後期発症型の自閉症②
SBSK自然分娩推進協会では、代表の荒堀憲二(産婦人科医師)よりメルマガを配信しています。
今回は、2024.06.03配信のメルマガ内容です。
前回に引き続き、「自閉症の子どもたちと”恐怖の世界”」(白石勧著 花伝社)より。
※白石さんの書籍を割愛し結論を中心にお伝えしています。詳しく知りたい人、文献も見たい人は原著書をご覧ください。Amazonでも購入できます。
6-3. 後期発症型の自閉症は治る
■ 早期発症型と後期発症型の自閉症
早期発症型の子どもは刷り込みに障害があるので、母親のそばにいても安心が生まれない。早期発症型の子どもの世界は恐怖の世界である。
それで、できることが限られる。また、刷り込みに障害があるので言葉にも障害がある。
それに対して、後期発症型の子どもは全面的恐怖症を発症しているので、母親のそばにいても安心が生まれない。
後期発症型の子どもの世界も恐怖の世界である。
それで、それまで出ていた言葉が出てこなくなる。また、それまでできていたこともできなくなる。
したがって、早期発症型の子どもも後期発症型の子どももおなじ症状になる。
しかし、早期発症型と後期発症型の自閉症はおなじ障害ではない。
後期発症型の子どもは母親を刷り込んでいる。
注射や引っ越しなどで恐怖症を発症したという軽い刷り込みの障害があるが、刷り込みの障害は軽度である。後期発症型の子どもは自閉症と診断されているが、実際は幼児期における全面的恐怖症である。
■ 自閉症からの回復
『愛の奇跡』の少女アン・ホッジスは早期発症型の自閉症である。
1952年にイギリスで生まれた。当時、イギリスでも自閉症はほとんど知られていなかった。
アンは7歳になってもまったく言葉はなく、哺乳瓶をくわえて椅子に座って、身体をゆすっているだけだった。しかし、アンが7歳のときから、父親や母親や兄弟も協力して、アンが抱えていた様々な恐怖を克服させた。そして、家族で教育もおこない、8歳になって言葉を話せるようになった。
アンが23歳になったときは、仕事をしていて、自動車の運転もしていた。アンは様々な恐怖を克服したことで、奇跡と呼ばれるようなめざましい成長をしたのである(次の章で詳細を示す)。
しかし、早期発症型の自閉症であるアンには刷り込みの障害がある。アンは奇跡と呼ばれるような成長をしたが自閉症の特徴が残っていた。
アンは自閉症が治ったとはみなされていない。
それに対して、アン‐マリーとミシェルは全面的恐怖症を発症して自閉症と診断された。
2人とも自閉症と診断されると、すぐにさまざまな恐怖症の治療がおこなわれた。そして、2人とも全面的恐怖症が治ったことで、自閉症から回復したのである(次の章で詳細を示す)。
アン‐マリーとミシェルは、乳児期には正常に近い、あるいは正常な発達をしていた。
したがって、2人とも刷り込みの障害は軽度である。
刷り込みの障害が軽度だったので、恐怖症の治療をおこなったことで、2人とも自閉症とは診断されなくなったのである。
早期発症型の自閉症の子どもは、様々な恐怖症の治療をおこなうと奇跡と呼ばれるような成長をする。
しかし、自閉症が治るということはない。
対して、後期発症型の自閉症の子どもは、恐怖症の治療をおこなうと自閉症が治るのである。
次回は「恐怖症の治療①」です。
白石氏の電子書籍の目次は以下のとおりです。
※なお、本記事は白石氏の了承のもと公開しております。
第一部 自閉症の原因と予防
第1章 自閉症の原因
第2章 刷り込み
第3章 新生児室
第4章 自閉症予防の5カ条
第二部 自閉症の正しい理解と支援
第5章 自閉症の正しい理解
第6章 後期発症型の自閉症
第7章 恐怖症の治療
第8章 恐怖症の治療と教育
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