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10/18(月)和田靜香の選挙日記@香川1区/『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』特別企画

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』特別企画として、著者の和田靜香さんが、取材協力いただいた小川淳也さんの選挙に密着した日々を記録します。10/18〜10/31までの日記を更新予定です。本書とあわせてぜひお楽しみください!

10月18日(月曜日) 天気:快晴
「土俵祭」

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 高松に来ました。

 今日、10月18日から31日まで、つまり衆議院議員選挙が公示されてから投票日まで高松に滞在して、選挙日記を書きます。

 そのために、朝、東京の家に起きて、歩いて駅まで行って電車乗ってバス乗って空港行って飛行機乗ってタクシー乗って、高松市内の「小川淳也選挙事務所」へと着きました。

 コロナ禍が始まって、初めての旅‥‥‥いや、嘘です。7月に名古屋場所に日帰りで行って白鵬、見ました。最後の白鵬です。それ以来の旅で‥‥‥とは言え、飛行機に乗るのは本当にコロナ禍になってからは初めてで、飛行機の窓からはるか下の地面を見ながら、コロナの時代、もう飛行機に乗ることは二度とないんじゃないか?と思っていたのに、ああ、今、乗っているわぁと感慨深いものがありました。まぁ、コッペパンむしゃむしゃ食べてたんだけどね。

 今日はそして、着いた途端にノンフィクション作家の中原一歩さんに誘われ、小川事務所にて、後援会のみなみなさまの前でトークイベントを開きました。中原さんは私が本を作っていたのとほぼ同じ時期にやはり小川さんに取材し、『本当に君は総理大臣になれないのか』(講談社現代新書)を書いて、6月に出版されていて、なんというか、私とは小川さんを介した姉妹本みたいな関係の著者同士というつながりです。今日初めてお会いしたのですが、初めてという気がしません。もう、最初から、やあやあ、やろっかね~みたいな気さくさで始まり、後からYouTubeで公開された動画を見たら私ったらゲラゲラ笑いどおしで、身体ぐらんぐらん揺らす落ち着きのなさ+スカートはいてるのに足おっぴろげて、ホテルの部屋の壁に頭ぶつけてますが、まぁ仕方ない。それが私。楽しくトークさせていただきました。

 終盤には小川さんも登場。今回の選挙の争点は?と聞かれた小川さんが「自分が選択肢になります」と力強く宣言して、おおっ!と会場が沸いたり、私がいつも、「こんな記事が出た、こんな声がある」と小川さんにお知らせしているのが、「うるさくて、そろそろLINEの通知切ろうかと思ってる」などと毒舌飛ばされたりしました。もちろん、終わってすぐにLINE送ってやりましたよ、ええ、もちろんです。負けるわけがありません、この私が。それに、そう言いつつちゃんと返信くれるんですからね、小川さんも。

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 それにしても飛行機でたった小一時間乗って降りた高松は東京とは空気がガラリ変わります。タクシーに乗って運転手さんがナビを使いこなせないのもご愛敬。「じゃ、今、ちょっと電話で聞くから待っててね」みたいな感じ。一瞬イラッとした自分を、車窓の景色を見ながら恥じる。カリカリしてる自分が嫌になる。一呼吸、あたりまえに置く。そういう感じです。更年期で始終バクバクしてる動悸も、少し収まるかもしれません。

 そして、到着した事務所で、地元の後援者である女性たちとワハハハ楽しそうに話をしている小川さんの姿を見て、私が国会中継や、議員会館で対話していた小川さんとはまた違う表情というか雰囲気だなぁと思いました。なるほど、国会議員とは国会で国のために発言し、働きながらも、地元との繋がりというのが強く、地元の人たちに選ばれ、その代表となるんだなぁということを、なんか、そのワハハハに一瞬で実感したのです。

民主主義は現場で生まれる

 ここ最近ずっと、国会議員の地域とのつながり、地域性とはどういう意味があるのだろうか?ということを考えてきました。それは自分が前に住んでいた杉並区で巻き起こった、騒動がきっかけ。最終的には落ち着いた、あれ。そう、吉田はるみさんという立憲民主党の女性候補者始め、共産党やれいわ新選組の「野党候補3人」がいたところへ、野党共闘として山本太郎さんが立候補するという話がにわかに沸いて、杉並区民が「それはない!」と怒ってワイワイし、結果、山本さんが身を引かれ、最終的に吉田さんが野党共闘の候補者になった件です。

 ツイッターを見ていると、全国の人たちにおなじみなのは、もちろん山本さん。だから、山本さんを統一候補にすべきだという声が多かったけれど、地元では、もう6年半も阿佐ヶ谷(杉並区)の駅前の雑居ビルにある小さな事務所を拠点に、いつも街に出て声を挙げ、みんなと活動してきた吉田さんを支持する声が大きかった。もちろん山本さんを支持している方々もいて、その人たちはどこか動揺していた。

 最終的に吉田さんが立候補することが決まり、杉並区の支持者たちは、私たちが共に歩んできた吉田さんを国会に送り込む、私たちの代表なんだという誇らしげにいるのが、集会に行って、見て、ありありよく分かった。そんな風に胸を張って、私たちの代表!という対象を持ち、その人に投票できるって、なんてすごいことだろう。杉並区で吉田さんと共に、市民運動をしてきた方々の、その年月に敬意を表したい。民主主義を作るって、現場でみんなで作るって、こういうことなんだなぁとしみじみ思った。

 そして今日、小川さんの事務所でワハハハしていた小川さんと女性たち。さらに、私の本に「サインしてください」なんて嬉しいことを言って並んでくださったおじいちゃんやおばあちゃんやおじちゃんやおばちゃんたちが「もう18年、小川さんを応援してるんです」って皆、口々に言い。私は「えっ? じゃ、いちばん最初から?」と驚きの声をあげまくりで。みなさんがここで築いてきた民主主義にも、拍手を送りたいと思った。1回目の選挙。2003年。小川さんは見事に落選した。でも、そのときからずっと一緒に、政治家を育て、政治を考え、参加してきた。みなさん、すごい。そして今回も、小川さんを私たちの代表として、国会へ送り込もうと奮闘している。

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 なるほど。これが国会議員の地域性の意義なのか。ふむ~。すばらしい。

 などと納得したところで、今日はおやすみなさい。明日からいよいよ本場所(衆議院議員選)が本格的に始まる。今日は前日の土俵祭だったわけだ(相撲たとえ)。土俵に鎮めものを埋め、行司さんがお祓いをする、って。してないけど。今日は。

おまけ

 ちなみに、ここはうどん県。トークイベントが終わったら、中原さんが「うどん、食べへん?」などと誘うので、うかうかついて行き、うどん、さっそく食べてしもうたですわ。初日からうどんかよっ! ほんと、もう~。しかもお腹空いてたから、うどんの写真撮り忘れました。食べ終わりの写真のみ。写メには慣れておりません。ついこのあいだ、ガラケーからスマホになったばかりです。

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 そして、高松の街はまだ私にはよそよそしいです。旅に来たときの初日はいつでも、どこでも、そうであるように。

(和田靜香)

【お知らせ】
10月19日〜31日までの日記は、12/20〜順次発売の『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』収録にともない、公開を終了いたしました。大幅に加筆修正を行ったほか、書籍限定の書き下ろしもたっぷり収録していますので、ぜひチェックをお願いいたします!
著者:和田靜香(わだ・しずか)
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。Twitter:@wadashizuka

取材協力:小川淳也(おがわ・じゅんや)
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。Twitter:@junyaog

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