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【温泉】酸ヶ湯温泉「酸ヶ湯温泉旅館」(青森市)

今日ご紹介するのは、青森市にある酸ヶ湯(すかゆ)温泉「酸ヶ湯温泉旅館」。およそ300年以上もの歴史があり、国民保養温泉地第1号の名湯だ。

昔、旅行雑誌で、こちらの施設の、広々とした「ヒバ千人風呂」の写真を見て、いつか絶対に行ってみたいと思っていた。

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(※本記事の湯船の写真は、すべて公式ホームページから拝借したものです。)

広々とした湯船で、人々が気持ちよさそうに湯治を楽しむ姿が、私のハートをわしづかみにした。

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それと、こちらの温泉に行きたかったのには、もうひとつ理由がある。それは、1977年に公開された映画「八甲田山」だ。

これは、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」を原作とする日本映画で、高倉健、三國連太郎、北大路欣也などの往年の大スターたちが出演する名作。明治時代の八甲田雪中行軍遭難事件を題材に、猛吹雪に襲われてた軍隊の悲惨なストーリーをリアルに描き、人間の意思決定の失敗が及ぼす影響などを学ばせてくれる素晴らしい作品だ。私は高倉健サマファンでもあるので、この作品が大好きだ。

そして、この酸ヶ湯温泉は、この映画の舞台となった八甲田連峰の西麓、標高約900mの高地に位置するのだ。このロケーションも、酸ヶ湯温泉への憧れを一層かきたてたのだ。

★ ★ ★

数年前のある日。友人とお喋りしているとき、私が酸ヶ湯温泉への憧れを語ると、意気投合して、一緒に行こうということになった。そして、友人が、とてもお得な旅行会社のパッケージツアーを見つけてきてくれた。

友人よ、ありがとう!

JR青森駅近くから、旅館の送迎サービスを利用した。大型バスが2台で、たくさんのお客さんが利用していた。大人気だ。

こちらが、旅館の外観。

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こちらが、私たちの居室。昔ながらのシンプルな和室だ。暖房は、エアコンではなく石油ファンヒーター。ヒーターは十分なパワーがあり、寒がりな私でも寒くは感じなかった。

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こちらが、廊下。廊下と居室はふすま1枚で隔てられているだけなので、防音は期待できない。

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お手洗いと洗面所は共同。合宿所のような雰囲気だ

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さあ、いよいよ、念願の温泉へ行こう!

館内は広い。たくさんの棟がある。

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売店で湯あみ着を販売していた。1,100円は少々お高いかなと思ったが、混浴を心行くまで楽しむため、悔いの残らないように、購入した。

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「じょうずな酸ヶ湯とのつきあい方 十か条」が掲示されていた。

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成分が多く酸性度が高いので、十分気を付けるように書かれている。

最後に「みだりに異性を注視しないこと」という1文があり、ちょっと笑った。

公式ホームページによると、温泉については、以下のような説明があった。

泉質: 酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)(緊張低張性温泉)

浴用の適応症:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、きりきず、やけど、慢性皮膚病、動脈硬化症、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症

浴用の禁忌症:急性疾患(発熱時)、活動性の結核・悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性疾患、高度貧血また泉質上、皮膚・粘膜の過敏な人(特に光線過敏症の人)、高齢者の皮膚乾燥症

いかにも成分が濃く、効きめがありそうだ。このお湯で、300年以上にわたり湯治場として人々を癒してきたのだ。期待が高まる。

さて、いよいよ入浴だ。

「ヒバ千人風呂」では、身体を洗うことができないので、まずは男女別の浴場に行き、身体を洗うことにする。

こちらが、男女別の小浴場「玉の湯」

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とても濃い、白濁したお湯とのご対面。成分がいっぱいの素晴らしいお湯だということが、すぐに分かる。

そして、いよいよ、お目当ての「ヒバ千人風呂」へ!

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総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」は、160畳もの浴室に「熱湯」「冷の湯」「四分六分の湯」「湯滝」という、4つの源泉の異なる浴槽がある。

そして、そのうち特に大きい「熱湯」と「四分六分の湯」は、いずれも、それぞれの湯船の真ん中あたりで、男女別にエリアが分けられている。左側が男性エリア、右側が女性エリア、ということになっている。

湯船が真ん中で男女別に分けられているといっても、湯船の真ん中が衝立などで区切られているわけではない。単に、目安となる小さな目印があるだけだ。しかし、その見えない境界線は、男女ともにきっちりと守っていた。

さて、ここで、女性の皆さんへ朗報。このヒバ千人風呂の「四分六分の湯」の湯船のほうは、女性にとってハードルが低い

なぜなら、この「四部六部の湯」は、女性脱衣所からの湯船の混浴エリアまでの動線が、高い衝立で目隠しされているのだ。その目隠しエリアでしゃがみ、首まで白濁したお湯に浸かって身体を完全に隠してから、その姿勢を保ち、しゃがんだまま前進しながら混浴の広いエリアに出ていくことができる。そうすれば、混浴エリアでも、湯浴み着がなくても、濃い白色のお湯の色のおかげで身体を隠すことができ、裸を見られることがない。この動線は、以前別の記事でご紹介した、有馬温泉「陶泉 御所坊」さんの半混浴式露天風呂のものと似ている。

しかし、「熱湯」のほうは、そうはいかない。そのエリアに到達するまでには、湯船からいったん完全に全身を出して、歩いてゆかなければならない。これは、湯浴み着がなければ、ハードルが高い。湯あみ着を買ってよかった!

なお、女性専用の時間帯があるので、混浴は絶対イヤだ、という方も、その時間帯ならば、安心して楽しめるだろう。実際、私もその時間帯に行ってみたところ、沢山の女性客で賑わっていた。

酸ヶ湯温泉のお湯の成分は、とても濃かった。欲張って何度も入ってしまったためか、気がつくと、全体的にお肌が荒れてしまった。指の腹(指紋のあたり)が最もダメージを受けていた。もっと入浴回数を減らすか、もっと保湿をするかすべきだった。

さらに、帰宅後、湯浴み着についた硫黄臭が、洗濯しても、なかなか取れなかった。他の洗濯物に匂いが移るのが嫌なので、ビニール袋に密閉して収納している。その時使ったタオルや、着ていた下着にも、しばらく匂いが残った(でも、それも良い思い出)。

夕食は、栄養たっぷりの和食。

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朝食も、栄養たっぷり。

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一夜明けて、朝食会場からの景色。外は、雪景色。

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この旅館には、食堂もある。昼食には、こちらで山菜そばをいただいた。

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昼食後は、気分転換に、周辺を徒歩で散策することにした。

雪道を進む。

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軽く吹雪いてきた。かなり、寒い。

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しばらく行くと、「まんじゅうふかし」という場所があった。

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ここにも、こんこんと温泉が湧いていた。

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雪道をさらに進むと、酸ヶ湯温泉旅館の系列ホテルである「八甲田ホテル」の入り口が見えてきた。

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こちらが、「八甲田ホテル」の玄関へのアプローチ。

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八甲田ホテルの、バーラウンジへ。ロッジ風の、温かく居心地のよい空間だった。こちらでお茶をさせていただくことにした。

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コーヒーが、美味しい! 冷たくなった身体に染みわたり、ほっとする。

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コーヒーをゆっくりと味わった後は、マイクロバスで、酸ヶ湯温泉旅館まで送っていただいた。

八甲田ホテルでは、温泉のみならず、フレンチのコース料理が楽しめるそうだ。今回はお茶だけだったが、いつかゆっくりと宿泊してみたい。

酸ヶ湯温泉と、八甲田ホテル。コンセプトは全く異なるが、いずれも素晴らしい施設だった。お世話になりました!


※酸ヶ湯温泉旅館のホームページは、こちら。

※映画「八甲田山」は、こちら。

※小説『八甲田山死の彷徨』は、こちら。

※過去の温泉訪問記事へは、こちらのリンク集からどうぞ。


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