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【番外編】和田靜香の選挙日記@立憲民主党代表選挙(11/27)/『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』特別企画

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』著者の和田靜香さんが、香川1区を飛び越えて、ついに立憲民主党代表選挙に立候補した小川淳也さんの選挙活動を緊急取材!本書と合わせてぜひお楽しみください。

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11月28日(日曜日) 晴れ

 なんだかんだでバタバタしておりまして、選挙日記はぜんぜん書けず、報告できないでおりました。ただ、昨日(27日土曜日)も今日も行ってたんですよ@有楽町。

 さらに、今回の立憲民主党代表選挙、ビックリするぐらいたくさんの討論会が日本各地やらオンラインでも行われていて、それらもPCの前に座り、ちょこちょこ見ておりました。日ごろの選挙で、たとえば党首同士の討論会とか、こんなにやったことあるっけ? 

 今回本当にたくさんの討論会が行われ、すると候補者の発言も考え方もそれぞれブラッシュアップされていき、政策も練り上げられる。選挙そのものが価値あるもの、政治が成熟していくことになる。

 それをまざまざと感じて、なんでふだん、討論会をきちんとやらないのか? 私たちに「投票に行け行け」言うけど、自分たちはぜんぜん努力してないじゃんね? とまた改めて思った次第。ふざけんなよっ!とメンチ切っておきますわ。

 そして小川さんがずっと続けて来た「青空対話集会」も日に日に拡大していった。私は高松からずっとこれを見て来て、なんか、対話が育っていく様に、めちゃくちゃ感動している。

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 今回の有楽町での対話集会の素晴らしさは、参加する人たちが決して小川さんの支持者に限らなかったことだ。「僕は維新に投票しました」という人や、「立憲が頼りない、嫌いだ」という人も大勢いた。

 小川さんの消費税に関する考え方が嫌いだ、ダメだ、ジェンダー問題わかってんの?

 どっちかというと批判的な質問の方が多かった。それで対話が行われた。異なる意見の人たちが集まり、それぞれの意見を尊重し合い、対話した。

 私はそのことに本当に感動している。私たち、やればできるじゃん?と思っている。民主主義を実践するなんて、ムリなんじゃないか、私たち?と思いこんできたけど、いやいや、ぜんぜん出来る。素晴らしく出来る。やれば、出来るんだ。

 政治不信が進み、私たちはもう政治をあきらめているかのように思われてきたけど、そんなことない。私たち、ぜんぜんあきらめてないじゃん?

 心からそう思えた。それが、本当に本当に良かった。
 
 今日は最後に素晴らしい質問が出た。

 もし、小川さんが総理大臣になったら‥‥‥。総理大臣は終戦の日に談話を発表しますね。どんなものになりますか?

 ああ、私も聞いたことなかった。小川さんの戦争史観。それはこんなだった。

「色々なお考えあると思いますが、戦争責任、戦争の歴史について、私は非常に謙虚な歴史観を自分の中に持ちたいと思います。

 安倍さんの気持ちも分からないでもないです。岸さんのお孫さんで、岸さんは開戦に踏み切った東条内閣の閣僚ですから。A級戦犯として訴追され、そのときに岸さんはこんな句を残してますよね。
『名にかへて このみいくさの 正しさを 来世までも 語り残さむ』

 ですから、アメリカに占領された歴史も訴追されたことも、おそらく気にいらないでしょう、その過程で出来てきた日本国憲法もおそらく気に入らないんでしょう。ですから、彼らの党是は自主憲法、中身のいかんに関わらず、改憲ありきという政治姿勢。

私は逆でして、あの戦争は本当に避けられるものなら、避けてほしかった。あれだけの犠牲を、なぜ300万人もの日本人を火の海に追い込まなければ終えられなかったのか。

私は中央官庁に勤務してきたから分かるんです。あの当時の日本の指導層は軍事官僚ですから。軍部に就職した官僚ですから。自分の出世や保身が第一なんです。

作戦の失敗を認めようもんなら、自分の評価に関わる出世に関わる。だからノモンハンもインパールもガダルカナルも、あらゆる戦いで、まるで人間の命を部品かのように火の海に投げ込み続けて、あの戦火を拡大してきた。

 その歴史には、戦争の歴史と共に、組織の病理として、官僚国家の病理として学ぶべきものが多いと思います。そして結果として、日本人にも大きな被害がありましたが、近隣諸国をはじめとして、筆舌に尽くしがたい、様々な苦難を結果として与えて来たこともまた事実だと思います。

 私は色々なご批判やお叱りもあるかもしれません。しかしこれから日本が国際社会で本当に信任ある地位を占め、信望ある立ち居振る舞いをこれから行っていこうと思えば、なおさらなこと、戦争に対しては謙虚な歴史観、真摯な反省、国内外の犠牲に対する尊い哀悼の意を心底表せられるようなこの国の指導者でなければ、私は日本の針路はこれから先も再び誤ることになりかねない、そう思います。

逆サイドのお考えの方からは痛切かつ猛烈なご批判を受けるかもしれませんが、あえてそれも覚悟のうえで、謙虚な歴史観、真摯な姿勢で戦争の歴史に向き合いたいと決意しております」

 ああ、これが聞けて良かったなぁと心から思った。今回、色んな討論番組見たけど、私はこれ、聞けてなかった。こういう話、これまで出てました?

 青空対話集会、本当にすばらしい。

 そして、私から小川さんに、いや、代表選に出た4人全員、そして政治家全員にお願いしたいのは、こういう集会の、その輪の外の人のための政治も忘れないで、だ。

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 ここへ行くたびに気になっていた。輪の手前に、BIG ISSUEを売る男性がいた。ご存知ですか? BIG ISSUE。主にホームレス状態にある方が売る雑誌だ。値段は450円。そのうち230円は、その方の収入になる。男性は立って雑誌を売りながら、小川さんの演説を、いつも聞いている風だった。私も最新号をこの方から買った。

 そして輪の向こうに建つショッピングビルの上にキラキラのカフェがあり、楽しそうにお茶を飲む人たちの姿が見えた。この人たちには、演説や対話は聞こえてないだろう。

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輪の中に入って発言したり、聞いていたり出来る人がいれば、その輪に入れない人が大勢いる。入りたくても入れない人。入りたくない人。その人たちのためにも、その人たちのためにこそ、政治はあってほしい。

 そんなことを思っている。

 さて、立憲民主党の代表選挙は火曜日に迫った。誰が選ばれても、対話がつながれていってほしいし、対話の輪の外の人も忘れられないでほしい。

(和田靜香)

著者:和田靜香(わだ・しずか)
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。Twitter:@wadashizuka

取材協力:小川淳也(おがわ・じゅんや)
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。Twitter:@junyaog



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