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2020年4月18日の『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』

パン屋、ミニスーパー店員、専業主婦、タクシー運転手、介護士、留学生、馬の調教師、葬儀社スタッフ……コロナ禍で働く60職種・77人の2020年4月の日記を集めた『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』。
このnoteでは、7/9から7/24まで毎日3名ずつの日記を、「#3ヶ月前のわたしたち」として本書より抜粋します。まだまだ続くコロナとの闘い、ぜひ記憶と照らし合わせてお読みください。

【コロナ年表】四月一八日(土)
JRAは無観客でのレース開催を続行する一方、騎手の土日の別の競馬場への移動を含む厳しい移動制限をスタート。
大阪府が「なみはやリハビリテーション病院」の医療従事者と患者計四一人の感染を発表。院内感染によりクラスターが発生したと見られる。

運送会社配達員

❖ 保元誠/二八歳/東京都
一人暮らし。毎朝渋谷の営業所に出勤、次第に配達する荷物が少なくなっていき不気味に感じる。街で見かけるのは同業者ばかり。

四月十八日、土曜日、大雨のち夕方から晴れ間でる
 渋谷では、朝から、雨。正午から午後1時過ぎに桶の底が抜けたような猛烈な雨。3時過ぎに弱まり、雨、止む。雨の影響もあって、人通りほとんどない。すれ違うのは、同業他社のドライバーばかり。リアカー付自転車での配達は雨除けの屋根などないので、びしょ濡れで配達する姿を見て、同業他社のドライバーから心配されたりした。ちなみに、同業他社のドライバーたちは、基本、傘を刺さないで配達しているが、今日ばかりは傘をさしている人が多かった。なので、いつもと違う雨、という印象が強い。帰宅すると、ニュースで、今日の新規感染者数は180人ほど、という。全国では、累計で1万人を超えたとも。「アベノマスク」はまだ来ない。

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ドイツ在住イラストレーター

❖ 高田ゲンキ/四三歳/ドイツ
ベルリンに移住して七年。夫婦ともにフリーのイラストレーターなので、保育園休園で自宅育児になった以外はそれほど変わらず。

4月18日(土)
 今日は日本の知人数人からドイツの助成金について質問を受けた。ベルリンでは3月26日よりフリーランサーや芸術家、個人業者救済の助成金の受付が始まりオンラインでの受付に数十万人が殺到。申請は比較的簡単で、申請後数日で指定の口座に5000€(約60万円)が振り込まれたという話を多く聞いた。このスピード感は本当に素晴らしい。
 ドイツ連邦政府のモニカ・グリュッタース文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と話した。僕自身は現時点では仕事も減っておらず生活に困窮しているわけではないので支援金申請はしていないが、政府や社会全体に文化育成を重要視するこのような意識があるだけでもこの国の人たちを心から尊敬できるし、この国に移住して本当に良かったと改めて思う。

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夫婦問題カウンセラー

❖ 高草木陽光/東京都
自粛によって夫婦で過ごす時間が増えたためか、夫婦問題が急増しているようだ。対面相談は減ったが、電話相談は三倍に増えている。

四月十八日(土)
 とうとう悲しい事件が起きてしまった……。コロナの影響による収入不安で夫婦喧嘩になり、夫が妻を殴り倒して死なせてしまった。週刊文春の記事によると、今月五日、二人は夕方から自宅で飲んでいたようで、そのうち妻が夫に仕事が減ったことによる収入の不安を愚痴りだしたという。そして、ついに言ってはいけない一言を!
「あんたの稼ぎが少ないのよ!」
 その言葉に怒った夫は、妻を床に叩きつけてしまい、救急車で運搬された一時間後に急性硬膜下血腫で亡くなってしまった。普段は普通に仲が良かった夫婦のようだが、「コロナ」は夫婦関係を一瞬で破壊する恐ろしいヤツだ。敵はコロナであって、目の前にいる夫や妻ではない。そんな当たり前な判断も狂わせてしまうのが「コロナ」だ。ヤツの思い通りにさせてはいけない。ヤツの思惑にハマってはいけない。

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(すべて『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』より抜粋)


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