を記載・公開するかどうか、悩むことはないでしょうか?
これまで「電話番号を公開する」のが一般的でしたが、さまざまな社会情勢が変化する中で、「電話番号」を公開することによるデメリットも顕著になってきています。
自身はこれまで、「代表電話」を公開する・公開していない両方のパターンの会社に在籍していました。
そのどちらの経験とともに、ビジネスで「電話番号」の運用について悩むタイミングとそれぞれの傾向、現在の「電話」に関するさまざまな傾向、「電話番号」を公開していることで起こったトラブル例や、公開する方がメリットのあるビジネスなどについて解説しています。
■「電話番号」を公開すべきか悩むタイミング:起業・会社設立時
ビジネスシーンにおいて「電話番号」を公開すべきかどうかを悩むタイミングとして挙げられるのは、起業・会社設立時。
フリーランスの形ではなく起業や会社法人を設立する際、参考として既存企業の運用状況を調べてみると、携帯番号ではない、市外局番の固定電話番号を取得・公開しているケースがほとんどであることがわかります。
大規模企業などが市外局番の固定電話番号を取得しているだけでなく、個人事業主や小規模の企業でも取得しているのはなぜでしょうか?
仮に、固定電話番号を取得せずに起業・会社法人を設立する場合、自身がすでに所有している、もしくは新たに所有する携帯電話の番号を連絡先にすることになります。その場合で考えてみると・・・
◆顧客からの社会的信用を得にくい
まず、「社会的信用が得にくい」という点がデメリットとして挙げられます。
起業時・会社設立時に大事なのは「この会社なら大丈夫」と思ってもらえる信頼感をどう得るかです。
公開されている電話連絡先が携帯電話のみの場合、「本当に存在する会社なのか?」「連絡が途中でつかなくなるのでは?」と不安に思うかもしれません。
ですが、固定電話番号があり公開していることによって、バーチャルではない事務所が存在し、誰かが常駐していることのアピールになります。
また、個人事業主の中には「仕事を放棄」したり「締切を守らずフェードアウトしてしまう」人が一定数います。
そういったこともあり、個人事業主や起業したての企業に対するイメージはそれほど良くありません。
そこで、「連絡が途中でつかなくならない」「仕事を依頼しても大丈夫」かどうかを見極めるポイントの一つとして、「固定電話番号を取得しているか」を見るというわけです。
つまり、固定電話番号があることが、「安心して連絡できる会社」としての信用の裏付けの一つになるというわけです。
※ちなみに、会社設立において「電話番号」は登記事項には含まれてはおらず、必須事項ではありません。
なので、固定電話番号が無くとも会社の設立は問題なく行うことができます。ですが、登記の際に提出する申請書には電話番号を記載する欄はあります(申請書の内容についての連絡用として)。
◆金融機関からの融資で不利になることも
顧客からの社会的信用だけではなく、金融機関からの信用を得るという点でも、固定電話の番号でないと不利になるケースがあります。
具体的には、金融機関への融資の申し込みや、法人用のクレジットカード作成を申請する際、書面には「固定電話番号の有無」の記入を求められる場合があります。
必須事項にされていなくとも、「法人としての体制を整えているか」審査項目の一つとしてチェックされている可能性があります。
※「固定電話番号」を取得して、不特定多数が閲覧できるホームページなどには公開しないという運用方法もあります。
◆プライバシーがなくなる
例えば、名刺やホームページに個人で所有している携帯電話の番号を記載・掲載していると、いつでも電話がかかってくる可能性があるため、仕事とプライベートの境界が曖昧になるということもあり得ます。
■「電話番号」を公開すべきか悩むタイミング:営業電話がしつこい
次に、「電話番号」を現在公開しているため、営業の電話が頻繁にかかってきてしまうというケース。
不特定多数の方々が閲覧することができるホームページなどに電話番号を公開・掲載すると、営業電話がかかってくることがあります。
コロナ禍を経た現在、これまで会社に出社することが当たり前だったのが、在宅勤務・テレワークの機会、ハイブリッドワークが増えたこともあり、所謂「飛び込み営業」が減り、「お問い合わせフォーム営業」や交通費を削減できて「空振り」を減らすことができる「電話営業」のアプローチが増えています。
そのため、本来は取り扱う商品やサービスに関する問い合わせを受ける用途として運用している企業の代表電話番号が、売り込みを受けるツールになってしまっていることが多いかもしれません。
ちなみに、独立行政法人 国民生活センターによると、2009年12月に特定商取引法が改正され、電話勧誘販売や訪問販売の場合、消費者が「いらない」「興味がない」と勧誘をはっきりと断っているにもかかわらず、業者が引き続き勧誘したり、再度勧誘することは禁止規定にされています。
この規定に反した業者に対しては、消費者庁長官もしくは経済産業局長または都道府県知事に申出て、業者に適切な措置(指示や業務停止命令)をとるよう求めることができるようになっています。
■最近の「固定電話(代表電話)」の運用傾向
最近では、「固定電話(代表電話)」を廃止・解約するケースが増えている傾向があります。
◆企業の場合
テレワークの普及やチャットツールといったコミュニケーション手段の多様化を背景として、大手企業でも固定電話を廃止する動きがあります。
2021年3月に総務省が公開した「情報通信白書」によると、音声系固定通信の加入契約数は、2010年の3,957万件に対し、2020年時点では2,000万件以上の減少となる1,716万件と減少傾向が続いています。
◆一般世帯の場合
一方、一般世帯でも、固定電話の保有率は年々減少傾向が進んでいます。
2023年5月に総務省が公開した「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、2013年の79.1ポイントをピークに、2022年には63.9ポイントまで減少が進んでいます。
さらに、Yahooニュースの記事(※)によると、全世帯のうち1/3強は固定電話そのものが無く、60歳~80歳以上の世帯では80%以上の保有率であるものの、20代は6.3%、30代は15.0%と特に低い保有率であることがわかります。
携帯電話(スマートフォン)の普及拡大とともに、そもそもの世帯人数の減少、単身世帯の増加によって固定電話の保有率が減少しており、比較すると高齢層(60歳~80歳以上)の保有率は高いものの、20代~30代では「固定電話離れ」が特に進んでいる傾向があります。
※全体では64.0%・20代世帯では6.3%…固定電話の保有状況(2023年公開版)不破 雷蔵 氏
■最近の若年層の傾向
若年層に特化して見てみると、「(固定)電話離れ」が顕著になっています。
◆中途採用面接のドタキャン
中高年世代にとっては電話での会話は「何でもない行為」かもしれませんが、若い世代にとっては不安やストレスを募らせる行為になっています。
例えば、企業の中途採用面接のドタキャンも、それまでのやり取り・最終面接の結果連絡がメール連絡であることがほとんどであったのに、面接のキャンセルは「電話で伝えるのがマナー」であることが。
選考を受ける側もそういったマナーを知りつつも「電話」のハードルが高いため、電話で伝えることができずに結局ドタキャンになってしまうケースも。
◆「電話対応」が嫌で退職するケースも
中高年世代と比較して「電話をする」ことが億劫になっている多くの若年層は、日常生活や上述の中途面接辞退のシーンの他にも、職場での電話対応に対しても不安やストレスを感じています。
現在の若年層の多くは、電話をせずにLINEといったスマホアプリのやり取りなどでコミュニケーションを完結させることが普通となっています。
つまり、電話機能を使う必要性を感じていないため、突然掛かってくる知らない人の電話対応や、テレアポ・顧客対応というのは難易度の高い作業であり、「電話」が嫌で退職する若者も一定数いて、「電話ストレス問題」と呼ばれています。
中高年世代と若年層の間では、「電話」についてジェネレーションギャップが生じているというわけです。
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この続きでは、「電話番号」を公開していることによって弊害が起こった例、「電話番号」を公開した方が良いケース、「代表電話番号」を公開するメリット・デメリットなどについて解説しています。
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