見出し画像

ファミリーヒストリー

76歳の伯母が地元紙に戦後への想いを投稿した。
そこで初めて知るファミリーヒストリー。

伯母は東京の空襲の中で生まれたそうだ。
祖父は出征していたから
祖母が義理の姉に付き添われながら暗闇の中で産んだ。

祖父母はどうやら東京で商売をしていたらしいが
乳飲み子を抱えた祖母1人ではどうにもならず
祖父の実家である新潟に身を寄せることになる。

祖父は生きて戻ることができ
私の父もそのあとに生まれることになる。
しかし戦地の疲れで体調を崩していた祖父は
38歳で亡くなったそうだ。
そして、身を粉にして育て、働いた祖母も
やはり若くして53歳で亡くなった。

3歳で父親
23歳で母親を亡くした父が結婚したのは
その翌年と思われる。
そして一年後には私が生まれた。

物心ついた頃には「おとうさん」と呼べる人がおらず
「おかあさん」に孫の顔を見せることもできなかった。

初めて知った
私が生まれる前の父の人生。

父はどのような想いで家庭を築こうとしていたのだろう。

時代も時代
同じような境遇をもつ人は多かったに違いない。
「家族」について心の穴を深くする人もまた同じだろう。

父はその心の穴をうめることはできず
母との離婚に至った。
そしてそれにより、娘の私も同じような心の穴を受け継いだ。

私の人生は父の人生を受け
父の人生もまた祖父の人生を受けている。

ふと父にそっくりな私にそっくりな息子の顔を見る。

そうか、父方のお墓参りに行かなくてはいけない。
母に遠慮して、もう30年以上行っていない。
私が受け継いだ心の穴は、私が埋めなければいけないが
このファミリーヒストリーを知らなかったら
隙間だらけの穴埋めになっていたかもしれない。

お盆の時期にそれを知ることができた。
祖父がまだ幼子だった父を案じて来てくれたのかもしれない。

大丈夫だよ、おじいちゃん。
あなたの坊やの想いはその娘が受け継いで
きっと昇華させます。

おじいちゃんのできなかったこと
おとうさんのできなかったこと
私ができる限りやってみるね。

合掌。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?