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個人で働く前に知ってほしいこと

先にお伝えすると、僕のようなアイデア仕事の人間に限った話かもしれません。あくまで個人的な経験談で誰もに当てはまるものではないとも思います。これは違うなーとかは切り捨てて、こういうこともあるのか…という小さい気づきになれば幸い。

フリーランスや一人法人は理性を保つのが難しい。
実際やって見ないと想像がつかないかもしれないが、基本的に孤独な作業が続く。風邪もひいてられない(気合いで1日でなおす技を身につける必要がある)、いつ休んでいいのかわからない。などなど、法人であるからこそ、ルールがあり、それに守られているものもある。一個前の会社で5−6年、今の会社で半年ほど経過し、サラリーマン時代と一人時代で身につけたサバイブする日常のノウハウをまとめる。

# 不安と仲良くする
「いつ休んでいいのかわからない」というセリフは一人屋台のデフォである。やればやるほどたまるお金と、意外と一人じゃかからない固定費。仕事させあれば生活は豊かに体力はギリギリに、精神はすり減っていく。
クオリティより生活の心配が勝り、過剰な受注が当たり前になる。これは儲かりはするが緩やかな自殺に近い。クオリティの低下は長い目で見て気づかず自分の首を絞める。
まずは不安と仲良くなることが必要。特に独立したては自分の力でどれだけ年間稼げるかの感覚がないから、闇雲になる。理想はサラリーマン時代に自分の力だけで年間いくら稼げるか体感をしっかり残しておく必要がある。会社の冠で依頼を受けた仕事か、あなた個人の信頼で得た仕事か明確に識別するといい。自分がマラソン選手だとして、42.195kmどのタイムで走れるか。もしくは走れないのか、知らないでフルマラソンに参加するのはただのバカである。マラソンでは良くても人生でそんなバカな行為はおすすめできない。

自分がどのスコアで走れるか、見えて来たら、その力の5割くらいでいきていけるか試算する。ずっと仕事していればいいわけではなく、会社のことや個人事業主でもお金の管理など今まで法人が代わりにやってくれていた作業を全て一人でやる必要がある。経理を雇ったところで、その人の人件費も稼ぐ必要がある。自分一人で全てできるかをしっかり見定める必要がある。
こんな現実的な試算をしていれば、不安は自ずと無言になってくる。

# どれだけ休めたかを誇る
極端な言い方だが、どんだけ働いたかの自慢はサラリーマン時代で終えておいて、どれだけ休めたかを真剣に考えたほうがいい。土日も仕事しないといけない忙しさは過剰な仕事である。自分の好きなことで土日働いてプロジェクトを動かすとかは全然良いし、むしろ推奨するけれど通常の仕事を土日対応する必要があるレベルであればそれは過剰に受注をしすぎている。か、組織(一人でも)のスケーラビリティがとれていない。年に4回ほど、業務内容の見直しを行うが、少し危ないようだと受注量を減らす。思い切って断る。断るのが苦手なので僕の場合は、○月に稼働だったら是非!と思い切ってこちらのスケジュールに合わせてもらう。そこで別のところへ仕事が流れるようなら、受けなくて正解だと思うようにしている。向き合う仕事は自分でしか答えれないものに絞るのが正しい判断だと思っている。土日も仕事が普通になり始めていたら組織維持のスコアを見直し、受注量を管理し、バランスを再検討すべきである。おそらくその状態は一時的には良いが長期的に見ると求められたものを返すチームになり、それもいずれ自分の首を絞める。であれば稼ぎが落ちてでも次のステージにあがれる勉強や美術館巡らせても良いし、大量の映画を見るほうが圧倒的に正しいと思っている。個人的には。

# バケーションとれてるか、とれてないか
これは僕でもまだ度胸がなくてできていないが、数週間から1ヶ月レベルのバケーションが取れてる方が絶対いい。もし組織が大きくなってそれでも10人以下レベルで自分があくせく年間働きづめだったら…それは社員にも同じ環境であると言える。今はまだ一人なので1ヶ月レベルの何も仕事をしないって期間を儲けれないと社員が増えたり、アシスタントが増えたりというときにしっかり休んでおいでといえない。といいつつ、僕もしっかりバケーションがとれてなく結局毎年何かしら仕事をしてしまっているので今年はしっかり休んでみたい。今それができないとずっとしなくていいという人間になってしまいそうで将来の社員に申し訳ない。今年これ頑張る。頑張る??

# 受託であれば、毎年小規模でも実験的な投資をする
特に受託業であれば、年間クライアントとの課題解決に勤しむことになる。それは正しいことなんだけど、クライアント視点の気づきが少ない。自分たちで稼いだ金を投じて小さいビジネスを仕掛けて見ることが大事。小売でもいい。小規模のプロダクト開発でも良い。全然売れないとか、すぐ完売したとか、在庫がすごい!とか、商売してるとリスクが大きく見えて来てなかなか挑戦できなくなる。気づくと昨日と、去年と、数年前と同じことしかしてない状態になり、成長が止まる。

クライアントは自分たちで稼いだ金で新商品を開発し、僕らのような作り手にどう伝えたら良いかをお金をかけて依頼し、多くの時間を注いでリリースへとこぎつける。大成功でしたね!とか、芳しくないですねと結果は必ずでる。できることなら自分たちのお金を投じて彼らと同じ、小規模でも、ビジネスのステップを体感すべきだ。

# 相談できる先輩たちに愛を
愛すべき先輩たちを見つけるべきだ。できれば創業前に色々相談したり、わからないことをストレートにぶつけて教えてくれる先輩を見つけるべきだ。本とか色々でてるけど、章立てて説明できるほど課題は固定化していない。

そして、お世話になった諸先輩がたに成長を通じて還元をすることを目指そう。僕はもう本当たくさんの人に支えられ、教えていただいている。何か大きなことを成し遂げれた時には、その仕事に関わっていなくてももっともっと土台のところでその人のアドバイスなしには成立しなかったものがある。そこの感謝を忘れないようにしなければいけない。そして、いつか大きなお返しを送りたい。

# 冷静と情熱のあいだを維持せよ
冷静であり続けると保守的に、情熱的であり続けるとギャンブルに。
どちらも大事だけどどちらかだけでは絶対だめ。この間を行き来することが大事であるし、それで心が疲れないようなメンタルも必要である。

例えば、僕の場合は
1週間に1回。今週の動きと来週の動きの見直しがある。
2週間に1回。月間の見直しがある。
4週間に1回。年間の見直しがある。

見直ししまくってるなと思うかもしれないが、お金もスケジュールもこんだけ見直していても精度が甘い。もう途中からブレるものだという前提で航路の舵取りを定期的に行うことで大きな進行ミスを減らすことにした。

と同時に毎日1時間は自分のプロジェクトへの時間として使っている。
数本、マイプロジェクトを定めて、調べ物やアイデアを作っている。楽しくて1時間では済まないこともある。しかしこの時間がないとなんのために独立したのか謎になる。この時間をとても大切にしている。

# 自分に期待しすぎない
自分で自分を期待しがちである。タスク捌けない量の時とか、情けない気持ちになる。自分の尺度を誤っている証拠だ。期待は他者からされるものであって、自分自身で期待することをやめること。今年はこの数字稼げたから、来年は1.5倍の数字を目指そう!とすぐ上を目指しがちになるが、これは危ない。過剰な筋トレみたいなもので、今年これだけ稼げたけど、どこがラッキーパンチだったか、もっと改善することはないか?と過去の洗い出しをオススメする。結果、それでスコアがあがれば尚良い。時間に余裕が生まれたなと感じたら目標の数字をあげるといい。少なくとも僕の年間目標は死なない金額設定にしてある。少人数、もしくは一人で働くことの限界を把握する。
その上で、どう成長していくか。個人を鍛えるか。仲間を増やすか。単価を上げるか。選択肢はいくつか出てくる。その選択一つで未来の良し悪しが全て決まる。その時自分に期待をしすぎてる人は、組織に期待をしすぎていることになり、誤る選択をしがちである。

# がっつかない
仕事の流れができてきたり、調子が良いと仕事がすごいくる。
全部受けてるとすごい儲かるけど、儲かった先に何があるかをよく考える。
僕一人が働く会社なので、こんなに数字はいらないかなと判断する。
仕事を受けることも大事だけど次の仕事の幅を広げることも必要である。期待を超える結果で期待に応えたいという思いがあるので、お金や案件にがっつかない。がっついた先には過労と時間のなさからのインプット不足、クオリティの低下。最終的に自分の決定が崖っぷちへの道しるべになるときもある。
お金の余裕より、心の余裕を優先するようにしている。

という感じで、あくまで僕のような仕事で学んだことであるが、適度に働き余裕をもって先を見ようという感じ。この「余裕」がないから苦しくなり、判断を誤るんじゃないかと思っている。
あとそもそも案件が来ないとか、お金がない、という問題は、今回語る以前のところに大きな問題がある。言い方が悪いかもしれないが、そこを自力で改善してまずは沈まない船をこしらえることができない限り、独立はオススメしない。今、周りでたくさんの会社やスタートアップが生まれている。なんとなく社会の流れがそうだからと自分も安易に独立すると、マジで結構人生壊れるので、できることならこれから独立考えている人がこういうことに耐えれるか?再度言う「余裕」があるかをしっかり見定めておくことをオススメする。

もしかしたら開花するかもしれないビジネスチャンスも、ちょっとしたことでダメになることもある。準備は万全に越したことはない。少しでも考えるヒントになれば幸いです。

Photo by Tom Swinnen from Pexels
https://www.pexels.com/photo/autumn-autumn-leaves-fall-leaves-606453/

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。