日本昔話 ~死闘!バーテンダーに憧れて~

むか~しむかし、ハタチのピチピチじゃった私子ちゃんは

かっこいいバーテンダーに憧れてショットバーでバイトを始めたそうな。


色とりどりのリキュールに囲まれ、シェーカーの振り方ひとつからカクテルを勉強し、

それはそれは楽しかった~。


...じゃが、いざ、お店が新規OPENしてみると、

思ってたのとは違う世界が繰り広げられ、私子ちゃんは相当面食らったそうな。


寡黙にお客のオーダーに応え、あとはキュッキュとグラスを磨いているイメージじゃったが、

スナックやガールズバーと変わらぬ接客をさせられて、経験の無い私子ちゃんはパニック!


それでも、同世代のバイト仲間とも既に仲良くなっておったし、

すぐに辞めるとは言い出せないままズルズル働いたそうな。


お店が暇な時は外でクーポンを配ったりもした。

心無い人に渡したクーポンを目の前でくしゃくしゃに丸めて投げ捨てられた事もあった。。

色々な人がおるもんじゃ...と私子ちゃんは行き場の無い悲しみや怒りに打ちひしがれたもんじゃ...


じゃが、今から思えばそんなものは序の口。

それからもっとドロドロした人間模様を垣間見る事になるんじゃ。


戸惑いながらの接客じゃったが、何故かオーナーに気に入られ、

辞める店長の後任に大抜てき!

キャラを買われ、メニューや値段、システムなど好きにやっていいよ!

と全面的に任されたんじゃ!


若かった私子ちゃんはもう有頂天⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎


文字通り寝食を忘れて、カクテルの本を買ってきて、また一から勉強し、

手書きのメニューやバイト用のイラスト入りレシピ帳などせっせとこしらえた。


『ぱそこん』などまだ普及しておらん時代の事じゃ、全部手書きで頑張った~!


素人なりに考えうる事は全て注ぎ込んで、いざ新規OPEN、出陣じゃ~!!


と意気込んだものの、周りの目は冷ややかも冷ややか、カクテルよりキンキンに冷えておった。。

それも当然。

ついこないだ入ったばかりのバイトの小娘がオーナーの気まぐれで

いきなり“店長”になって調子こいておる。


関連店の先輩殿方は面白いはずがない。

自分たちは苦労して一歩ずつ出世してるのに、一足飛びに出世した私子ちゃんを酷く嫌いイビリ抜いた。


それでも結果を出せば皆も分かってくれるはず!と頑張ったが、

残念ながら何の結果も出せなかった。。


全くの未経験でハタチの世間知らずの小娘にバー経営など簡単に出来る訳がなかった。

私子ちゃんも、ちょっと調子がいいとすぐ羽目を外すアホの子じゃったから余計に。


私子ちゃんの下で働いてたバイトちゃんたちからもクレームが入り、

お客からも煙たがられ、諸先輩方からも鬱陶しがられ、

ずっと応援してくれてたオーナーからもとうとうクビ宣告されたんじゃ。。


最後のお情けで、クビの後は知り合いのお店を紹介してもらい、働く事になった。


丁稚奉公して、いつかまたお店を任せてもらえるように頑張ろうと思っとったが、

その店はその店でまた色々ややこしくて、結局全部がうやむやになったそうな。


めでたしめでたし。


おわり。


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