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【温泉】濁川温泉「新永館」(北海道森町)

今日ご紹介する温泉は、北海道は森町の田園地帯にある、濁川温泉の温泉施設「新永館」さん。2022年夏に、こちらに日帰り入浴に訪れた。

このあたりのエリアは、太古の昔、火山の噴火により形成されたカルデラ盆地。ここで温泉が発見されたのは江戸時代のことだ。文化4(1807)年、温泉場の開設を村役人が幕府に願い出て、幕府下役の小川喜太郎、間宮林蔵が巡見し、山道の開削を命じ、新たに湯治場を開設したのが、この濁川温泉の始まりだという。


外観

大通りを車で進んでいると、緑色の「新栄館」という看板を発見。目的地は近い。

のどかな田園風景の中を進む。

こちらが、今回の目的地、新栄館さん。見るからに、昭和テイストの温泉施設だ。複数の棟を連結させた構造のようだ。

館内

館内に入ってみる。古い! 鄙びている! これは、なかなかお目にかかれないシブさだ。

入浴料は400円(2022年時)。このトレイに入浴料を置いて、入浴するシステムだ。先客が置いていった100円玉が、そのまま放置されていた。

こちらのお宿には、混浴風呂と女性風呂の2か所があった。私が訪問したときには、駐車場や靴箱の様子から、明らかに他に入浴中のお客がいなさそうだった。そこで、まずは混浴風呂に行ってみることにした。

混浴風呂

混浴風呂へは、玄関を入って左側の通路を進む。

そして、別棟の浴場への階段を下りる。

脱衣所は、一応、男女別に仕切られていた。しかし、あまり仕切りの意味がなさそうだ・・・。

そして、浴場へ入ってみると・・・。

何だ、ここは!

木造の簡素な湯小屋の内部には、コンクリートの床に、3つの四角い湯船が設置されていた。湯船の縁には、象牙色の析出物がこびりついて、波打っている。

上を見上げると、相当年季の入った屋根。崩壊しないか、不安になるほどだ。

窓の外には、このような設置物が見えた。ここから源泉が湧き出てくるのだろうか。

3つの湯船に、すべて入ってみた。ひとつの湯船は激熱だったが、あとの2つは、やや熱めではあるが適温だと感じた。水で薄めることもできるようだ。

お湯からは、土臭い匂いとアブラ臭を感じた。色は、やや黄緑色っぽく濁ってはいるが、透明度は高い。熱めのせいかシャキッとするが、肌触りはまろやか。ネットでの情報では、泉質はナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉とのことだが、温泉分析書は探せなかった。

女湯

続いて、女湯へも行ってみた。女湯は、母屋と接続されている新しい建物にあるようだ。

こちらが、女子風呂。シンプルで素朴ではあるが、混浴風呂のような鄙び感はない。

むきだしのパイプから源泉が、かけ流されている。

茶色の湯の花が舞っていた。

混浴風呂のお湯とよく似ているが、女湯のお湯のほうが、あっさりしているように感じた。源泉が異なるのだろうか。もしかすると、湯小屋のビジュアルのインパクトの違いによる錯覚かもしれないが・・・。

女湯のある建物には、広々とした休憩スペースがあった。昔はたくさんの観光客を受け入れていたのだろうか。

お湯のクオリティーも素晴らしいが、母屋と混浴風呂の鄙び具合にノックアウトされた。鄙びの極致。もはや芸術。文化遺産にしても良いくらいだと思う。ぜひ、長く営業を続けていただきたいと願う。

いいお湯でした。お世話になりました!

こちらの温泉についての森町の観光協会さんのサイトはこちら。

こちらの温泉についての「ひなびた温泉研究所」さんの記事もどうぞ!

私の温泉系の記事へは、以下のリンク集からどうぞ!

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