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言葉の汚いクリエイティブ・ライフの良書

「クソ野郎はいつまでたってもクソ野郎」そんな素晴らしい言葉で始まる本書。主に広告クリエイティブでの舞台裏についてリアルに伝える内容になっている。
広告に限らず広く受託クリエイティブ業にとって、共感度が高い。

「クソ野郎にならないために」さまざまな角度からアドバイスがされており、ブリーフィングが意味をなさないとか、まじそれ!と頷きまくるところ多々あり。
ちょうどうちの会社のブリーフィングフォーマットを作っていたので改めて、どのような情報群が受け手にとって重要かを再確認できた。

それ以外にも、注文の多いクライアントとの関わり方や、フィードバックについての注意事項など、改めて注意しないとなと逆にどきりとする場面もたくさん。
十年以上、この業界にいて今ふりかえりのように読めてよかったと思える内容だ。

この本は一貫してある程度の管理職側(経営者やCD、AD、シニアプランナーとか)に向けて有益な情報が多い気がする。これを新人が読んでも上司の出来不出来をジャッジすることくらいしかできないだろう。

何より新人から同じ業界にいた身としては、「あるある」すぎてサクッと読めてしまう。そして著者自身もエージェンシー勤務の経験や今はデザインファームを経営する側となり戒めとするように書かれているようで、ちょうど僕の会社のステージにとっては良い教科書でした。

著者の出身のドイツでは、オブラートに包んだ伝え方をしないらしく、それがとても良いなと思った。対比としてアメリカはオブラートに包むらしいのだが、だとしたら日本はダンボールに包んでるくらいのものかもしれない。

さまざまな国で働いて文化の違いを肌身で感じ、何がより良いものを作る上で大切にすべきかを明確にしていったのだろう。とても説得力のある内容だった。
何より口が悪い文章は読みやすい。褒めてる。

社員とか部下とかいる小さいクリエイティブの組織は、すぐに実践できるノウハウが詰まっているのでオススメ。大きい組織で悩んでる人は、いや無理だろう…となるので転職を後押しする一冊になる可能性あり。どこ読んでも否定できないほど真っ当な正義なのでぐうの音も出なくなるはず。

どんだけ口悪いか見てほしい。テキストの半分くらい過去の嫌だったやつの文句をユーモア交えて伝えているのでノウハウ半分+恨み節半分という謎のためになる1冊となっている。


いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。