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とっ散らかる、秋

いつからか部屋に住み着いたクモと共同生活を送っている。まぁまぁ大きい彼(彼女?)が壁を這っているのを見かけると一瞬ギョッとするけれど、すぐに慣れて気にしなくなる。存在を忘れたころに、また姿を現して、気がついたらどこかへ消えている。
幼いころに「クモは悪い虫を退治してくれるから殺さないように」と聞いて、律儀にそれを守っている。確かに、クモが部屋にいるあいだはコバエやその他の虫を見かけない気がする。気がするだけかもしれないけれど。

最近noteにアクセスする回数がめっきり減った。書きたいことはあるのに、気分が乗らなくて、筆が進まない。誰かに言いたくてしかたないのに、諸般の事情で表立って書けないこともある。人のnoteもぜんぜん読めていない。
たぶん今はそういう時期なんだろうと思って諦める。放っておけばそのうち書きたくなるだろうし、読みたくなるだろう。


前回の交換日記でなかなかに荒ぶった文章を書いたら、意外にも反応がよくてすこしびっくりした。お茶さんがすぐに返事(?)を書いてくれたのも、胸に秘めていた違和感を打ち明けてくれたのも、すごく嬉しかった。

Twitterやnoteで堂々とフェミニズムの話をするようになり、やっと言いたいことが言えるようになったなと思いつつ、「フォロワー怖がってないか?」「引いてないか?」とたまに心配になる。そういうときは緩和剤として酒の写真を上げたりする。

写真で思い出したけど、先月書いたものでいちばんスキがついたのは「ポートレイトを撮ってもらったよ」と報告したnoteだった。
渾身のエッセイより、プロフィール画像を載せた軽~い記事のほうがウケるんだな、わたしの文章はわたしの顔に負けたんだなと、すこしだけ虚しくなった。
時間をかけて読む必要がある文章と違って、視覚情報は瞬時に取り入れやすく、とっつきやすいからな。しかたないけどな。

ここ1週間くらい、初対面の年上男性からセクハラ・モラハラ発言を受けることが続いていて、たまにまじで女やめたくなる。
メイクとかファッションとかネイルとかガールズトークとかはすごく楽しいし、女に生まれてよかったなと思うことはたくさんあるけど(もちろん男性だってメイクもネイルも恋バナもしていいんだけど、ヘルジャパンには堂々とやりづらい圧があるので……)、しんどいことが重なると心が折れる。

わたしは自分の顔がすきだし、今の見た目を維持するためにけっこう努力しているから、容姿を褒められることは基本的には嬉しい。
けど「かわいいね」とか「きれいだね」って言葉に異性のいやらしい視線とか隠し切れてない下心とかが付随してくると、「こっち見んな!!」「消費すんな!!」って拒絶反応が出そうになる。

こういう「めんどくせーな」と思われそうな話も、相手によっては自然と話せるようになってきた。過去の失敗や挫折、コンプレックスも、だんだんと打ち明けられるようになった。自分をよく見せようと背伸びしていたころはしんどかった。
でもさ、取り繕ってもいつかはボロが出るんだから、最初からオープンにしたほうがいいよね。ひた隠しにした末、「あなたにだけは話すね」って打ち明けて、しばらく経って関係が壊れたら「裏切られた」みたいに思っちゃってつらいし。
芦田愛菜さんも言ってたけど、相手に勝手に期待して、勝手に失望するのって違うよね。彼女、人間やるの何回目なんだろうね。わたしはたぶん初回だわ。


秋はわたしの中で恋の季節なので、Netflixのオリジナルシリーズ『5ファースト・デート』を観てきゅんきゅんしている。この番組めっちゃすきなんよ。

各回の主人公が5人の相手とブラインドデート(友人や知り合いの紹介を通じて、はじめましての相手と会うデート)をして、2回目に誘う相手をひとりだけ選ぶっていうリアリティーショーなんだけど。
会話の内容とか、ふたりのあいだに流れる空気感で「選ばれるのはこの人だろうな~」って予想しながら見て、ラストに訪れる待ち合わせのシーンで「やっぱりな!!」ってなったり、「えっっっそこ行くん!?」って驚いたりするのがすごく楽しい。「デートしてぇ~~~」ってなる。
LGBの人が主人公の回で必要以上に「きゃ♡」ってなってしまうの、バイアスかかっていてあかんなと思う。日々反省。

涼しくなってくると人肌が恋しくなるの、なんなんだろ。そういえば2年前の今ごろ、知り合って間もない人とデートの約束を取りつけて、向こうが奥手なので頑張って自分からリードしたり、不慣れな様子なのを「チャラくない証拠!!」と好意的に受け止めようとしたり、2回目のデートは昼からホッピー通りで飲むプランだったのでたくさん歩くだろうなと思ってスニーカーを履いていったら、「歩きやすい靴で来てくれてよかった~。前にデートした子がヒール履いてきて途中で歩けなくなったとき、超めんどかった。殴りたくなったわ~」と言われて幻滅したりした。

付き合う前の「これは恋?」「意識してるのは自分だけで、向こうはただの飲み友達と思ってるかも」「でもでも、コンスタントに連絡来るし、メッセージ途切れないってことは脈ありだよね!?」とかヤキモキする時間は楽しい。
わたしは筆不精だからLINEのラリーの回数はあまり重視しないけど、ちゃんと返事が来ると安心する。通知で内容をチラ見したら満足して、気が向いたときに返信する。

1年前の自分では考えられないくらい、恋愛に依存しなくなったなと思う。それはたぶん、他に楽しいこと、やりたいことがたくさんあるからだ。
「精神的に自立することがいい恋愛をする近道だ」と、いろんな本やネット記事に書かれているのを読んでは、「そうは言っても難しいじゃん」と不貞腐れていた。
でも文章を書くことがライフワークになってから、ずいぶん自分に自信が持てるようになった。自分がほんとうにやりたいことに嘘をつかなくなった、蓋をしなくなったことで、他人と比べることも減った。


急に思い立って、先週からダンススクールに通い始めた。運動嫌いのわたしが、身体を動かしていて「楽しい」と思える貴重な経験かもしれない。
わたしは身体が鬼のように硬くて(前屈がぺたーっとできなくて、母に「背中に棒入ってる?」と言われたことがある)、リズム感もないし、動きもめちゃくちゃぎこちないけれど、いつか上手に踊れるようになりたいな。
身体を動かすとお腹が空くので、ごはんもおいしく食べられる。先週は日高屋で味玉とんこつラーメンを注文して、ブラックペッパーを死ぬほど振りかけてかっこんだ。今日はマックでチーズ月見バーガーとポテトとチキンナゲットを食べた。

すこし前に、Twitterのタイムラインで「夏目漱石が”I love you”を『月がきれいですね』と訳したのは有名なエピソードだが、あなたが自分の言葉でこのフレーズを表現するとしたら?」という問いかけを目にした。
わたしは少し考えたあと、Evernoteにこうメモした。

「飲み行かん?」




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