見出し画像

恋の墓標

ここ2ヶ月間ずっと、恋愛のことで頭がいっぱいだった。なにも考えずに個人的なことをつぶやくTwitterのサブアカウントをつくって、すきな人の話ばかりしていた。

noteの更新を止めていたあいだも、日記は毎日書いていた。今年の初夏からつけはじめた紙の5年日記と、iPhoneにダウンロードした鍵つきのアプリ。
揺れ動く感情を文字にして記録することで、自分の置かれている状況を客観的に、冷静に見つめて整理できる。過去の日記を読み返すと、自分の思考や行動のパターンが浮かび上がってきておもしろい。

「こんなこともあったな」「そういえば、あのときはこう感じていたな」と回想してしみじみすることもあれば、「陶酔してるなー」「なに言ってんだこいつ」とセルフつっこみを入れることもあり、これがなかなかに楽しい。日記を書いて読む作業は、自給自足のエンターテインメントだ。


まとまった文章も書いて公開したかったけれど、最近はプライベートな話をインターネットに放流することに抵抗が出てきてしまったので、ネットプリントのZINEをつくった。
やっつけクオリティではあったものの、「読んだよ」と報告してくれた方、印刷したZINEの写真を送ってくれた方もいて、新鮮な体験だった。

すきな人とうまくいったら、記念に第2号をつくろうと思っていた。そのときは第1号も再配布して、noteでも告知しようかな、なんてぼんやり考えていた。
結局、久しぶりに夢中になった恋はあまりにもあっけない形で終わってしまった。記念すべきはじめてのZINEを再び世に出すことは、残念ながらないだろう。


せっかく創作意欲が復活してきたのに、書く気力がなくなってしまったな、と思った。
でもなんだかんだ言いながら、またこうやって思考の垂れ流しみたいな文章を書いてる。どうしても書かずにはいられないのだ、わたしは。

だいすきだった人に自ら別れを告げ、呆然としながら過去のツイートや日記、Evernoteに走り書きした短い文章を眺めた。
記憶の断片。文字に残していなかったら忘れていただろう、瞬間瞬間に感じた痛みや喜び。恋のきらめきが輝きを失い、錆びて黒ずんだ執着に変わるとき。

墓標を建てたい、と思った。終わった恋の墓標を。
ひどい結末ではあったけれど、相手との向き合い方を真剣に考えて悩んだ日々は確実にわたしを成長させた。
この2ヶ月間に、敬意を示さなければ。無駄な時間ではなかったと、これもやがてやってくる幸福を迎え入れるためのひとつのステップだったのだと。

親しい人や、わたしの文章を読んでくれている人には、墓参りに来てほしい。けどよく知らない人に荒らされては困る。
そこで、買い切りの有料マガジンをつくることにした。過去に書いた個人的な日記や、これからも書き続けるであろう内省的な文章はここに格納して、ひっそりゆっくり更新する。
そっと花を手向けるような気持ちで、覗きに来てもらえたらうれしい。


ここから先は

0字
買い切りマガジンのため、いちど購入していただくと都度課金なしですべての記事を読めます。

一瞬で通り過ぎていく景色、記憶の断片、ふっと浮かんでは消えていく感情。夢のような日々は、シャンパンの泡のように儚く。お酒を一杯注文するよう…

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! ♡のリアクションはオールタイムベスト映画のご紹介です🎬