3月1日(2014年) 初めて開幕戦に完封勝利した
2014年3月1日(土)。
浦和レッズは万博記念公園競技場でガンバ大阪とJリーグ開幕戦を行った。
そう言えば、G大阪との開幕戦は多い。「オリジナル10」の中で一度も開幕戦を行っていないチームがあるのにG大阪とは4回目だ。
2012年、得失点差プラスでJ2に降格したG大阪。J1復帰初戦の相手にレッズを持ってくるのはJリーグにどんな意図があるんだろうか。
そんなことを考えながら万博に着いた。
万博競技場では、いつからか両チームのバスの到着口を分けていて、ビジターチームの選手やスタッフはビジター側ゴール裏とバックスタンドの間から歩いて入って来る。そして陸上トラックを横切ってメーンスタンド下のロッカールームに入る。つまりゴール裏のサポーターの前を通り、拍手や声援を受けるシーンがあるのだ。他のスタジアムにはない動線だ。
バスが着いたという連絡があった。
続いて、選手たちが入って来る。
この年はACL出場がなかったので、これがシーズンの初戦でもある。前年のリーグ戦は、ほぼ上位にいたものの一度も首位には立てず、最後に3連敗して6位で終わった。優勝も狙えた位置にいたのだから、悔しい順位だった。「失速の浦和」と言われた最初のシーズンだった。
今季は巻き返して必ずJリーグタイトルを獲る、とクラブも前年に続きかなりの補強をした。
GKに日本代表の西川周作(広島から)。ボランチの青木拓矢(大宮から)は当時「禁断の移籍」と言われた。そして元日本代表FWの李忠成(サウサンプトンから)。またレッズユースから昇格した関根貴大も楽しみな新人だった。
青木と関根は帯同していなかったが、西川と李はレッズサポーターに初お目見えした。前年加入して活躍した那須大亮、関口訓充、興梠慎三、森脇良太。ユース出身の加藤順大、宇賀神友弥、原口元気、矢島慎也。同年代の梅崎司、柏木陽介、槙野智章。ミシャが「フランツ(ベッケンバウアー)」と呼ぶ永田充。そして重鎮の鈴木啓太、坪井慶介、平川忠亮に、前年レッズに復帰した阿部勇樹。
写真を撮るわけでもないのに、ピッチレベルで選手たちの入場を待っていたのは、スタンドの前を通るときの様子を見たかったからだ。すでに埋まりつつあるゴール裏やメーンスタンドのビジター側のサポーターと、試合前に最も接近する時間だ。互いに闘う決意を高め合うときでもある。
拍手と声援がわき起こったのはもちろんだ。だが何となく、“尖り”を帯びたものも交じっているように感じた。
堅い試合になった。
G大阪はやはりJ1復帰戦という意識とホームで負けたくない気持ちが守備に重心をおかせたようだ。レッズはなかなかゴールをこじ開けることができない。しかし前半43分、CKからG大阪ゴール前での混戦になり、阿部がシュート。コースが変わってネットを揺らした。最後にボールに足を当てたのは…、喜び方ですぐわかる。槙野だ。
後半、1点差のまま試合が進む。いつ事故的に失点するかわからないから2点目が欲しかったが、G大阪が意外にギアを攻撃にシフトしなかったのか、レッズのチャンスが増えることもあまりなく、そのまま1-0で試合を終えた。
ホッとした。最後は祈るような気持ちだった。レッズの開幕戦はアウェイが多いが負けも多い。前年は広島にアウェイで勝ったものの、その前まではずっとアウェイで勝った記憶がなかった。また「開幕アウェイで勝てないレッズ」に戻りたくない。そんな気持ちだったのだ。
後から知ったが、開幕戦で無失点はこれが初めてだったらしい。考えたらずっと勝っていないのだから、それもそうか。
レッズとしては歴史に残る勝利だったわけだが、それ以外は取り立てて記憶に残るような試合でもなかった2014シーズンの開幕戦だった。
そう。2014年、開幕戦は普通だった。
さて、みなさんは2014年3月1日、何をして何を感じていましたか?
※【浦和レッズ30年 あの日のわたしたち】は、レッズの過去30年の中で清尾が印象深かった年の「あの日」を毎日挙げていきます。その日に関する思い出をレッズサポーターのみなさんからいただくことで、その日をより深く歴史に刻んでいこうというプロジェクトです。ぜひ「note」のアカウントを取得の上、投稿をお寄せください。タイトルの前に「×月×日」と日付を入れ、ハッシュタグ「#あの日のわたしたち」を付けてください。なるべく写真を付けた方がにぎやかなので、直接関係のない写真でもキャッチに使ってくれるとありがたいです。また「自分は違う年の“あの日”について語りたい」という投稿も歓迎します。清尾へのお問い合わせやご意見は、サイトの一番下にある「クリエイターへのお問い合わせ」をご利用ください。
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