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【温泉】湯ヶ野温泉「福田屋」(静岡県河津町)
今日ご紹介する温泉は、静岡県河津町(伊豆半島)にある、湯ヶ野温泉「福田屋」さん。2023年冬に、こちらに日帰りで立ち寄り湯をいただいたときのお話だ。既に記事にした峰温泉「花舞 竹の庄」さんから、路線バスで訪れた。
創業は、明治12(1879)年。川端康成が贔屓にした旅館だ。有名な『伊豆の踊子』は、「私」こと川端康成がこちらに逗留した時の出来事がモデルになったという。映画『伊豆の踊子』のロケ地にもなり、美空ひばり、吉永小百合、山口百恵ら、錚々たる昭和の大スターも滞在したという。そのほか、太宰治が「東京八景」を執筆した部屋も当時のまま保存してあったり、井伏鱒二、三好達治ら、錚々たる日本文学界の重鎮たちの資料も残されている。
『伊豆の踊子』作中の「私」が入浴したというこのお宿の榧風呂は、温泉好きの間で有名だ。是非入ってみたいと思い、こちらに向かった。
バス停から少し歩くと、川沿いに建てられた古めかしい建物が見えてきた。
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木の橋を渡る。目指すお宿が近づいてくる。
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橋を渡り切ると、目の前がお宿だ。
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純和風の木造建築。
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お庭には、踊子の像があった。
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玄関には、「日本秘湯を守る会」の提灯が。
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玄関を入ると、とてもレトロな空間が迎えてくれた。
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立ち寄り湯を希望する旨お伝えすると、榧風呂と露天風呂とどちらが良いですかと尋ねられた。もちろん、榧風呂、と即答した。幸い、先客がいなかったようで、榧風呂を貸し切りで利用できる幸運に恵まれた。
こちらが、榧風呂の入り口。
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扉を開けると、そこは簡単な脱衣エリアがあった。
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その先の扉を開けると・・・。
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目の前に、半地下のような広い空間が現れた。視線を下げると、脱衣所よりも低い床の真ん中に、榧風呂が鎮座していた。
ワクワクしながら、階段を下りる。
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階段を下りると、このとおり。
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壁の下の方には、正方形のレトロでカラフルな絵柄のタイルが、等間隔で飾られていた。とてもお洒落だ。その上のほうは、石が貼られていて、お城の石垣を彷彿とさせる。なかなか斬新で、ハイカラなデザインではないか。
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そして、榧の湯船を眺めた。檜風呂、ヒバ風呂は見たことがあったが、榧のお風呂に出会ったのは、これが初めてだった。榧は、成長が遅くて、入手も困難だという。これを浴槽の材料とするのは、かなりの贅沢に違いない。
シャワーも設置されている。シャワーの前には、アルミのコップが置かれた一角が。
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蓋を開けると、新鮮な源泉が貯まっている。これをアルミのコップで掬って飲めるのだ。
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ひととおり写真を撮らせていただいてから、榧風呂に浸かってみた。
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無色透明で、ちょうど良い湯加減。さっぱりとしたお湯が、肌を柔らかく包んでくれる。湯船の中に差し込まれている塩ビ管から、たっぷりと源泉が投入されていた。先ほどのアルミコップで源泉を飲んでみたところ、かすかな塩味を感じた。
湯船が半地下にある構造上、天井が高く、窓もとても高い位置にある。面積の割には、ずいぶん広く感じる。窓からは外の柔らかな光が差し込む。何とも不思議な、神秘的な空間だ。この優しいお湯に浸かっていると、心がとても落ち着き、浮世のストレスが、湯気とともに、すうっと排出されていくようだと感じた。何という安らぎ。私の少ない語彙ではどう表現して良いか分からないが、とにかく、至福のひとときを味わった。
こちらが、温泉分析書。
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泉質は、カルシウム・ナトリウム ー 硫酸塩温泉。Ph8.4の弱アルカリ性。泉温53.6度、湧出量毎分281リットル。完全掛け流しの贅沢な湯使いだ。
榧風呂を堪能した後は、ロビーで少し休憩をさせていただいた。川端康成や『伊豆の踊子』ゆかりの資料などが所狭しと展示されていた。
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沢山の色紙。沢山の著名人に愛されたお宿だということが分かる。
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ところで、福田屋さんの対岸には、地元の方々専用の共同浴場がある。
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目の前まで行ってみた。外来者の入浴はお断りという表示。
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実はこの共同浴場こそ、『伊豆の踊子』の作中で、踊子が、裸のままで立ち上がり「私」に手を振ったという共同浴場なのだ。この湯屋の佇まいを見ることができただけでも、良い思い出となった。ちなみに、福田家さんの宿泊客であれば、こちらへも入浴できるそうだ。次は是非福田屋さんに宿泊して、こちらでも湯浴みをしてみたい。
ところで、福田屋さんでは、『伊豆の踊子』の世界を堪能できるい衣装が用意されているそうだ。外国の方向けに大きいサイズのものもあり、着用して記念撮影もできるということだ。和装がお好きな方には、きっと、よい思い出になるだろう。
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いいお湯でした。お世話になりました!
こちらのお宿の公式サイトはこちら。
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