見出し画像

【温泉】微温湯温泉「旅館 二階堂」(福島市)

今日ご紹介する温泉は、福島県は微温湯ぬるゆ温泉の一軒宿「旅館 二階堂」さん。

こちらの温泉には、なんと、220年以上の長い歴史がある。享保年間にはその存在が知られており、享和3(1803)年、二階堂家が温泉の権利を買い取り、湯治者を受け入れたのが始まりだという。明治元年(1868)年には、戊辰戦争のため宿舎が官軍により焼却された。現在の建物は、明治・大正・昭和にわたり建造されたもので、平成29(2017)年には、国登録有形文化財に指定されている。

そして、その名前のとおり、こちらの温泉では、ぬる湯が楽しめる。「日本ぬる湯番付」では「東の横綱」とされており、温泉愛好家の間でも高く評価されている。

そういった理由から、長らくこちらのお宿に憧れていた。2023年夏に念願が叶い、こちらに2食付きで1泊する機会を得た。今日はそのときのお話だ。


アクセス

こちらの温泉は、福島駅より西へ約18kmの場所にある。磐梯朝日国立公園吾妻小富士の東麓に位置し、標高は920mの山の中の一軒宿だ。冬には雪のため休業し、営業期間は4月下旬より11月下旬までに限られる。車がなければアクセスは至難だ。私も車で訪問した。

2023年夏には、こちらの温泉への最短ルートが工事中であり、迂回すべしという案内表示があった。この迂回路は、その大部分が整備された道路であり、快適に運転できた。後で聞くと、通行止めとなっていた最短ルートはかなりの山道のようだったので、こちらの迂回路で結果オーライだった。

外観

こちらのお宿は、5棟の建物で構成されている。一番奥が明治5(1872)年築の茅葺きの建物。その手前が大正初期、さらに昭和の建物と続く。そのうち3棟が国登録有形文化財の認定を受けているということだ。

館内

私が到着したのは、午後3時前。このとき、受付は、日帰り入浴に訪れていたお客さんで混雑していた。男性のお客さんが多いようだった。なお、日帰り料金は、大人700円、小学生350円だった(2023年時)。

宿泊予約があることを告げ、靴を脱ぎ、館内へと案内していただく。

館内も、古き良き湯治宿の風情がそのまま保存されていた。「一体、私はどこにいるの?」「今は何時代?」と、まるでタイムスリップしてしまったかのような錯覚に、何度も陥った。

受付
お手洗いは男女別
洗濯機もある
炊事場
飾られていた写真
飾られていた絵
飾られていた昔のポスター

客室

私たちが宿泊したのは、25号室という客室。昔ながらの湯治用の部屋で、廊下とは障子1枚で仕切られているだけだ。鍵もない。他の宿泊客の声や足音もよく響く。トイレも洗面も共同。神経質な方には向かないだろうが、私にとっては、こういう鄙びた客室は大の好物だ。

部屋番号がチョークで書かれていた

なお、別の客室の扉が空いていたので、少しのぞかせていただいた。お客さんのチェックイン前だったようだ。広縁のついた和室2間の客室だった。大人数で泊まるのに良さそうだ。

緑いっぱいの景色が眺められる広縁

温泉

さて、いよいよ温泉へ。1階へ降りて、別棟にあるお風呂へ、長い廊下を通っていく。

頭上注意

窓からは、源泉タンクのようなものが見えた。

そして、通路の先の突き当りには、温泉の入り口が。一見、トイレの入り口と見間違えた・・・。

トイレ・・・?ではなくて浴室の入り口

女湯

早速、女湯のドアを開ける。そこには簡素な脱衣所が。

脱衣所の奥の、浴室へのドアを開ける。

すると、そこは、天井の高い木造のシンプルな湯屋だった。

浴槽は2つ。広い源泉浴槽(下の写真右手前)と、加温浴槽(下の写真左奥)だ。

源泉浴槽のほうには、パイプから、源泉がドバドバと投入されている。

ドバドバ!

かすかに硫黄の香りが漂っている。源泉をなめてみると、薄いレモン味がした。土や鉄のような匂いもする。

源泉温度は約32度。最初に源泉浴槽に入ったときは、冷たく感じた。しかし、しばらく浸かっていると、だんだん体が慣れてきた。そのうち、眠ってしまいそうな心地よい感覚に包まれ、体をゆだねて、目をつぶって、ただただ、漂った。身体が冷えたと感じれば、加温浴槽に移動する。温かいお湯に包まれてホッとする。身体が温まったら、また源泉浴槽へ戻る。そうしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。この繰り返しで、ぬる湯で体がすっきりしつつも、体の芯がぽかぽかと温まるのが分かった。何とも言えない、病みつきになりそうな心地よさだ。

男湯

女湯の隣の男湯も、少しのぞかせていただいた。女湯とは左右対称の造りだ。

こちらもドバドバ!

温泉分析表

浴室に掲示されていた温泉分析表。

泉質は、酸性ー含鉄(II、III)ーアルミニウムー硫酸塩温泉。なかなかお目にかかることのない、珍しい泉質だ。

食事

食事は食堂で、他のお部屋の皆さんとともに、一斉にいただく。

夕食

山の幸を使った夕食。岩魚、茶碗蒸しなど、丁寧に作られていた。メインは鴨の陶板焼き。

朝食

とてもヘルシーな和食。長時間、温泉に入った翌朝は、こういう食事が良いのだ。

おまけ(猫ちゃんたち)

こちらのお宿では、かわいい猫ちゃんたちがおもてなしをしてくれた。

下足番?
巡回にお越しになりました

歴史ある建物、レトロな館内、極上のぬる湯。美味しいお食事に、猫ちゃんたちのおもてなし。お宿の方々も、とても親切にしてくださった。浮世離れした、特別な場所。間違いなくここは、天国だ。暑い夏に、何度でも繰り返し訪れたい温泉だ。

いいお湯でした。お世話になりました!

こちらのお宿の公式サイトはこちら。

私の温泉系記事へは、以下のリンク集からどうぞ!

この記事が参加している募集

#至福の温泉

4,528件

サポートをいただきましたら、他のnoterさんへのサポートの原資にしたいと思います。