キレイとは無縁の美しい瞬間
子供たちが学校へ出て後に、のそのそ僕もオフィスへ向かう。
8時半とか9時あたりのオフィスは誰もいない静かな空間。コンコンという変わった名前の僕らのオフィスは長屋2軒を打ち抜いた不思議な空間だ。
家とコンコンまでは歩いて15分程度。自転車なら7−8分でつく。
超ご近所にデスクがある。そして、我が社は僕を含めて4人。来月5人になるが、たった5人で長屋二軒は広すぎる。ということでオフィスなんだけどコンコンの共用部も兼ねている。
しかし、それでもまだ広い。周りのフリーランスたちが格安で使えるように開放し、仕事をしあり、打ち合わせをしたり、一緒に酒を飲んだり、人生相談したりと賑やかな空間だ。
僕の会社は出社自由の週休3日なのでほとんど誰とも合わない。社員以外のメンバーといることの方が多い。というかすでにフリーデスクには14、5人ほどの仲間がいるのであたりまえかもしれない。
ドアをノックする「コンコン」という音を聞いて、あーそれが由来なのねって気付くお客さんも多い。それも理由の一つで他にも無限にあるよって話す。酒をこんこんと飲むとかね。なるほどと強く肯くゲストたち。ちなみに3匹程庭を横切る野良猫たちの名前は全て「こんこん」だ。
誰かがいるときもあれば、いない時もある。
1日中僕しかいない時もあれば、今日は賑やかだったバラバラとたくさんの仲間がきていた。ちなみにスーパーオープンなオフィス故に機密書類は全て自宅にある。紙でおいとくこともできないので自然とペーパレスが進み、我が事務所のプリンターはガサガサの色しか出力できない。
他を探せばおしゃれで色んな備品が完備されたコワーキングスペースはたくさんあるのにここを好んで利用してくれる人たちがいる。たぶん、あれだと思う。お洒落な空間に長く入れない人たちだと思う。僕もそうなんです。
誰かが持ってきたかわからない一升瓶に、何故かもう見慣れてしまったチンチロリンようのサイコロと杯。いつ補充されたかわからない無限ビールや、誰かのお土産。差し入れをみんなで分け分けしたり、知らない人同士が勝手に繋がっていったり。不思議な場所だ。
最初から、このような空間にしようなどというプランニングはなかった。ここに僕らがいて、働いたり、怠惰にしたり、真剣に語り合ったりしていると、気がつけば人もものも増えていって今のような状態にあった、
当初、○eWorkみたいな小洒落たもんは俺らがやる必要もあるまい!と宣言だけはしていたが、今ではキレイな猫穴(京都の人しかわからない表現)と言われている。ここには静寂もあれば、ほっこりする時間もあり、見たことのない混沌もある。このエリアを今混という漢字を当てて「こんこん」としたのがまさにその言葉の通りとなった。
キレイとは無縁のなんだか美しい瞬間が、不思議とここでは巻き起こる。
またここで遊びましょう。
(先日、とうとう行きつけのスナックのママまで遊びにきた)
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。