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未来の教育 〜タブレット、どう使う?〜

デルタ株は若い世代に感染しやすく、学校は一人一台タブレットのGIGAスクール構想をさらに加速させられた。 

しかし、このタブレットやスマホなどは、これからの教育で必要不可欠なものになる一方で、ご家庭においては、悩みのタネにもなっているのではないでしょうか。

未来の教育によって、子どもたちは、このデジタルデバイスをどのように利用することで、加速するデジタル社会において、やりがいのある仕事をし、さらにより良い社会をつくり、自分らしく生きられるようになるのか。

『2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ』ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー共著に面白い実験を見つけた。

この実験結果は、スマホやタブレットばかり触って、学校の宿題をやろうとしないことに、イライラしてしまう親世代には考えさせられる結果だと思う。


2012年、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボの創設者であるニコラス・ネグロポンテは、エチオピアの僻地にある2つの村に、まとまった数のソーラー充電装置とタブレットを置いてきた。タブレットには初歩的な学習ゲーム、映画、本などがあらかじめ入っていて、その状態で箱に梱包されていた。それを大人ではなく、子どもたちに手渡した。子どもたちは読み書きができず、このようなハイテク製品を見たこともなかった。そして何の指示も与えられなかった。

さて、この結果、何が起きたか?

ネグロポンテは数十年にわたり、

「子どもたちに教育的アプリやゲームの搭載されたノートパソコンさえ与えれば、自分で読み書きを学び、それと同時にインターネットの使い方も学習する」

という奇想天外なアイデアを熱心に説いてきた人物だそうだ。

ネグロポンテは、子どもたちは箱で遊ぶんじゃないかと思っていたそうだ。
しかし結果は、

「4分も経たないうちに、一人が箱を開け、しかも電源スイッチを見つけ、電源を入れた。5日後には子どもたちは1日あたり平均47個のアプリを使うようになっていた。2週間後には村中でABCの歌を唄っていた。そして5か月言はアンドロイド(のオペレーティングシステム)をハッキングしていたのです。」

さらにその5年後、

2017年、イーロン・マスクの友人でこの本の著者ピーター・ディアマンディスが立ち上げたXプライズ財団はこの取り組みをさらに発展させ、世界に2億6300万人いる、学校に通えない子どもたちのためにソフトウェアを開発することを目的としたコンテストをスタートした。賞金を獲得するためには、参加チームは子どもがタブレットだけしか使わずに、迅速に独学を進められるようなアンドロイドベースのソフトウェアを開発しなければならない。具体的には18か月以内に、読み書き(スワヒリ語)と数学の基本が学べることが条件だ。対象はタンザニアのとりわけ辺鄙な167の村に住む、約2400人の読み書きのできない子供たち。


果たして結果は、やはり・・・

2つのチームが賞金を折半したそうだ。韓国のキットキット・スクールとケニアのワンビリオン。どちらが開発したソフトウェアも1日1時間の使用で、タンザニアの学校にフルタイムで通っている子供たちと同等の教育成果をもたらした。

これらの結果は、私たちに何を考えさせるのか?

子どもを持つ親は、我が子がスマホやタブレットばかり触っていると、学校の勉強をしていないんじゃないかと心配になる。こんなものなければいいのに・・・

しかし、本当に必要なものはどちらで、必要のないものはどちらなのか?

特に日本の公教育は、同学年で、同じ内容を、同じ進度でという一斉授業から抜け出せず、海外のデジタル教育に遅れをとっています。

確かに、ただ単純にタブレットを子どもたちに渡せば、中毒性のあるゲームに夢中になってしまう危険はあるでしょう。

しかし、だからといって課題提出や個別の習熟度をチェックするためだけの、自由度の限られた使い方をしていては、子どもたちの能力を生かすことはできないのではないでしょうか。

私たちは、私たちが受けてきた教育を子供にも与えたがる。しかし、時代は変わっている。

私たちに必要なのは、「手放す勇気」なのかもしれない。「画一的教育」は必ず終わりがくるから。

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