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ラテン語の格言 (20) 「不安は、小さければ大いに語り、大きければ沈黙する」

・Curae leves loquuntur, ingentes stupent.
 (不安は、小さければ大いに語り、大きければ沈黙する)

 不安が小さい時、人々はその不安について話すことで安心を求めます。小さな悩みや問題は、共有することで解決策を見つけやすくなるか、または単に語り合うことでその重さを軽減できると感じるからです。ここには、人間が社会的な存在であることの証左があります。他者とのコミュニケーションを通じて、自分の感じる不安や恐怖を軽減させる傾向があるのです。
 しかし、不安が大きくなると状況は逆転します。深刻な問題や深い恐怖の前では、言葉にすることが難しくなります。大きな不安は、しばしば人の意識を内側へ向かわせ、外部とのコミュニケーションを閉ざす原因になります。この沈黙は、恐怖が大きければ言語化することが負担になるためです。また、大きな問題を他人にも負わせてしまう懸念から、沈黙を選ぶこともあるでしょう。
 この格言は、小さな不安には耳を傾け、大きな不安には寄り添うことの重要性を説きます。大きな不安を抱える人々にとって、言葉を超えた理解や共感が、真の慰めになるのです。

・Velocius quam asparagi coquantur.
 (アスパラガスの調理よりも速く行うべし)
 ※当時は産地からローマまで届くのに時間が掛かった

・Non scholae sed vitae discimus.
 (学ぶのは卒業のためではなく人生のために)
 ※イスタンブール大学の標語

・Scientia vincere tenebras.
 (科学は闇を征服する)

・Ignoranti quem portum petat, nullus ventus.
 (行き先がはっきりしない船に、風は吹かない)

・Verba volant, scripta manent.
 (言葉は飛び去り、文字は留まる)

・Qui acceperint gladium, gladio peribunt.
 (剣を持つ者は、剣で身を滅ぼす)

・Aestas formosa est messibus, Autumnus poma dat.
 (夏は豊作で美しく、秋は果実を与えてくれる)

・Dum loquor, hora fugit.
 (会話をしている間は、時が経つのが速い)

(2010年8月16日から8月29日)

(追記)プログラミングの世界では、小さなバグは開発者の間でよく話題になります。これは、小さなバグは比較的簡単に見つけられ、修正も容易であるため、開発者は自分の苦労話を披露する機会になるからです。例えば、「あのセミコロンのバグを見つけた時、私はまるで探偵のようだった」と自慢話に花を咲かせるかもしれません。
 一方で、それがシステム全体に影響を与える深刻なエラーに発展した時、開発チームは沈黙に包まれます。これは、問題の重大さを理解したからです。この時、開発者は「我々は今、深刻な問題に直面している。しかし、この挑戦を乗り越えることで、私たちはより強くなる」などと賢者のようなことを言うかもしれません。


不安は、小さければ大いに語り、大きければ沈黙する
持っているのはパンドラの箱?

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