J1第3節 vs横浜F・マリノス

お久しぶりのマッチレポートになってしまいました。


コロナ禍の影響はまだまだ及ぶことになりそうですが、ひとまずリーグ戦が再開したので、ぼちぼちクオリティを上げていかないといけませんね。笑

スターティングメンバー

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リザーブ:GK谷晃生、DF舘幸希、MF松田天馬、MF茨田陽生、MF柴田壮介、MF田中聡、FWタリク

再開初戦のベガルタ仙台戦から中3日となったこの試合、仙台戦に先発していた大岩一貴(DF)、福田晃斗(MF)、石原直樹(FW)はメンバー外。

仙台戦にベンチ入りしながらも出場機会のなかった金子大毅がアンカーに入り、リーグ開幕戦の浦和レッズ戦で負傷してしまった中川寛斗が指宿洋史と2トップを形成、仙台戦でメンバー外だった山田直輝がインサイドハーフで先発出場しました。

(前半まとめ)
・とにかく"割り切った"ベルマーレ。
まだ状態が上がっていないマリノスにも助けられた。

昨年の対戦では、ベルマーレはマリノス相手に2戦2敗と、チャンピオンチーム相手に非常に手こずっていた。
前半戦のホームでは1-2、後半戦のアウェイでは1-3の敗戦を喫したベルマーレ。昨年の夏に起きた曺貴裁前監督のパワハラ指導疑惑報道の影響によって、浮嶋敏新監督が誕生したのが昨年の10月。
その浮嶋体制の監督初戦の相手が、J1リーグの優勝ロードを破壊力満点の攻撃サッカーで突き進んでいた横浜F・マリノスだった。

昨年の2試合の対戦でとにかく一貫して起こっていた事象といえば、ベルマーレがとにかくマルコスジュニオールに手を焼いていたことだった。
シーズン途中に、"マルコス・システム"、なるやり方まで採用されるほどにリーグを席巻していたブラジル人アタッカーをどう防ぐのかが、ベルマーレにとっては悩ましい問題となっていた。

マルコスだけでなく昨年のJリーグMVP仲川輝人、優良ブラジル人アタッカーのエジガル ジュニオ、エリキ、遠藤渓太(この試合は居なかったけど)ら昨年の優勝に大きく貢献してきた選手たちだけでなく、水沼宏太やオナイウ阿道といった実力者も加入させたマリノスを相手にするのは、対峙させられた相手からしたらとてもめんどくさいものがある。汗

そこでまず浮嶋ベルマーレがまず考えたのが、

マルコスジュニオールに気持ちよくプレーさせない

やり方であった。
トップ下の位置から幅広く動き回って周囲の選手たちと連動した攻撃を展開させるマルコスのプレーのリズムを少しでも狂わせれば勝算が開けてくるということだ。

その為にはマルコス自体に強くアプローチをかけに行くか、マルコスに繋がるパスの供給源を断ち切るか、この役割が非常に重要になってくる。

なので、ベルマーレは2トップの一角に守備技術も高くてクレバーな役回りが期待できる中川寛斗を起用し、マルコスと対峙することの多いアンカーの位置に運動量の多さと広さ、巧みなボール奪取能力が売りの金子大毅を抜擢したのではないか。

特に、金子大毅は何かあれば必ずといっていいほどマルコスに目を配り、マルコスのストーカーとてとてもしつこくつきまとっていた(褒め言葉)。

マーカーを利用する技術も高いマルコスであっても、ファールなしで颯爽とボールを奪える能力の高い金子とのマッチアップにはいささか手を焼いていたように見えた。
マルコスからチャンスを作られたとしても単発的な要素が強かったので、チームとして一貫した狙いがあった"マルコス封じ"は成功したと言っても差し支えはないだろう。

この"マルコス封じ"を念頭に置きながら、まずはゴールを割らせないという点で割り切った闘い方を遂行したベルマーレ。

ボールを持たれる時間の方が長かったのはデータから見ても明らかになっていたが、中川寛斗を始点とした前線からの連動したアプローチで高い位置からボールを奪えたり、GKの富居大樹を起点としたビルドアップから速い攻撃を展開できたりなど、ボールをうまく繋げる新しい"色"も見せ始めたベルマーレではあったが、ポジショナルプレーの練度が高いマリノスと比べると、技術と判断の質でまだまだ差があると言わざるを得ないクオリティに終始してしまった。

浮嶋ベルマーレが思い描いている新しい色については、取り組み始めてからまだ日が浅いので、今の段階で厳しく追及することといったら、しょーもないトラップやパスのミスをミスのままで終わらせないこと、パスを繋ぐには何よりも受け手の質が非常に重要になってくるので、受け手の質のクオリティを高めていってね!、と念じるくらいなものか。笑

マルコスジュニオールが思い通りの仕事が出来なくても、周囲の選手たちでなんとか出来るのが昨年の王者のマリノスの強み。

仲川輝人、喜田拓也、松原健の右サイドのユニット、フラフラと消えては突然ゴール前に現れるワントップのエジガル ジュニオ、特別指定選手時代にベルマーレでJリーグデビューを飾った左サイドバックの高野遼らが散々仕掛けてきてはゴール前に侵入するものの、ベルマーレの3バックを形成する石原広教、坂圭祐、大野和成が適度な緊張感と集中力を使い分けてあと一歩のラインを割らせなかった。

相手チームに合わせながら自分たちの良さを最大限に引き出そうとするベルマーレと、Jリーグの2チーム分の戦力を有し、ディフェンディングチャンピオンとしての地位に立つマリノスの余裕を感じることが強かった前半45分間だった。

(後半まとめ)
・点は取れるのに、それ以上に取られるベルマーレ。
交代枠増加がプラスに働いたマリノス。



エンドが変わった後半、マリノスの選手交代はなかったものの、ベルマーレは指宿洋史に替えて松田天馬が2試合連続の出場を果たした。

196センチの長身を活かしたポストワークが期待されていた指宿は前半45分間で奮闘はしたけど、かなりヘロヘロな状態に陥っていたので、中断期間の間にFWの位置での起用も始まった松田天馬を投入。
前半は身長差40センチ以上の凸凹2トップだったベルマーレは、後半は155センチ(中川寛斗)と、164センチ(松田天馬)のちびっこ2トップに変更。

中川寛斗の得点が生まれるキッカケとなったのは、その前のプレーで齊藤未月が中盤から飛び出して、前に出ていた梶川裕嗣をかわして押し込めばゴールという展開になったのがそもそもの始まりだったのだが(これは高野遼の見事なカバーリングで得点にはならなかった)、その齊藤にピンポイントのスルーパスを送ったのが、誰あろう松田天馬だった。

中川寛斗と松田天馬は2人のFWというよりは、6人目・7人目のMFとして周囲と連動していて、捉え所のない捕まえ辛さが先制点を呼び込めたようにも見えた。
事実、シュートを決めた中川寛斗も、アシストをした山田直輝も、ペナルティーボックスに見事なボールを入れた岡本拓也もずーっとフリーだった。
さすがのマリノスもハイラインを流動的なショートカウンターで突かれて、失点の一歩手前で止めたとはいえど、それなりにハラハラしていた心境だったのだろうか、びっくりするくらい綺麗な流れでベルマーレが決めてしまった。

開始3分に齊藤未月に思いっきり削られたエリキは迫力が削がれ、金子大毅に纏わりつかれまくっていたマルコスジュニオールは次第にイライラを募らせていって、浮嶋ベルマーレ的にはシメシメとほくそ笑む展開になっていたのだが、そこは昨年の優勝チーム。
一気に3人の選手交代を行う大胆な策に打って出た。

マルコスジュニオール、エリキ、扇原貴宏に替えて、オナイウ阿道、水沼宏太、天野純を投入したマリノス。
1-4-3-3のシステムから、1-4-4-2のシステムに変更を行い、オナイウ阿道とエジガル ジュニオの2トップ、右のサイドハーフに水沼宏太、左のサイドハーフに仲川輝人、ダブルボランチに喜田拓也と天野純を配置する布陣を形成。

この日の仲川輝人は対面の鈴木冬一に確かに手こずってはいたが、左右の位置が変わったのは単に水沼宏太を入れた影響があったように思える。

水沼宏太は元々マリノスの下部組織出身で、運動量も多く、右足の正確なキックはプレースキッカーを任されるほど。
J1屈指の優良クロッサーというべき水沼を右サイドに置き、ゴール前にはサッカーIQ度合いが増したフィジカルモンスターのオナイウ阿道が陣取ることで相手のセンターバックの注意を引きつける。

ここで、左サイドからはどうするのかというと、単に仲川輝人が外から抉るわけではなく、仲川はサイドに開きつつも時にはハーフスペースに位置をとって中央近辺を彷徨いたりする。
その空いたスペースに中央から左に開くのが、ベルギーからマリノスに帰ってきた天野純だ。

左サイドの位置からクロス気味の弾道でゴールを陥れた天野の1点目、ハーフスペースからヌルヌルっと侵入して豪快にぶち抜いた天野の2点目、ベルマーレに追いつかれた後に雌雄を決した3点目を挙げたのは水沼とオナイウの2人。

こうもタイミングよく交代策がハマると、ポステゴグルーさんもさぞ気持ちいいことだろう。笑
後半10分あたりから足が止まり始めてたベルマーレの雰囲気を察してなのか、あるいは初めからゲームプランのひとつとして用意していたのか…

交代枠が3→5に増えたことで、3人同時投入という大胆な策を施し、その上で試合をひっくり返したのはマリノス側にとって大きな収穫だったはずだ。
ベルマーレとしては、絶妙なクリティカルヒットになってしまったけれども。

一方のベルマーレは、先制点を奪っておきながら、その後にあれよあれよという間に逆転され、追いついたはいいけど、終了間際に相手に勝ち越される、というリーグ開幕戦の浦和レッズ戦の試合展開の再現のような結果に終始。


後半途中から鈴木冬一が凄みをつけたり、現役高校生の田中聡がインパクトのあるデビュー戦を飾ったり、と明るいトピックはあったものの、チームの根幹としては"競り合う試合は出来るけど、あと一歩で競り負ける"体質が改善されることはなかった。

松田天馬の不運な負傷交代があったのは誠に残念だったが、試合勘が積み重なっていき、各ポジションに良い塩梅で選手が使っていけるようになれれば、そこまで苦しいシーズンにはならないはずだ。
中断期間はあれど、リーグ戦は3試合を消化しただけ。まだまだこれからである。

(まとめ)

この試合もベルマーレ的に見ればまあツイてなかった。
舘幸希を3バックの右で使ってみたかっただろうし、茨田陽生が60分くらい試合出ました?という感じを醸し出して残り数分間プレーしたのには、少しガッカリしました。

次の相手は、再開してから横浜FC、鹿島アントラーズを撃破している北海道コンサドーレ札幌。
鈴木武蔵、ジェイは負傷でいなさそうだし、アンデルソンロペスはまだ日本に来てはいない…
とはいえ、ベルマーレがあまり得意でない"ミシャ式"を大っぴらげに展開してくるチームなので、これまたどうなることやら。

田中聡くんはおそらくメンバー入りしてるかもなあ。
見れるものなら三幸秀稔、馬渡和彰と言った面々も見てみたい。


お客さんが入ってのホームゲーム、どんな試合になるかな?

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