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わたしのおとうさんのりゅう 〔第2回〕

詩人の伊藤比呂美さんの連載。幼い頃に、誰もが一度は目にしたことのある名作『エルマーのぼうけん』(ルース・スタイルス・ガネット作・わたなべしげお訳・ルース・クリスマン・ガネット絵、福音館書店)。そこから始まる、児童文学、ことば、そして「私」の記憶をたどる道行き。

「それを知ったとき、私は、ほとんど人類のひみつを探り当てたといってもいいような感覚に襲われました」
カリフォルニアの本屋で見つけた『エルマーのぼうけん』の原作。しかし、原作と日本語の訳にはある大きな「違い」があったーー。そこから見出されたものを探り当てながら、旅はまたさらに深く広がっていく。お楽しみください。

エルマーのぼうけん2


『エルマーのぼうけん』には、英語版と日本語訳で大きな違いがあるのです。それを知ったとき、私は、ほとんど人類のひみつを探り当てたといってもいいような感覚に襲われました。
 子どもの頃、私は日本語訳しか知らなかったから、それに気づきもしませんでした。でもおもしろいもっとよみたいと思って読みすすめたその先に何かあると感じ取っていたことは間違いありません。
 読んでない方のために、あらすじを語ります。

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