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TECH.C.札幌 ライトノベル&シナリオライターコースのマガジンです。学生作品やコンテスト情報、地元札幌のイベント情報などを発信していきます!【毎週月曜日更新】
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#短編小説

ハロウィンのやつ

「……ママ、ただいま。一年ぶりだね」 「裏口が開きっぱなしだったよ。表は鍵がかかってるの…

文化振興社
10か月前
4

十九の終わりに

 真っ白い棺に似た箱は小学生には大きすぎた。  十九の誕生日に届を出して三日。棺の中で安…

文化振興社
10か月前
7

短編小説「閻王黒崎の苦難」

現世への出張準備を済ませてから三時間が経過した昼下がり、場所は人の気配がほとんどない荒れ…

藤星
1年前
5

シナリオ形式物語 『店の中央、私服女性が二人にて』

○ハロウィン当日。店の比較的中心にあるテーブルにて 女A「右手側のテーブルの席」 女B「そ…

 「鈴木社長さんへの質問です。私はあなたに捨てられました。今も、あなたにあげた沢山の初め…

イチジクの木の下に

 夏至の日、ギリシャではイチジクの木の下に自分の持ち物を置くと、将来の伴侶の夢が見られる…

2

三題噺 「夏至」「スニーカー」「高校生」

たとえ、今、僕が死んだとしても、この呪いから解放されることはないのだろうか。魂もあの世とこの世を彷徨い続けてしまいそうだ。    高校生の健介は家の日の当たる縁側で、体を伸ばして横になっていた。その心地よさだけが、母方の祖父母の家での楽しみだった。    「ゲームしたい」  太陽の眩しさに目を細めながら、家の快適さに想いを馳せていた。祖父母の家にはエアコンもなければ、パソコンもない、ネット環境もないという健介にとっては最悪であろう環境に置かれていた。  古い携帯ゲーム機でも

酒の夢

   冷たい。とても冷たい風が皮膚に刺さる。波の音が耳を叩く。白い光が瞼をこじ開けた。  …

タイムリミット

 時間。時間。時間。  時は存在しないとぬかしていた科学者がいたような気がするが、現代に…

2

布団の中の天国

 遠くから頭を叩くような電子音がだんだんと強くなってきた。  カーテンの縫い目の間を抜け…

少女と木

ただ広い平原があった。 周りには何も見当たらない、ポツンと立つ一本の木を除いて。 木の根…

亡き過去と未来

   銃なんて全て無くなってしまえばいい。  今日もそんな理想を胸に抱きながら、何も変わる…

6

モダン・カニバル

「あの、小暮さんですか?」  言ってしまった。俺は膝が笑いそうになるのを耐えながら、駅前…

2

夢幻の砂浜

 旅先で、小さな画廊に入ってみた。  昔は雑貨屋だとかの十二畳ほどの、寂れた商店街の小さな店だ。  建物の中は壁一面に絵画が並んでいて、白い砂浜に松が生えた海岸の油絵だった。別に、その絵が特に印象深いわけでは無い。  同じ砂浜がモチーフの絵ばかりが、その画廊にはかかっているのだ。 「絵は全部、私が描いたものです」  初老の白髪髭の店主はそう言って、売り物のコーヒーをサービスしてくれた。  画廊からそう遠くない場所にある砂浜で、幼いころから店主は浜へ遊びに行き、砂浜の絵を描き続