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27歳、背伸びをやめる

人生で初めて男に振られてからというもの、わたしは迷走していた。

失恋直後は何をしていても彼のことを考えてしまって、通勤中はもちろん仕事中にも涙が出てきて慌ててトイレに駆け込んだり、誰かを呼び出して飲んでは泣き喚いて困らせたり、人生初キャバクラへ連れて行ってもらって豪遊したり、死んだ顔で深夜に焼き肉を食べたりした。
わかりやすい荒れ方だった。

一番つらい時期を乗り越えたあとは、次こそは最後の恋にしたいという一心で、まあまあアクティブに行動していたと思う。
婚活パーティーや合コン、友人が主催する飲み会にせっせと足を運んだ。
思うように事が進まなくても、運命の人に巡り会えるのは今日かもしれないと、自分自身を奮い立たせながら。

元々束縛が嫌いで恋人がいても自由にスケジュールを組みたいほうだし、友人たちと飲み歩くのも楽しかったけれど、ふとした時に不安と寂しさに襲われる。
恋愛に強い憧れを抱きながらも、人の愛し方も愛され方もわからず、自意識だけをこじらせ、厭世的で鬱屈としていた高校時代とは、また違った孤独感に苛まれていた。
誰にも会っていないひとりの時間、部屋に引きこもって何をしていたかと言えば、内省だった。

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